憧れ企業での屈辱的な面接
大学4年生の春、業界大手企業の面接を受けました。ところが面接官の男性から出てきたのは、心ない言葉ばかり。
「君みたいのって、勉強頑張ってこなかった系ね」
奨学金返済のためにバイトに追われ、サークル活動ができなかった私に対して、さらに追い討ちをかけます。
「サークルしてないの?集団で何かするの、苦手なんだ」
「正直、女性はすぐ辞めるから取りたくないんだよね」
今なら完全にアウトな発言ですが、当時はこんな偏見がまかり通っていました。
結果はお祈りメール。子どものころから「入りたい!」と願っていた企業への入社はかないませんでした。
零細企業で見返してやると必死に働いた
結局、同業界の零細企業に就職。従業員20人ほどの小さな会社でしたが、「あの言葉を見返してやる」という気持ちで誰よりも必死に働きました。
周囲に恵まれ、営業成績は常にトップクラス。持ち前の負けず嫌いで会社の売上げアップに貢献し、会社は急成長。創業メンバーに近い私は、30代にして役員に昇進していました。
まさかの再会!立場が完全逆転
役員になった私の仕事の一つが、中途採用の面接官でした。
ある日、会議室に入ってきた応募者を見て目を疑いました。忘れもしない、あの憧れ企業で私を落とした面接官だったのです。
履歴書を見ると、前職はその大手企業。しかし、トップの不正発覚で会社は傾き、大リストラが行われていました。
「よろしくお願いします」と頭を下げる彼に、当時のことが蘇ってきました。
正直、「ざまあみろ」という気持ちがありました。 あの時の屈辱を思い出し、「当時のこと、覚えていますか?」と言ってやりたい衝動に駆られました。
でも……結局、何も言いませんでした。
静かに下した判断
個人的な感情で採用を決めるわけにはいきません。彼のスキルを客観的に評価した結果、残念ながら当社に合うポジションがありませんでした。
私は淡々と面接を進め、最後にこう伝えました。
「残念ですが、望まれているようなポジションは弊社ではご用意が難しいかもしれません。正式な合否は後日、メールにてお送りします」
その瞬間、彼の目がわずかに泳ぎ、肩をガックリと落としました。
立場は巡り巡るもの
この出来事で改めて思ったのは、人生いつ立場が変わるかわからないということです。だからこそ、どんな立場でも奢ることなく、謙虚に仕事に取り組みたい。
あの屈辱的な面接は辛い経験でしたが、それがあったから今の自分があります。悔しさをバネに頑張り続けることができました。
人生で一番大切なのは継続する力。最初は恵まれなくても、諦めずに努力し続ければ必ず報われる日が来る。
でも正直……ちょっとだけ、スカッとしてしまったのも事実です。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。