新社長の暴言にうんざりして辞職→新しい職場で前社長と偶然出会い、前会社の現状を伝えると…

僕がこの会社で働くきっかけになったのは、前社長のAさんと街で出会ったことでした。僕は大学卒業後、仕事が大変な企業で数年間働いていましたが限界を感じて辞めることに。求職中の僕がカフェで休んでいたときに、近くにいたAさんが飲み物を倒してしまって……

 

「ごめんなさい…あれ、その書類は……」

 

Aさんのこぼした飲み物が僕の履歴書にかかってしまい、Aさんは慌てていました。幸いコピーだったので大丈夫なことを伝えるとAさんは安心していました。

 

「あなた、就職活動中なの？」

 

Aさんの質問に僕が事情を説明すると、Aさんは「あの大変だって噂の会社で3年も頑張ったのね！ 良ければ、うちの会社を見てみない？」と驚きの発言をしたのです。

 

こうして、僕はAさんが社長である会社で数日間アルバイトをしました。そして、正式に採用され、正社員として働くことになったのです。

 

こうして僕は日々やりがいを感じながら働いていたのですが……。あるとき、Aさんが

 

「社長という役職は、私に向いていなかったと思う。業績も上がっていないし、社長は別の人にお願いすることにした」

 

と言って会社を辞めてしまいました。

 

新社長になってからは、

 

「お前は本当に仕事ができないな」

 

と言われる毎日。新社長は、僕たち社員へのあたりが強く、会社には重い雰囲気が漂っていました。それだけではなく、社長の息子であるBを入社させて役職を与え、Bは父が新社長なのをいいことに社員へ上から目線で命令してくるように。

 

Aさんが社長のときは、全員のことを気にかけてくれて、みんなが働きやすい環境を整えてくれていました。新社長はAさんの遠い親戚のようですが、Aさんがいたときと態度が180度違います。Aさんの前では猫をかぶっていたのでしょう。

 

こうして僕は会社の雰囲気に耐えきれず、同僚数人と会社を辞めることにしました。

新しい仕事が見つかるまでの間、僕は近所の工場で働くことにしました。今までやったことのない仕事で大変な毎日を送っていたのですが……。

 

「あれ？ あなたは…」

 

なんと声をかけてくれたのはAさん。Aさんは新しく立ち上げた会社とこの工場との間で取引があるとのことでした。「なんでここにいるの？！」と驚くAさんに、僕は今、ここで働いていることの理由として、前の会社の事情を説明。

 

するとAさんは……

 

「何それ？ 私が大切にしてきた社員を…許せない！」

 

こうしてAさんは前会社の社員などから聞き取りし、新社長と息子のこと、今の会社のことを把握していったようです。その際、なんと新社長と息子が横領していたこともわかったそう！

 

それからAさんは、得た情報を新社長の下で働く社員たちに共有。そして、社員からの内部通報で新社長と息子の横領が明るみに出たのです。

 

社内の人から聞いた話によると、新社長の代わりに新たな人が社長に就任してから社内の雰囲気はもとに戻ったそうです。圧力をかける人もいなくなり、社員はのびのびと仕事をしているとのことでした。

 

そんな中、僕はまたAさんの会社に誘われて……。

 

「あなたと離れてわかった…やっぱりあなたの力が必要！」

 

Aさんの言葉にうれしくなった僕は、会社を辞めた同僚とともにAさんの下で働くことを決意。これからも、Aさんと一緒に仕事ができることが楽しみです！

 

※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。