久々に帰ってきた息子からの報告
夫を失った当初は不安も大きく、思春期真っ盛りの子どもたちとぶつかることもありましたが、なんとかここまでやってこれました。
息子は大学進学を機に家を出て、そのまま就職して独り立ち。一方、娘は今も私と一緒に暮らしており、日々支え合っています。
そんなある日、久しく実家に顔を出していなかった息子から電話が入りました。
「週末、そっちに帰るよ。話したいことがあるんだ」
息子には付き合っている女性がいることを知っていたので、私は結婚の報告だろうと予想していました。
知らないうちに入籍していた息子
週末、玄関に立った息子の隣には、初めて会う女性が一緒にいました。落ち着いた雰囲気の息子とは対照的に、少し派手めな印象の女性。息子は彼女を「A子さん」と紹介し、なんとすでに入籍していると告げました。
「えっ、もう籍を入れたの?」。私は驚きで言葉を失いました。入籍の前にひと言でも相談が欲しかった……というのが正直な気持ちでした。
さらに驚くことに、結婚式も友人たちだけを招いてすでに終えていたというのです。私も娘も式には招かれていませんでした。
新居は秘密に…そしてお祝いのお願い?
ショックを隠しながらも、私は2人を祝福しました。「おめでとう。これからはお互い支え合って頑張ってね」。そして、ふと「今はどこに住んでいるの?」と尋ねたところ、息子が答えようとした瞬間、A子さんがすっと会話を止めました。
「すみません、住所は教えていないんです。お互いに気をつかわない距離感でいられたらと思って……」
少し戸惑いましたが、考えがあってのことだと受け止めました。ところがその後、A子さんがさらりとこう言ったのです。
「お祝いは現金だと助かります」
その言葉に、私も娘も思わず顔を見合わせました。金銭面を最初に持ち出されたことで、複雑な気持ちになったのを覚えています。
距離を置くことに決めた私たち
その後も息子たちとは新居の住所を聞くことができないまま、交流は最小限にとどまりました。
一方で私と娘は、念願だった新築マンションへの引っ越しを決断。新しい生活をスタートさせることになりました。
こちらも新居の住所をあえて息子たちには伝えませんでした。息子夫婦が「お互いに気をつかわない距離感を」と考えているのを理解し、その思いを尊重したかったのです。
思わぬ形で知られてしまった新居
ところがある日、息子夫婦が突然新居にやって来ました。どうやら親戚づてに新居の住所を知ったようです。
「母さん、すごいところに引っ越したんだね!」
インターホン越しに話す息子に、私は少し戸惑いながらも「急に来られるとびっくりするわね」と穏やかに返しました。
その後、息子たちから「実は返済に困っている借金があって……」と、金銭的な相談を持ちかけられました。お祝い金のやり取りや生活ぶりから、金銭面に不安を抱えているのではと感じていました。そんな経緯もあって、息子夫婦から借金の相談を受けても驚きはありませんでした。だからこそ、これまでの態度や考え方も踏まえ、きっぱりと「経済的な援助はできない」と伝えました。
息子たちとは距離を置くことになりましたが、それぞれが自立して生きていくためには必要な決断だったと思います。
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突然の結婚報告に始まり、思いがけない展開が続いた息子夫婦との関係。家族とはいえ、距離を置くことで見えてくることもあるかもしれません。これからは互いを尊重しながら、無理のない関係を築いていけたらいいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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