理不尽な理由で怒る夫
天気が悪く、公園に行けないという理由で車でショッピングモールへ買い物に行こうと決まったのはその日の朝。車移動とはいえ、雨で靴裏が濡れた娘を抱っこしたら服が汚れるかもしれないし、駐車場によっては傘をさして歩くところもあるかもしれない。それに、荷物も多いし……と様々なリスクを思い浮かべ、私はバタバタと支度を進めていました。おしゃれをしたい気持ちも抑え、動きやすいデニムを履き、少しだけフリルのついたトップスを選びます。一方の夫は、お気に入りのブランドものの服を着てご満悦。「子どもと雨の中歩くかもしれないんだよ? 汚れちゃわない?」と言う私の言葉も届かず、自分の準備だけをしていく夫を見ながら、少しずつモヤモヤが溜まっていきました。
ショッピングモールに着くと、娘が夫に抱っこを要求。夫は娘を抱っこして歩き、私は後ろを歩いていました。すると突然、夫が立ち止まって娘に「娘ちゃん、パパの服が汚れるから足を伸ばして」と言ったのです。というのも、夫はかなりのきれい好き。娘の足が夫の服に触れるたびに、靴の汚れが気になって仕方がない様子でした。
しかし、まだ小さな娘には、言われたことをすぐ理解するのは難しいもの。夫の言うことを聞かずに足をバタバタさせてしまいます。夫はイライラした表情を浮かべ、次第に強い口調になっていきました。遂には、「汚れるって言ってるだろ!」「もうママに抱っこしてもらえよ!」と大きな声を出します。
夫の大きい声に、娘はびっくりして泣き出してしまいました。自分勝手な理由で娘にきつく当たる姿や、「ママなら汚れてもいい」と思っているかのような態度に、私は怒りが抑えられず、「だから言ったでしょ!?」と少し声を荒らげてしまいました。普段は静かな私の怒った声に、びっくりした様子の夫……。
「汚れるのが嫌なら、子どもと出かけるときにそんな服着なければいいでしょう? 私なんて毎日汚れるのが前提で服を選んでるよ! お気に入りのワンピースは着る機会がなくなったし、靴だって汚れてもいいスニーカーばっかりだよ! 私ばっかりおしゃれ我慢して、なんであなたは自分のことしか考えられないの!? それに、子どもに理不尽に怒らないで! 謝って!」と、私の怒りは止まりません。夫は何も言い返せず、「ごめん」とひと言。黙って娘を降ろしなだめ始めたので、私の怒りは少しだけ収まったのでした。
後日、夫の服を選びにまた3人でお出かけしました。お店で夫が手に取ったのは、カジュアルなTシャツ。それをじっと見ていた夫は、私のほうを振り返って、少し照れくさそうに「これなら汚れてもじゃぶじゃぶ洗えるし、娘ちゃんともいっぱい遊べるかなと思ってさ」と言いました。私が言いたかったことが伝わったのか、夫はおしゃれではなく、子どもと過ごすことを優先した服装も考えてくれるようになったのでした。
私自身も「ママだからおしゃれできないのは当たり前」と勝手に思い込み、自分自身を苦しめていたように思います。夫婦できちんと協力していれば、どちらかだけに不満がたまることはないのかもしれません。我慢することなく自分の考えを伝える勇気が、夫婦が互いに歩み寄り、共に成長するための大切なコミュニケーションなのだと気づいた出来事でした。
著者:松原櫻子/40代・ライター。2歳の娘を育てる母。イヤイヤの地雷を踏まないように、日々忍者のごとくそろりそろりと歩いている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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