無神経すぎる…美人なお隣さんに浮かれる夫
「恋人くらいはいるんじゃない?」と返した私に、夫は「いないって言ってたよ」とさらり。思わず「やめなよ!」と声をかぶせました。夫は不思議そうに「お前だって気になってたんだろ?」と言いましたが、私は「女性と子どもだけで暮らしているんだから警戒しているに決まってる。そんな個人的なことを聞かれたら、不快に思うはずだよ」とたしなめました。
すると夫は「俺は怪しまれるタイプじゃない。顔だって女受けがいいんだぞ」と冗談交じりに自信を見せます。私は呆れつつ、もうすぐ10歳になる娘の言葉を思い出し、「そういえば、“パパ太ってかっこ悪い”って言ってたわよ」とチクリ。すると夫は「父親に向かって失礼だ」とむくれ、「誕生日プレゼント買ってやるのやめようかな」とまで言いました。私は笑いながら「そんなケチなこと言わないで。今年の誕生日パーティーは盛大にやるからね」と返しました。
昨年のちょうど今ごろは、娘が風邪をこじらせて入院してしまい、誕生日パーティーどころではありませんでした。「だから今年こそ盛大に祝いたい」と伝えると、夫も「わかった。当日は残業しないで帰るよ」と約束してくれました。私が「あなたのことだから忘れないでね」と念を押すと、夫は「家族の誕生日は忘れない。特に娘の誕生日はな」と真剣な顔で答えてくれました。
買い物に出た夫が帰らず…まさかの理由にあ然
それからしばらく経った週末。買い物に出かけた夫がなかなか帰ってこず、心配になって電話をかけました。すると、渋滞でも事故でもなく「ちょっと遅くなる!」という元気な声。理由を尋ねると、「お隣さんの手伝いをしてる!」との返事でした。お隣さんというのは――わが家の隣に越してきたシングルマザーの方です。
夫が手伝っていたのは、お隣の娘さんのピアノ発表会への送迎でした。急に車が故障し困っていたところに出くわし、会場まで送ってあげることにしたのだとか。帰りも送るつもりだと言い、ついには「食事もご馳走しようか」などと軽口まで叩く始末です。
「待ち伏せなんてしていないでしょうね」と念のため確認すると、夫はやや語気を強めて「何が気に食わないんだ。嫉妬してるのか」と笑い飛ばしました。私は嫉妬よりもむしろ、お隣さんが迷惑に感じていないかが心配なのです。これ以上“お節介”を重ねれば、ご近所づきあいにも支障が出かねません。「寄り道はせず、食事も奢らず、まっすぐ帰宅すること」と念を押して通話を終えました。
「悪い!欠席する!」娘の誕生日当日、夫は
今日は娘の誕生日パーティー当日でした。夫は「残業しない」と約束していたので、夕方近くに確認の電話をしました。ところが、返ってきたのは信じられない言葉――「悪い!欠席する!」。
理由を尋ねると、お隣の娘さんが高熱を出し、その看病を手伝いに行くのだと言います。思い返せば昨年の今ごろ、娘が入院した際には仕事を理由にすぐ駆けつけてくれなかった夫。それなのに、よりによって娘の誕生日当日に他人の子どもを優先するなんて……とても理解できませんでした。
「娘よりその子のほうが大事なの?」と問いただすと、夫は「シングルマザーが気の毒だから助けたい」と言い張り、挙げ句には「誕生日は来年もあるだろ」と軽々しく口にしました。
私が静かに抗議を続けると、夫は次第に苛立ちを募らせ、「嫉妬している」「醜い」「ブスが余計ブスになる」と暴言を浴びせてきました。さらには、「お隣さんは美人だし、娘もかわいいし。再婚しようかな」とまで言い放ったのです。私は怒りを通り越して失望しました。これ以上言葉を交わしても傷が深まるだけだと悟り、その夜は娘と2人で誕生日をお祝いしました。
お隣さんを訪ねて判明した真実…私と娘は
そして、夫の言動がどうしても許せず……。もともと家事や育児に非協力的だったことへの嫌気も重なり、娘を連れて実家に戻りました。その後、夫に電話で離婚したい旨を告げると、夫はうろたえた声で「どういうことだ?」と聞き返し、「お前の実家から小学校は遠いだろ。どうするんだ」と食い下がってきました。転校についてはすでに娘と話し合い、納得してくれています。
当初は離婚話に焦っていた夫ですが、最終的に開き直り……離婚が成立。引っ越しは父と母、そして兄夫婦が手伝ってくれることになり、夫が出勤している時間帯を選びました。「顔を合わせずに済むから安心して」とだけ伝えると、夫は「こっちも別れられてよかった。美人な嫁をもらう」と強がるように言ってきました。
そこで私は、事実を伝えることに。数日前にお隣さんを訪ね、一言だけ気持ちをぶつけたのです。すると彼女は「ご主人とはそんな関係ではありません」ときっぱり否定。むしろ、夫の過剰な親切に困っていたと打ち明けてくれました。愛想よく接していたのも、ただの近所づきあいの社交辞令にすぎなかったのです。さらに、彼女は最近別れたご主人と復縁し、再婚の準備を進めているとのこと。つまり、夫に入り込む隙など初めからなかったのです。
事実を突きつけられた夫は「嘘だ」「思わせぶりな態度を取られた」と逆上しましたが、自らの勘違いだった現実を否定しきれず、次第に声を落としていきました。そして最後には「離婚を取りやめてやり直したい」と泣きつき、「これから変わる」と叫びましたが、きっと口だけ。私の思いは変わりませんでした。
来年の娘の誕生日は祖父母や兄夫婦も一緒に、にぎやかなパーティーを開く予定です。娘の笑顔と、穏やかな日常――それこそが今の私にとって、何より大切な宝物です。
◇ ◇ ◇
「再婚しようかな」といった軽口は、たとえ冗談でも家族を深く傷つけますよね。本当に大切なものを見失わず、思いやりを忘れずに過ごしたいですね。
【取材時期:2025年6月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。