突然の別れ話から始まったデート
彼は駐車場から車を動かすことなく突然話し始めました。
「大事な話があるんだ。……別れよう」。あまりの突然の言葉に、私は耳を疑いました。
「大学院に進もうと思っている。だから、今は勉強に集中したい。本当にごめん」と、彼は淡々と話を進めていきます。私は考えたすえに、彼を応援したいという気持ちから、こみ上げる感情を必死に押さえつけて笑顔で言いました。「……じゃあ、今日が最後のデートだね!」。
見え隠れする知らない女性の影
彼は「最後だもんね……」と、呟きながらゆっくりと車を発進させました。デート中はいつものように楽しい時間が流れていきます。しかしその一方で、「この時間がずっと続けばいいのにな」と切ない思いで涙がこみ上げてくる感じがして……。
途中、彼は飲み物を買うためにコンビニに立ち寄りました。すると、車内に置かれていた彼の携帯が鳴りました。急ぎなら彼に渡さないと、と画面に目を向けると、そこには女性の名前と共に……
「別れることはできた? また連絡してね」
というメッセージが表示されていました。
最後の思い出
そこで私は、「今は勉強に集中したいから別れたい」と言っていた彼の言葉を一気に信じることができなくなってしまいました。
数分後、彼が車に戻ってくると私の様子に「どうかした?」とひと言。私は苛立ちを抑えつつ、「今日別れることを、友だちに話してあるの?」と問いかけました。
すると「話してないよ。周りの意見なんて関係ないし、これは俺が真剣に考えて昨日決めたことだよ」と彼。あまりに堂々と嘘をつく彼に私は怒りを抑えきれず、「乗り換えなんでしょ? ●●ちゃんに早く報告したら?」と、スマホに表示されていた女性の名前を口にすると、彼は驚いた表情を見せました。
彼は「もう隠しきれない」と思ったのか謝ってくれたのですが……「本当にごめん。でも最後のデートがこんな終わり方なんて嫌だ!」となんと泣き始めたのです。そんな彼の様子を見てドン引きしてしまった私は、正直、呆れて感情も動きませんでした。
別れ方ひとつで、これほどまでに好きだった人への想いが薄れてしまうのかと、身をもって知る苦い経験となりました。
著者:榊原愛七/30代女性・1児の母。看護師・カウンセラー兼、恋愛エピソードを執筆するライター。
イラスト:おみき
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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