娘が受けた心ない言葉
娘の質問に動揺した私は「どうしてそんなことを聞くの?」と問いかけました。すると娘は泣きそうな顔で話し出したのです。
その日の昼休み、来月行われる運動会で保護者が参加する種目の話題が出たときのこと。クラスの男子が大声で「俺のママはまだ20代!美人で頭も良くて、最高なんだぞ!」と自慢をし始めたそうなのです。そこで矛先が娘に向いたというのです……。その男の子が娘に向かって「お前のママ、41歳なんだろ?おばあちゃんじゃん!」とバカにされてしまったと言うのです。あまりに馬鹿げた言葉に娘は「人の母親を悪く言わないで!」と真っ向から言い返したそうです。
しかし、その男の子は「や〜い、おばあちゃん!」とからかい続け、教室はざわつき、先生が止めに入る騒ぎに。この出来事を涙目で教えてくれた娘は「ママを守りたかったの」とポツリ。私は胸が締めつけられる思いでした。
“厄介な母親”との遭遇
翌日、その話をママ友に打ち明けるためにカフェで話をしていました。するとママ友は「実は……」と顔を曇らせました。娘をバカにした男の子のママは、この辺りで“ちょっと有名な人”だと呟きました。
話を聞くと、全身ブランドで着飾り、自慢と見下し発言ばかりだというのです。最後に、ママ友から「気をつけてね、あの人は厄介だから」と忠告された矢先、偶然にも本人が通りかかったのです。濃いメイクにブランドバッグを抱えたその女性は、私を値踏みするように見て「アナタの娘のせいでクラス中が大騒ぎになったんだって?うちの子が学校に行きたくないって言ってるのよ」と話しかけてきたのです!すると続けて「41歳にもなってまともな教育もできないなんて!ぼんやりしてたら、ただ年をとっただけのおばさんと思われても仕方ないわね」と笑うのです。
横にいたママ友がすぐに「失礼ですよ!」と反論してくれたのですが、聞く耳を持たず……。私は“どこかで見覚えのある顔だ”という違和感を拭えませんでした。
運動会で明かされた真実
そして運動会当日。私は保護者リレーに参加することにしました。走る前、娘が「ママ、頑張ってね!」と笑顔で声援を送ってくれて気合いが入りました。隣を見ると、なんと娘をバカにした男の子のママが立っていました。
そのママは「おばあちゃんは引っ込んでなさいよ」とニヤニヤとひと言。私は静かに「ねぇ、私たち……同級生だよね?」と問いかけました。そして、ポケットからスマホを取り出し事前に用意した小学校の卒業アルバムの写真を見せ「隣のクラスだったでしょ。友達にも確認したから間違いないよ」と伝えました。すると、そのママは一瞬で顔色を変え「な、なに言ってるのよ……!」と大声で怒鳴り始めたのです!突然の怒号に周囲の保護者もざわめき始め、年齢をごまかしていたことが学校中にバレてしまったのです。娘をバカにした男の子は涙目で「ママっておばさんなの……?」と問い詰め、そのママは顔面蒼白に。そして男の子は「ママ、嘘はダメだよ……。僕もお友だちに謝るから、ママもみんなに謝って!」と言うのです!
そして、男の子は娘に「君のママのことをおばさんってごめんなさい!」と謝ってくれました。男の子の真っ直ぐな姿に心打たれたママは「私も嘘をついて、見下してごめんなさい」と謝罪。その後、運動会は穏やかな雰囲気で終わることができました。
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見栄より正直に。黙るより、きちんと説明を。言葉は人を傷つけも守りもします。子どもには、嘘をつかないこと、まっすぐな心、誰も見下さない姿勢を伝えていきたいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。