沙織が産休に入ると、守は沙織に仕事をやめるように言いました。沙織の仲のいい同僚の2人が、実は沙織の悪口を言っていて、悪巧みをしていると言うのです。はじめは信じられなかった沙織ですが、産休後、同僚からの連絡が一切途絶えたことで、守の言葉を信じ、退職することに。
その後、無事に男の子・晴人を出産。守は、完璧な専業主婦になるための家事リストを沙織に手渡しました。そして、守は沙織へのサプライズとして、新しい白い服をプレゼント。ただ、クローゼットにあった沙織の服がすべて処分されていたことに、沙織は動揺します。
「理想の母親であるべきだ」と持論を展開したり、「母親は母乳で育てるもの」と根拠のない主張をし始めたりする守に、沙織は不気味な違和感を覚えていくのでした。
ある日、大学の友人たちから土曜日にお茶のお誘いを受けた沙織。しかし、もともと赤ちゃんを連れ歩くことに難色を示していた守から、その日は義母が晴人に会いに来ることになったと言われ、諦めることに。
土曜日ー。やってきた義母は事情を知ると、「育児のためには母親が笑ってるのが1番」と言って、友人とのお茶にお小遣いを持たせて行かせてくれました。
久々の友人に会った友人たちに、沙織は思い切って最近の守の変化について相談してみることに。すると友人たちは――。
夫のことを友人に相談すると
久々に会った友人たちは沙織の服が清楚な雰囲気になったと、驚きます。友人たちに「旦那さんとは仲良くやってる?」と聞かれた沙織は、ふたりに守のことを相談してみることに。
けれどもふたりから返ってきたのは、沙織にとって意外な反応でした。
「うらやましー!!」「専業主婦でいいなら私も頑張っちゃうな~」と、産休中に仕事をやめる提案をされ、専業主婦をすすめられたという沙織をうらやましがるのです。
沙織は友人に自分の気持ちをわかってもらえず、落ち込みますが、同時に自分が贅沢なのだろうかとも思ってしまいます。
帰宅すると、夕飯は義母が作っておいてくれたと守に言われ、あわてて義母にお礼の電話をする沙織。
「頼れる実家がないでしょう。何かあったら母親代わりに相談してくれると嬉しいわ」
義母に温かい言葉をかけられ、涙ぐむ沙織。守はその様子をただ、じっと見つめるのでした――。
◇ ◇ ◇
思い切って打ち明けた沙織の悩みは、友人たちからは「うらやましい」と見えてしまったようです。せっかく相談しても、うまく伝わらなかったり、共感してもらえなかったりすると、心が置き去りにされたような気持ちになりますよね。けれど、沙織が感じた「贅沢なのかな?」という戸惑いは、自分自身の心と向き合うための大切な問いかけだったのかもしれません。自分の心の声に、しっかり耳を傾けたいですね。