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「私ってダメだわ」近所の70代女性に異変…老老介護の限界が招く悲痛な現実に心が痛む

幼いころから私のことを見守ってくれて、地元を離れた後もやさしく接してくれる実家近所に住むAさん。高齢夫婦2人だけの生活が気がかりで、帰省のたびに交流を続けていました。しかし、年とともにAさんの夫は足腰が弱り介護が必要に。Aさんが無理して自宅での介護を続けた結果、私たちの関係にも変化が現れ、ついに悔やまれる結果を迎えてしまうのです……。

 

帰省するたび会うのが楽しみな「おばちゃん」

実家の近所に住むAさんは70代後半で、私が小さいころからかわいがってくれる存在です。高校から実家を出て地元を離れた私でしたが、長期の連休や正月に帰省をしたときはいつも笑顔で「おかえり」と迎えてくれ、社会人になるまでお年玉を包んでくれました。私が40代後半になっても、親しく交流を続けていました。

 

そんなAさんの3人の子どもたちは全員40~50代で県外に居住し、Aさんは夫と長年2人で暮らしています。「うちの子どもたちは孫たちを育てるのに精いっぱいで、なかなか顔を見せなくなったのよ」と数年前、Aさんが寂しそうに話していたことを思い出します。

 

そのためか、実家へ帰省したときは、立派な自宅で夫婦2人きりで暮らすAさんに必ず、「おばちゃん、元気?」と声をかけていました。するとAさんはきまって、家庭菜園の野菜や手作りの果実ジャムなどをおすそ分けしてくれるので、Aさんとの交流が私の帰省の楽しみの1つになっていました。

 

夫の足腰が弱り、たったひとりで介護に奮闘!

そんなAさんの暮らしも、少しずつ変化していきます。Aさんの夫の足腰が徐々に悪くなり、介護が必要になったのです。認知機能の衰えはなく、会話や思考には支障がないようでしたが、歩行やトイレはAさんの介助がなければひとりでは困難でした。

 

私は月に1~2回は実家に帰省するので、そのたびにAさん夫婦に会いに行きましたが、数年の間にAさんの夫は車椅子が当たり前になっていたのです。生活全般の介助が必要で、1日中忙しくしているAさんを見た私はつい、「ここまでおじちゃんの体が大変だったら、もう介護認定をもらって介護サービスを利用したら?」と提案。それに対してAさんは「あの人はこだわりが強いし、頑固だから何を言ってもダメよ」と消極的な姿勢でした。

 

相変わらずAさん夫婦の子どもたちが帰省する気配もなく、コロナ禍によって一層親子の関わりや近所付き合いも減少しているようでした。私は、普段離れて暮らす自分の両親のことも心配な一方で、Aさん夫婦も気がかりで、毎月顔を見に行くようにしました。

 

 

少しずつ異変が…白髪が増え顔つきまで暗転

しかしその後、夫の介護を自宅でひとり毎日続けていたAさんに異変が起こり始めました。

 

あるとき、Aさん宅を訪れると玄関が開いていて、すぐそばのキッチンで作業をしているAさんの姿が見えました。「こんにちは~」と大声で叫び、念のため玄関のインターフォンを押すと、大音量の呼び出し音が家の中に鳴り響きました。

 

しかし、聴こえているはずのAさんはいつまでたってもこちらに来ません。しばらくしてようやく顔を見せてくれましたが、動作もゆっくりで様子がおかしいのです。そして「なんか最近忘れ物ばっかりよ。私ってダメだわ」と後ろ向きな言葉を発しました。

 

その翌月、翌々月と、Aさんに会うたびに毎回同じような言動が続いたのです。なんだか白髪も急激に増え、表情も一転して暗くなり、時々険しい顔で私をにらんでいるような日もありました。「これはおかしい……」と心配していたところ、実家の母から「Aさん夫婦、2人で入院したよ」と連絡が入ったのです。

 

結局、Aさんはたったひとりで夫の介護に明け暮れ、心身を病んでしまったそうです。Aさんに異変が感じられるようになったのは、数カ月から1年の間のことでしたが、人はここまで急変するのかという驚きを隠せませんでした。

 

まとめ

今もAさんの入院生活は続き、実家に帰省しても会えないことがとても寂しく残念です。同時に私に何かできることがあったのではないかと、いまさらながら悔やまれます。今回の出来事から、たとえ介護者が嫌がっても、公的なサービスなどを早めにしっかり利用することが重要だと改めて思い知らされました。

 

 

※記事の内容は公開当時の情報であり、現在と異なる場合があります。記事の内容は個人の感想です。

※AI生成画像を使用しています

 

著者:里 ゆりこ/海がある小さな街で夫と2人で暮らす40代。中古で買ったオールドレンズにハマり、休日は地元の海や自然の写真撮影が趣味。

 

※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年8月)

 

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