幼なじみとの再会
ある夜、僕は会社で終電間際まで働き、人のいないビルのエントランスを歩いていました。すると、エントランスを掃除をしている女性に遭遇。遅くまで大変だな……と思いながら、「お疲れ様です」と声をかけると、女性からまさかの言葉が。
「私のこと…覚えてる?」
僕は驚きながらも、女性の顔をよく見ると、幼なじみのAでした。僕とAは同じマンション育ちで、小学校も高校も一緒でした。しかし高校2年生のとき、Aは父親の仕事で海外へ引っ越し、それから10年間会うことはありませんでした。
噂では海外の大学に進学したと聞いていましたが、日本で清掃員をしていたなんて。偶然の再会に驚いてしまいました。
そして軽く言葉を交わしたあと、「今度また会おうよ」と約束し、別れることに。久しぶりの再会に、少し胸が温かくなりました。
上司からの無理難題
翌日、僕が出社すると上司から突然「B社の接待を任せる」と言われました。
B社は大手外資系企業で、契約が決まれば大手柄です。しかし上司は「どうせ無理だろう」と鼻で笑いました。
実は、「上司が最近無理な仕事を押し付けては、社員が失敗するのを見ていじめているらしい。無理な仕事を振られたら要注意だ」との噂が社内に広まっていました。突然僕に大手企業の取引を任せたのも、失敗することを見越しての判断かもしれません。
不安でいっぱいになった僕は、会社であった出来事をAに話すことに。
「次の接待を失敗したら、会社に居づらくなってしまいそうで…」
僕の話を真剣に聞いていた彼女ですが、会社名を聞いた途端黙り込んでしまいました。どうしたんだろう……と思っていると、
「もしかして、その社長って私じゃない?」
とAから衝撃の発言が。どうやらAは海外で就職し、その日本支社を任されているようそうです。
自分にできること
「でも、なんで僕が働いているビルの掃除をしていたんだよ…」
僕が気になっていたことを聞くと、Aは「仕事後に掃除をすると吉って、占いで言っていたから」と答えました。実は、僕の会社があるビルに、Aの会社も移転することになったようです。Aは管理会社に許可を取って一足早くビルで清掃員として働き、移転の下準備をしているときに僕と遭遇したのでした。
1週間後、僕は入念に下準備をして、B社の契約獲得に挑みました。緊張していた僕ですが、「Aが社長であれば好みも把握しやすい」と思った僕はAが好きなものを入れ込んで接待をしました。
食事の席では「弊社は弱小企業ですが、長くお互いに利益を生み出せる関係を築きたい」と伝えました。僕のまっすぐな思いを受け止めてくれたのか、Aは「社内で検討する」と答え、笑顔で「お疲れ様」と労ってくれました。
立場は変わってしまいましたが、Aの笑顔は昔と変わらずかわいいままでした。
上司の結末と僕たちのこれから
僕の頑張りもあってか、結果は……B社との契約に成功! すぐにAに連絡を取ると、
「幼なじみだからって甘く見るのはやめようと思ってしっかりと判断したよ。あなたの思いは、私以外の社員にも伝わっていたみたい」
と話してくれました。こうして、大企業との契約を成功させた僕は会社でも一目置かれるようになったのですが……なんと無理難題を言ってきたあの上司が退職したようです。もともと部下へのあたりが強く、社内から上司に関する相談が多数報告されていたとのこと。そのことを社長が伝えたところ、揉めてしまい退職をするつもりだったようです。
その腹いせに、社員に無理を言って失敗させようとたくらんでいたという噂を耳にしました。
僕は会社に残って働けることがとてもうれしいです。Aからは、「今度一緒に食事でもどう?」とのお誘いが。これからは、仕事もプライベートも充実させたいと思っています!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されてないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
ムーンカレンダー編集室では、女性の体を知って、毎月をもっとラクに快適に、女性の一生をサポートする記事を配信しています。すべての女性の毎日がもっとラクに楽しくなりますように!