わが家には高校生の娘がいます。多感な時期の娘に事情を話し、納得するのならという条件で夫のお願いを受け入れることにしました。
ここ数年、夫は多忙を理由に帰りが遅く、休日もほとんど家にいませんでした。そのこともあってか、思春期の娘は夫に反発しており、正直、居候に賛成するとは思えませんでした。しかし、娘の答えは意外にも「OK」だったのです。
こうして、1カ月の期間限定で、奇妙な共同生活が始まりました。
夫が居候させた女性は…
同居が始まると、私はすぐに違和感を覚えました。彼女は夫を下の名前で呼び、やけに距離が近いのです。夫の好物や細かい癖まで把握しており、単なる上司と部下の関係には見えませんでした。
そんな気分が悪くなるような彼女と夫のやり取りを見せつけられ、約束の1カ月が経過。しかし彼女は、まったく出て行く様子がなく、部屋を探している気配さえありません。
私が「住むところは見つかりそう?」とやんわり促しても、「私は気にしないので大丈夫です! やましいことなんてありませんし♪」と、のらりくらりとかわすだけでした。
そんな態度にしびれを切らした私は、リビングに設置してあるペットの見守りカメラの映像を確認。案の定、そこには2人が不倫関係にあることを示す、決定的な証拠が残っていました。不倫相手を自宅に住まわせるなんて、正気の沙汰ではありません。
私が証拠を突きつけ事実を問いただすと、2人は開き直って不倫関係を認めました。すると彼女は本性をあらわにして、「おばさんにタワマンはもったいないですよ? 若くてかわいい私に嫉妬ですか? 旦那さんは私に夢中ですよ?」と暴言を吐き始め……。
「タワマンには私と彼が住むので♡」
「娘を連れて出てって!」
彼女は私を追い出そうとしてきました。あまりにふてぶてしい態度に、怒りを通り越してあきれてしまいました。
「無理、娘は置いていくから」
こうなることを想定していた私は、不倫の証拠をつかんだときすでに娘に事情を説明していました。そして、私は娘の意思を尊重することにしたのです。
怒りに狂った娘は、あえて?
「え……?」
私からのまさかの返答に驚いたのか、彼女は絶句していました。そして私は、宣言通り娘を残して、ひとりで家を出たのです。
私が家を出て2週間。弁護士に相談し、離婚の準備を進めていたころです。突然、彼女から「あの子をどうにかして!」と泣きながら電話がかかってきました。娘は、私が家を出てからというもの、わざと部屋を散らかし、彼女にお小遣いをせびったりと好き放題。
彼女のブランドバッグを借りて出かけたり、深夜まで友人を招いて騒いだりと、毎日思いっきり遊んでいたようなのです。極めつけは、彼女の呼び方。娘は彼女を「不倫女さん」と呼ぶそうです。その光景を見ても、娘との関わり方がわからない夫は、娘のことを彼女に丸投げなのだと言います。
私に怒りをぶつけ、「あの子を追い出してやる!」と彼女は息巻いていましたが、それは無理な話なのです。
実は、夫と彼女の関係にいち早く気づいていたのは、娘でした。同居してすぐに2人の関係を疑い、ペットの見守りカメラの位置を変えていたのです。娘のその機転のおかげで、不倫の証拠を押さえることができました。
娘が家に残ると決めたのも、2人に罰を与えるため。あえて私をひとりで出て行かせて、好き放題して2人を困らせたのでした。娘の怒りは、それほどまでに深かったのです。
衝撃の事実に絶望する不倫相手
追い詰められた彼女に、私はいくつかの『事実』を教えてあげました。まずは、夫の懐事情についてです。夫には独身時代に起業に失敗して作った膨大な借金があります。夫は今もなお、その返済に追われているため、タワマンでの豊かな生活は、すべて私の収入で成り立っていたのです。
そして、このタワマンは私の個人名義で、私が独身時代に購入したもの。つまり、本当は出て行くべきは彼女と夫のほうなのです。衝撃の事実を知った彼女は、「騙された!」と憤慨していました。
それからほどなくして、私たちの離婚は無事に成立。もちろん、娘と一緒に暮らすのは私です。私は夫に慰謝料を請求し、娘が社会人になるまでの養育費の支払いにも合意してもらいました。
その後、彼女と元夫は破局し、裕福なタワマン暮らしとは縁遠い苦しい生活を送っているそうです。一方、私と娘は穏やかな生活を取り戻し、今は2人で楽しい毎日を送っています。
◇ ◇ ◇
不倫相手を居候させるとは……正気の沙汰ではありませんね。それも年頃の娘さんと暮らす家にです。しかし、その夫を懲らしめたのは、娘さんの機転と強い意志でした。今回のように、これからも母と娘、2人で助け合って幸せに暮らしていってほしいですね。
【取材時期:2025年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。