大学時代の友人から突然の連絡
友人のことを夫に話すと、夫は「誰だっけ?」と覚えていない様子。同じ学部で、テニスサークルに入っていて……と説明していくうちに、ようやく思い出したようです。すると夫は真顔で、「お前、あいつにいつもマウントを取られていただろ? バカキャラ扱いされていた気がする」と言うのです。私は苦笑しながら「そんなことないと思うけど」と返しましたが、夫は「俺はあれを見て女子って怖いと思った」と真剣に話していました。
友人が連絡をくれた理由は、私たちのお店がYouTubeで紹介されているのを見たからでした。お店を持っていることにも驚いたようですが、それ以上に「私たちがここまで長く続いていること」に驚いたようです。そして私は、友人から思いがけない言葉を聞きました。友人は「私、あなたが捨てられると思っていた」と言ったのです。私はその言葉に少し驚きましたが、深くは触れずにスルーしました。
私は夫に「もし友人がお店に来たらどうする?」と尋ねると、夫は「店に誰が来ようが、やることは同じだ。最高の料理とサービスを提供するだけ」ときっぱり言い切ったのです。その言葉を聞いて、改めて夫を頼もしいと思い、私も見習おうと心に決めました。
大学時代の友人と再会。会話に胸がざわつき…
その後、私たち夫婦と友人は、懐かしさもあって再会することになりました。友人は夫がなぜ料理人になったのか興味津々で、あれこれと質問してきました。そのうち、夫のことを「昔からストイックでイケメンだった」と褒めちぎり、さらに「YouTubeで見た姿は渋さが増していて、ますますかっこよくなった」と言うのです。夫は笑いながら「妻のほうが生き生きしているよ」と返しました。
すると友人は私に向かって「天然を装っていて、ずるい」と言い出しました。さらには「大学時代は夫のことを狙っていたけれど、取られて残念だった」とまで口にし、最後には「なんか2人、不釣り合いだよね〜」と言ってきたのです。その言葉に少し心がざわつきましたが、夫はきっぱりと否定しました。「いやいや、知らないだろうけど、妻は気も利くし、こう見えて忍耐強くて……いつも助けられてる」と言ってくれたのです。友人はどこか面白くなさそうな表情を浮かべていました。
別れ際、友人は「会社の飲み会でお店を貸し切りたい」と言いました。人数は30人ほどとのこと。さらに「同級生のよしみで割引してね」と笑いながら言い残し、その日の再会は終わりました。
予約当日、まさかの連絡に胸がざわついて…
今日は友人が予約してした貸切パーティー当日。直前になって「30人の貸切パーティーをキャンセルしたい」という連絡が入りました。しかも「また今度予約するからキャンセル料は払わない」とまで書かれていたのです。私は動揺して夫に伝えると、夫は「そうか、おもしろいじゃん」とひと言。思わず「え??」と聞き返してしまいました。
夫は落ち着いた表情で、「なんとなく一波乱あるんじゃないかと思っていただろ? いったい何が起こるのかと思っていたけど……そうきたか」と言うのです。私は必死で「でもどうするの? このままじゃ大赤字だよ!」と訴えました。夫の余裕ある態度に救われる気持ちと、不安が入り混じり、胸の鼓動が早まっていくのを感じました。
すると夫は「実は今日は、いつもと趣向を変えたメニューに挑戦してみたんだ。今からSNSで呼びかけて、特別価格で提供しよう。そして来てくれた人に感想を聞いてみたい」と言ったのです。どのくらいの人が来てくれるかはわかりませんが、「こんな日はいつもと違うことをしてみてもいい」と夫の考えに賛同し、すぐにお店のSNSを更新しました。
キャンセルの後、連絡が取れなくなり…
そして問題の友人ですが、キャンセルの連絡が入って以降、一切連絡が取れなくなりました。電話番号は大学時代のものから変わっていて繋がらず、住所も職場もわかりません。まるで最初から姿をくらませるつもりだったかのようでした。
夫は腕を組みながら、「あいつは最初からこうするつもりだったのかもしれない」と冷静に言いました。そして「とにかく、このままやられっぱなしなんて嫌だ」と続け、「まずは大学時代の共通の知人に連絡してみよう。誰か連絡先を知っているかもしれない」と提案してきました。その後、友人の連絡先がわかり……。
キャンセル料を払わない友人に夫は…!
ある日、夫が友人に「キャンセル料を払え」と連絡しました。通話はスピーカーにしてあり、横にいた私にも内容が聞こえる状態です。夫の問いかけに、友人は鼻で笑いながら「は? イヤよ」と平然と返しました。30人分もの予約をドタキャンしておきながら、まるで自分には責任がないかのような態度。さらに「キャンセル代なんて聞いてない。あんたの常識を押し付けないで」と挑発してきたのです。
「それなら手段は選ばない」と夫が告げた瞬間、空気が一変しました。夫は冷静に「お前の職場を突き止めた」と言い放ち、「今から職場にクレームを入れる」と続けました。すると友人は慌てて「会社は関係ない! 飲み会というのは嘘!」と取り乱し……。つまり、最初からドタキャンするつもりで予約したことを自ら認めたのです。
夫が「営業妨害だな。被害届を出す」と冷たく言い放つと、友人はようやく「わかったわよ! キャンセル料を払えばいいんでしょ!」と折れました。夫は最後に「もううちの店には二度と来るな。そして二度と俺たちに関わるな!」と言い、通話を終えました。今回の件で夫は友人の連絡先を調べるために大学時代の仲間に連絡を取り、ドタキャンした友人と今も交流のある子から勤務先や電話番号を教えてもらいました。やがて夫が連絡先を探していた理由が仲間内に伝わり、友人の今回の悪行はかつての同じ学部のみんなに知れ渡ることに。
いろいろと考えさせられる出来事ではありましたが、友人がドタキャンした当日にはSNSを見て来店してくれた新しいお客さんもいて、お店は盛況。その後、常連さんも増えたように感じます。これからも夫と二人三脚でお店を守っていきたいと思っています。
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キャンセル料を支払わない場合、まずは電話や書面で請求され、それでも拒み続ければ裁判で訴えられる可能性があります。さらに、最初から支払う意思がなく相手をだました場合には、詐欺罪に問われることも。キャンセルをする際はできるだけ早めに連絡を入れるなど、常識的な行動を心がけたいですね。
【取材時期:2025年8月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。