彼も喜んでくれると思っていた
高校時代から付き合っていた同級生のA。社会人になって数年たち、私たちは結婚を視野に入れた交際を続けていました。24歳のときに同棲もスタートしましたが、彼は飲み会だ付き合いだと外食ばかりで、私たちはどんどんすれ違うように。そんなとき、私にとってうれしいことが判明したのです。それは妊娠したこと。
子どもを望んでいたこともあり、私は喜びでいっぱいでした。そして彼も同じ気持ちだろうとAに報告したのですが「子ども? 俺は別に子どもなんて欲しくないんだけどな…」という信じられない答えが返ってきたのです。そして、「産みたければ産めば? でも、俺は認知なんてしないよ。じゃあ俺、飲み会だから」と言って家から出ていってしまいました。
Aからのまさかの反応に私は呆然。そしてこのとき、彼への愛情が急激になくなっていくのを感じたのです。ただ、私は望んでいた子どもを諦めることはできませんでした。
この事件から3年後
私はAとの関係をすべて清算してから実家に戻りました。妊娠のことを告げると、あちらのご両親は泣いて謝罪し、出産に関わる費用などを全面的にサポートしてくれることに。両親や友人の助けもあり、私は無事に娘を出産しました。
それから約3年。娘が2歳になったころ、突然Aから連絡がきたのです。
「3年ぶりだな。俺だけど、元気?」と彼は妙にハイテンション。電話番号は非通知でしたが、私は声ですぐにAだと察しました。
「…今さら何の用?」私がそう答えると、Aはこちらの様子などお構いなしに言い放ちました。「あのさぁ、いろいろ考えたんだけど。やっぱり認知するよ! 父親がいないなんてかわいそうだろ?」と、無神経にもほどがある提案をしてきたのです。もちろん私は速攻で却下しました。
声をかけてきた理由は
そして、「娘が赤ちゃんモデルとしてデビューしたから近寄ってきたんでしょう?」と言うと、Aの受け答えは突然しどろもどろに。どうやら図星だったようです。
偶然が重なって、有名な赤ちゃん雑誌の表紙に抜擢された娘。そのことは同級生たちの間でも話題になっていたので、Aはどこかから聞きつけたのでしょう。彼は「あの有名な赤ちゃんの父」と大きな顔をしたいだけなのです。そんな彼に、私は「もうあの子には、れっきとした父親がいるの! あんたの出る幕はない」と宣言しました。
私は幸せだから!
私の言葉に「は? ど、どういうことだよ?」とAはなぜか逆ギレ気味の様子。そして、私は隣にいた人物にスマホを渡しました。「A、久しぶりだな。俺だよ、同級生のB」Aはその人物の声を聞いて驚いていたようでした。
そう、実家に戻った妊婦の私は、高校の同級生だったBと再会。そして親身に相談に乗って助けてくれた彼に惹かれていったのです。Bも彼のご両親も、私とAのことや赤ちゃんのことをすべて知ったうえで受け入れてくれ、出産直前に入籍。内輪だけでささやかな結婚式も挙げました。
「私は今、Bと娘と3人で幸せに暮らしているから。もう金輪際関わらないで」そう言うと、言葉を失ったままBは電話を切りました。
しばらくして聞いた噂によると、Aは借金を抱えていたのだとか。モデルになった娘がいれば簡単に稼げると思ったのかもしれません。最終的には、Aの両親がAを家に連れて帰って、私たちに近づかないようにしてくれているよう。これで安心して3人で暮らせそうです。
娘はますます快活に育っています。Bと私も、親としてこの子がやりたいことを精いっぱい応援していきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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