愛情深い妻
転職後、昇給したこともあり忙しくなってしまった私ですが、妻は私のことを「自慢の夫」と言ってくれます。私も、「仕事を頑張れるのは君にラクをさせたいからだよ」と決意を新たにしました。妻は、「あなたは本当にやさしいね」と感謝してくれ、「夜は昇給祝いにごちそうを作る!」と張り切っていました。
その夜私は、上司からチラつかされていた話を妻に相談。「俺が転勤になっても大丈夫? いつかはそういうことになるかも……」と。妻は「どこへでも着いていく」と快諾してくれたのです。
それから2年後……。相変わらず仲の良い夫婦でいた私たちですが、妻が最近、「会社員って収入に限度があるわよね」などとつぶやき出しました。聞けば、起業した友だちがいるのだとか。
「もうあなたの年収を超えるらしいわよ」と言うのです。私は少なからず動揺。
「その友だちと俺の収入を比べているの?」と詰め寄ると、妻は「違うよ! 比べるだなんて……。ただ、女友だちだからすごいなと思って! 変なことを聞いちゃってごめんね」と謝りました。
転勤が決まった!
そんなある日。ついに私に転勤の話が舞い込んできました。赴任先はタイ。妻も喜んでくれるかと、会社からすぐにメッセージを送ったのですが、思いも寄らない返答がありました。
「転勤が決まったよ」
「まさかの海外だった…」
「そっか」
「じゃあ離婚してくれる?」
最初は「都内から離れるなんて嫌。しかも東南アジアなんて……」と返ってきたので、私は妻の反応に不安を覚え、話し合いをしたいと送りました。「断ると今後出世はできないかもしれないし、俺は挑戦したいんだ。一緒に来てくれるよな?」と。すると妻は即答してきました。
驚いたのは私。慌てて電話に切り替えて「えっ、離婚? 単身赴任とかじゃなくて? しかも即決?」と聞くと、妻はしらっと答えました。
「実は前から悩んでいたの」
驚きの事実が明るみに
「実はあなたと結婚する前、もうひとり気になっていた人がいて。結局あなたを選んだけど、最近その彼が起業して、収入も良いみたい。ただ、自営業じゃずっとうまくいく保障はないでしょ? だから踏ん切りがつかなかった。でも、海外赴任になるなら話は別。私は日本語しか話せないし、東南アジアなんてムリだから」と……。妻が私の年収を探るような話をしていた意味に、いまさらながら気付きました。
私は妻の考え方のすべてを悟りました。「そうか……。君は収入やスペックだけで人を見ていたんだ。俺なんて、いつでも捨てられる存在だったんだな……。よくわかった、離婚しよう」
数カ月後……。離婚し、すっかり連絡も取っていなかった元妻から突然電話がかかってきました。
「私もタイに行っていい……? やっぱりあなたの奥さんに戻りたい。今になってわかった……」
聞けば再婚相手は、母親との同居を強要し、介護や家事をすべて押し付けているのだとか。かなりの亭主関白で、妻を召使のように扱っているのだそうです。
「悪いけど、俺には新しい恋人がいるから無理。君が選んだんだろ」と、当然ながら私は却下したのです。
その後、元嫁は姑から嫌がらせを受ける毎日で、かといって離婚してひとりで生計を立てる勇気も自信もないため、今の生活に甘んじているようです。
私はと言えば、海外赴任当初は言葉の壁や文化の違いに苦労し、孤独を感じる日もありましたが、それを乗り越えて仕事で成果を出し、ステキな出会いにも恵まれました。海外赴任してすてきな彼女ができただけでなく、手当などが増えて収入もアップ。いろいろな経験ができ、あのとき海を渡って本当によかったと思っています。
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結婚前から結婚後も、ずっと2人の男性を天秤にかけていた妻。スペックで人を判断するという考え方も褒められたものではありませんよね。離婚されての海外赴任でしたが、すてきな彼女ができ収入も増えたようで、結果よかったのではないでしょうか。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
※AI生成画像を使用しています
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