母が見逃さなかった私の変化
母と一緒に、近所のファミリーレストランを訪れました。まだ妊娠の可能性など、これっぽっちも考えていなかったころのことです。
メニューを開いたものの、いつもなら真っ先に注文する大好きなハンバーグに、なぜかその日は心が惹かれません。こってりしたものよりも、さっぱりしたものが食べたい気分。結局、普段はめったに頼まないトマトソースのパスタを注文したのです。
向かいに座っていた母が、私の注文を聞いて目を丸くしました。
「あら、珍しいわね! いつもハンバーグなのにどうしたの? 味覚が変わるなんて、もしかして妊娠でもしてるんじゃないの?」
母の言葉がずっと頭から離れず、帰り道にドラッグストアで妊娠検査薬を一つ購入しました。家に帰り、震える手で結果を待つ数分間。そこに現れたのは、くっきりとした陽性のラインでした。信じられない気持ちで何度も見つめ、驚きと喜びで胸がいっぱいになったのを今でも覚えています。
妊娠を望んではいたものの、具体的な計画などを母に話したことは一度もありませんでした。それなのに、レストランでの些細な変化だけで、おなかのなかの新しい命の存在を言い当てるなんて。理屈では説明できない「母の勘」の鋭さに、ただただ驚かされるばかりでした。
後日、産婦人科で正式におなかに新しい命が宿っていることを告げられたときは、心の底から安堵しました。その後、無事に第1子を出産。今では、賑やかな3人の子どもたちに囲まれ、慌ただしくも幸せな毎日を送っています。
あの日の出来事を思い出すたび、母の偉大さを改めて感じます。そして、私もいつか、自分の子どもたちの言葉にならない小さな変化にそっと気づき、寄り添ってあげられる、そんな母親になりたいと心から願います。ファミリーレストランでの母のひと言は、私にとって忘れられない大切な思い出になっています。
著者:香川優子/30代女性/1歳、3歳、5歳のきょうだいを育てる母。趣味は子どもたちの写真を撮ること。
イラスト:はたこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)
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