沙織が産休に入ると、守は沙織に仕事をやめるように言いました。沙織の仲のいい同僚の2人が、陰で沙織の悪口を言っていて、悪巧みをしていると言うのです。はじめは信じられなかった沙織ですが、産休後、同僚からの連絡が一切途絶えたことで、守の言葉を信じ、退職することに。
その後、無事に男の子・晴人を出産。守は、完璧な専業主婦になるための家事リストを沙織に手渡しました。そこには、「おかずは3品+汁物」を用意することなどがリストアップされていました。
そして、守は沙織へのサプライズとして、たくさんの白い服をプレゼント。ただ、クローゼットにあった沙織の服がすべて処分されていたうえ、白い服は守の好みだったことに、沙織は動揺します。
その後、「理想の母親であるべきだ」と持論を展開したり、「母親は母乳で育てるもの」と根拠のない主張をし始めたりする守に、沙織は不気味な違和感を覚えていくのでした。そんな沙織にとって、心のよりどころになっていたのはお義母さんでした。お義母さんは沙織に寄り添ってくれる理解者だからです。
後日のこと。守が仕事から帰ってくると、おかずが2品しかないことを指摘してきました。沙織は「今日は晴人がぐずぐずで……」と理由を伝えますが――!?
おかず2品を指摘した夫は
夜、仕事から帰宅した守は、おかずが2品しかないことを指摘しました。
沙織は、晴人のぐずぐずがひどくて約束の3品が作れなかったと素直に伝えます。しかし、「みんなそれをうまくやってるんだよ母親は」「沙織ももう少し家の仕事極めないとね」と、笑顔ではあるものの皮肉たっぷりの守。さらにはため息をついて、「これじゃ栄養バランスが整った食事とは言えないな」「今日はカップ麺を食べるよ」と言い出したのです。
「『完璧』じゃないならゼロと同じなんだよ」
カップ麺を持ちながらニヤッと不気味な笑顔を見せる守。今まで見たこともないような守の表情に恐怖を感じた沙織は、思わず肩を震わせて「ごめ……んなさい……」と謝るのでした。
後日、買い物へ出かけると、急にくらくらし、目がまわってしまった沙織。思わずベビーカーから手を離し、よろけそうになったそのとき、ガシッと誰かが沙織の腕をつかみました。
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育児や家事は、常に予測不可能なことの連続ですよね。沙織は、子どものぐずぐずがひどくて家事が進まなかったと伝えていますが、小さな子どもがいる家庭では、計画通りに進まないことの方が多いのではないでしょうか。夫は、完璧ではないことに皮肉や嫌味を言って責め立てますが、家事や育児の成果は見えにくいもの。だからこそ、想像力を働かせて、相手の努力や背景を理解してほしいですよね。お互いにそれができて初めて、温かい家庭の空気が生まれるのかもしれませんね。