従兄弟から結婚式の招待状が
僕の両親は、僕が小学生のときに離婚しました。高校生のときに母が他界してからは、2歳下の妹の大学進学のため、高校卒業後すぐに働くことに。同時に、僕は夢だった美容師を目指して専門学校にも通い始めました。
その甲斐あって数年後、憧れだった美容院に就職することができました。一方の妹は、大学では優秀な成績を残し、卒業後は大手商社に就職。僕も妹も充実した日々を過ごしていました。
そんなある日、従兄弟から結婚式の招待状が届きました。両親が離婚してからは付き合いがありませんでしたが、小さいころ仲良く遊んだことを覚えています。僕は楽しい思い出に浸りながら、出席に丸をつけて返事を出しました。
妹は海外勤務中なのと、予定がすでにあったため、残念ながら欠席に。僕は従兄弟の結婚式を楽しみにしていました。
仲良しだったはずの従兄弟
従兄弟の結婚式当日。親族控室に入り、従兄弟に「久しぶり! 結婚おめでとう!」と声をかけました。久しぶりに会う従兄弟は「誰?」という反応だったので、僕は自分の名前を名乗りました。すると従兄弟は「お前、マジできたの?」と言うのです。僕が驚いていると、従兄弟は笑いながら「今日、お前の席用意してないから!」と言いました。
僕が「招待状送ってくれたよな?」と聞くと、「妹だけきてくれればよかったのに。うちの親戚はお前以外みんな大卒だよ? 高卒のお前に参加資格なんてないから!」と言われる始末。
その後、従兄弟は「せっかくきたんだからご祝儀だけは置いていけよ! 置いたらすぐ帰っていいからなー」などと言いながら、親族控室を出ていきました。
信じがたい状況に動揺しながらも、仕方なく僕は帰る準備を始めました。するとそのとき、先ほどの一部始終を見ていた人物が声をかけてきたのです。
声をかけてくれたのは新婦の妹
ご祝儀を置いて会場を出ようとしたとき、ひとりの若い女性から声をかけられました。その女性は新婦の妹だと言います。どうやら、さっきの従兄弟と僕のやりとりを見ていたようです。
「せっかくきていただいたのにご祝儀だけ置いて帰るなんて…」とすごく心配してくれました。続けて、「親族席ではないのですが、ひと席キャンセルが出たのでいかがでしょう?」と言うのです。僕の祝う気持ちはすっかり消え失せていたものの、妹さんの気遣いを無駄にはできず、出席することにしました。
こうして新婦の妹さんに案内された席は、高級感漂う身なりをした男性の隣でした。
披露宴が終わると親族控室に呼ばれて…?
席についてあいさつをすると、隣の男性は「うちの会社の人が急に体調を崩してしまってね。ところであなたは?」と聞かれ、僕はこれまでの経緯を話しました。
それからほどなくして披露宴が始まり、僕は幸せそうな2人を黙って見守りました。2人の宴はとてもいいものでした。披露宴は無事終了し、帰ろうとした僕のところへ新婦の妹さんがやってきて、なぜだか再び親族控室へと案内されました。
部屋に入った途端、新婦が「新郎が失礼なことをして本当に申し訳ありません…!」と深々と頭を下げてきたのです。新婦から「学歴で人を見下すなんて、そんなつまらない人とはやっていけないわ」と言われ、従兄弟は事の重大さにようやく気づいた様子。従兄弟は慌てて新婦に「ごめん」と謝っていました。
実は隣に座っていた男性が…!?
そんなとき、「失礼します!」と言いながら、先ほど僕の隣の席にいた男性が親族控室にやってきました。従兄弟は驚いた表情で「社長!? どうしてここに?」とポカンとしています。なんと、僕の隣にいたあの男性は、従兄弟が勤める会社の社長だったよう。僕の話を聞いて「新郎と話がしたい」と親族に許可を取り、親族控室までやってきたそうです。
社長は「君は報告を受けている通りのようだな」と言います。どうやら、従兄弟は会社でも他の高卒社員たちに悪態をつき、日頃からばかにしていたとのこと。社長には前々からその報告が上がっていたと言います。社長は「社内調査をする」と言って去っていきました。そのあと、僕もすぐに会場を出ました。
あとから聞いた話によると、今回の騒動が会社内にも広まり、いづらくなった従兄弟は社長からの処分を待たずして、自主退社したとのこと。それに加えて結婚生活も破綻し、現在はさみしい生活を送っているようです。
一方の僕はというと、なんとあのとき席を用意してくれた新婦の妹から「私も美容師を目指しているの」と連絡がきて、それから美容師の先輩後輩として会ううちに、なんと交際に発展! いつか2人で美容室を開くのが今の僕たちの夢です!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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