商品の購入は断ったのに…
息子が小学1年生になったとき、入学式で隣に座っていたママ、Aさん。少し話すとなんだか気が合って、笑顔が素敵で好印象なママでした。美容系のサロンを経営しており、とってもきれいで憧れの存在でもありました。その後も息子の登下校の付き添いや参観日などでも顔を合わせる機会が多く、入学して3カ月ほどたったころには、一緒にランチやショッピングに行く仲になり、私は友情が芽生えたと感じていました。
あるとき「夏休み前に、またランチ行こうよ」とAさんが誘ってくれたので、私は「ぜひ!」とその誘いを受け、近所のレストランへランチに行きました。いつものように、学校や子育てなどのことについてワイワイとおしゃべりを楽しんでいたのですが、ふとAさんが「スキンケアってどんなの使ってるの?」と言います。私は「○○のものを使っているよ」とブランド名を伝えると、そこから怒涛の勢いで自分のサロンの化粧品の紹介が始まったのです。そして最後に「買ってみない?」と言います。高額なこともあって「私にはちょっと高いし、やめておくね。でも教えてくれてありがとう」とていねいに断りました。Aさんは「そう……」と残念そうな表情でうつむき、なんとなく気まずい空気の中、その日は解散に。
しかしその後、Aさんの態度が豹変したのです。息子の学童のお迎えで顔を合わせて、私が「あ……」と気づいてもあいさつはなく、Aさんは知らんふり。化粧品の購入を断っただけで友情が壊れるとは思っていませんでした。とてもショックでしたが、これ以上勧誘されるのも嫌だなと思ったので、私も割り切って関わりを絶ったのです。
そしてしばらくたったころ、参観日で学校へ行くと、教室前でAさんがひとりでいるところを目にしました。聞いたところによると、他のママにも化粧品をすすめていて、断った人のことを無視しているのだとか。本当はずっと仲良しでいたいと思っていたくらい気が合っていたAさんが孤立している姿を見ていられず、私は思い切って声をかけることにしました。
「Aさん、久しぶり。この前はせっかくいいものを紹介してくれたのにごめんね。購入はできないんだけど、また今度ランチでも行かない?」と言ったのですが、Aさんは私をギロリとにらみます。そして「買わないなら仲良くしなくていいから! こういうの買ってもらえないとサロンの経営も厳しいの! 友だちだっていうなら協力してよ!」と声を荒げたのです。
まさか逆ギレされるとは思わず固まってしまった私。ただ仲良くしたかっただけなのに、そこまで言われるなんて……と悲しくなっていたところに、息子たちの担任の先生が通りかかりました。声を荒げたAさんの発言が遠くからも聞こえていたようで「お母さん、友情って見返りを求めるものじゃないんですよ」とズバッと言ってくれたのです!
「子どもたちにも、今、思いやりについて教えているところです。大事なのは、お互いに気持ちよく付き合えること。断っているのに無理やり……っていうのは、子どもたちに見せる手本としてもあまりいいものではないですよね」と今度はやさしく話す先生。その言葉には説得力があり、私も周囲にいたママたちも思わず一斉にうなずきます。Aさんはというと、ぐうの音も出ないようで黙り込み、「ごめんなさい……」とつぶやいてその場を去ってしまったのでした。
後日、Aさんからは「先日はごめんなさい。せっかく声をかけてくれたのに、意地張っちゃって。これからも仲良くしてくれるとうれしいです」とメッセージが届きました。化粧品購入の勧誘もなくなり、今ではまた以前のようにたわいもない話ができるママ友関係に戻っています。
先生の言う通り、見返りがあるかどうかで友だちでいるかを決めるのは、子どもたちのお手本としてよくないと私も思います。相手を思いやる気持ちを大切にしながら、ママ友同士の関係もていねいに築いていかなければと思った出来事でした。
著者:佐野千佳/30代・パート。8歳の息子と4歳の娘を育てながら、週5回パートに出るワーママ。自分のしたいことも楽しむアクティブ系女子。真面目でやさしく研究熱心な息子と、ポジティブで明るくひょうきんな娘に癒やされる日々を送っている。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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