「収入を優先して働くのは、もう嫌になった」と夫は言います。
しかし、そんなことは私を含め、世の中の多くの人が思っていること。みんな、自分の気持ちに折り合いをつけながら、生活のために一生懸命働いているのだと思います。だからこそ、ラクな道に逃げようとする夫と、私が汗水流して稼いだお金からの仕送りを当然のように受け取る義母に、私はやりきれない思いが募ります。
感謝されたいわけではありません。ただ、私のこの善意と努力を、当たり前だと思わないでほしいだけなのですが……。
夫に恩をあだで返されて…
そんな夫を今まで支えてきて、尽くしてきたというのに、夫は不倫をしていました。恩をあだで返すとは、まさにこのことでしょう。私はショックというよりも、あきれて何も言う気になれない……そんな気持ちでした。
夫は私よりも、労働時間が短く収入も低いのですが、「家事は女の仕事だ」と言って、家のことは一切しません。それでいて、家計の大部分は私が支え、義母への仕送りまで私が負担していたのです。
その義母から「仕送りを増額してほしい」と要求されたときも、夫は「母さんの言う通りにしてやれよ」と私に言うだけ。「親孝行してやりたい」と言いながら、自分でお金を出す気はまったくありませんでした。
そして、私がお金のことについて何か言うと「お金がない」と言っていた夫。しかしそれは、『家計に入れるお金はない』ということで、不倫相手に貢ぐお金はあるということだったのです。
この夫の裏切りが決定打となり、私たちは離婚することになりました。聞けば、不倫相手はお金持ちの実家のお嬢様だそう。今度は不倫相手に寄生するつもりなのでしょう。私と離婚した後、あっという間に再婚しましたが、再婚した不倫相手もいずれ、元夫の本性に気づき、後悔する日が来るに違いありません……。
真実を義母に教えてあげた結果
離婚してしばらく経ったころ、元義母から私に連絡が入りました。
「今月の仕送りはまだかしら?」
「家賃が払えないのよ……」
どうやら、元夫は元義母に何も伝えていないようでした。
「離婚したのでもうやめましたが……?」
私がすでに離婚している旨を告げると、元義母は絶句。私が元夫の不倫が原因で離婚したと伝えると、とても信じられないという様子で驚いていました。
「え??」
しかし、驚きが収まると、今度は「あなたの器が小さいから息子の不倫を許せなかったんでしょ。そもそも息子が不倫したのも、あなたの日頃の態度が悪かったせいよ」と、義母は私をなじり始めたのです。
あまりの言い分にあきれましたが、私は冷静に事実を伝えました。元夫はずっとお金がないと言っていましたが、それは私や元義母に使うお金がなかっただけ。「不倫相手に使うお金はあったみたいです」私がそう言うと、元義母は「息子が……そんな……」と、言葉を詰まらせ、大きなショックを受けていました。
私は、追い打ちをかけるように「お義母さんに離婚や再婚のことを黙っていた理由は、自分のお金も、お金持ちの新しい奥さんのお金も、お義母さんには1円も渡したくなかったからですよ?」と義母に教えてあげました。
元夫は私と離婚した際、「金をせびられたくないから、離婚したことも再婚することも母さんには言わないでおいてくれ」と言っていたのです。
元夫は離婚を機に、お金を要求してくる義母を厄介払いして、自分だけ幸せになるつもりのようでした。私も元夫に頼まれたから黙っていたわけではありませんが、あえて私から連絡する必要もなかったので、仕送りが振り込まれなくなって初めて義母は私たちの離婚を知ったのです。
私がすべてを伝え終えると、元義母は、「このまま息子だけ幸せになんてさせない! 自分の親をこんな目に合わせるなんて!」と激怒。怒りに火がついた元義母は、「息子に養ってもらうのは、母親としての当然の権利よ!」そう息巻いていました。その後、元義母はすぐさま行動を起こしたようで……。
元義母の怒りの矛先は元夫に…
なんと、元義母は元夫の勤務先で待ち伏せし、後をつけて新しい住居を突き止め、家に押しかけ、月30万円もの仕送りを要求したそうです。もちろん元夫は拒否し、罵声を浴びせ「親子の縁を切る」とまで宣言し、大喧嘩になったのだとか……。
元夫は、元義母を追い返すことには成功したものの、この騒動が引き金となり、再婚した不倫相手に「非常識な親子とは一緒にいられない」と離婚を突きつけられ、あっけなく出ていかれてしまったのでした。
元義母は、元夫に縁を切られても、あのパワフルな性格です。パートを見つけ、今は案外楽しく、ひとりで生活しているようですが、すべてを失い、行き場をなくした元夫は、なぜか私にすがってきました。もちろん私が助けるわけなどなく、もう二度と私の前に現れないでと告げ、追い返しました。
その後、転職と引っ越しをして、新天地で新生活を始めた私。今は、自分で稼いだお金を自分のためだけに使う、自由な生活を楽しんでいます。あの人たちと完全に縁が切れて、本当に良かったと心から思っています。
◇ ◇ ◇
元夫と元義母に感謝の気持ちが多少でもあれば、ここまで悲惨な結末にはならなかったかもしれません。困ったときやつらいときに、家族を頼ることは悪いことではありません。それができるのが家族でもあります。しかし、頼ることと甘えることは違います。家族に支えられていることを当たり前だと思わないよう、感謝の気持ちを忘れずにいたいですね。
【取材時期:2025年8月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。