遠慮のない親子の要求は、エスカレートし…
転んだ女の子のひざにはすり傷ができていました。私はすぐに絆創膏を取り出し、「これ、痛い所を水で洗ってから使ってね」と言って女の子に渡します。すると、女の子は絆創膏のかわいい柄に喜んで涙が止まりました。そのタイミングで、女の子のママが心配そうに登場。わが子が見知らぬ保護者と話しているのが見えたら、不安になるのも無理はありません。事情を話すと「ありがとうございます。かわいい絆創膏もらえてよかったね」と言って帰っていきました。
翌日のお迎えのとき、息子と帰ろうとすると昨日の女の子が走ってきて「絆創膏ちょうだい」と言いました。戸惑いながら女の子に絆創膏を差し出すと、女の子は喜んでママのもとに帰り、ママからは会釈されたのです。息子に「さっきの女の子知ってる?」と聞くも「お顔は見たことあるけど、お名前は知らないよ」と言われてしまいました。
その後も毎日のように絆創膏をもらいに来る女の子。戸惑いつつも「そこまで高いものでもないし、これをあげてこの子が笑顔になれるなら」と思い渡していました。しかし次第に1回に何枚も欲しがるようになり、そのうえ柄まで選びたがるように。子どもとはいえさすがの私も図々しさを感じ、げんなりしていました。
ある日ついに柄付きの絆創膏をあげ切ってしまい、無地の絆創膏を渡すと不機嫌そうにする女の子。無言で走り去ったかと思うと、今度はママを連れて来て「かわいいのください!」と笑顔で言うではありませんか。続いてママが私に耳打ちで「この子、かわいい柄の絆創膏が大好きなんです。なので、柄付きのもらえますか?」と言う始末。なぜ耳打ちなのか不思議に思いながらも「もう全部あげてしまったんです」とはっきり答えると、女の子は大泣きです。
するとうしろから「あら○○ちゃんどうしたの?」と声が。振り返ると年配の女性でした。女性を見て真っ青になるママの横で「おばあちゃん、かわいい絆創膏もうないって! いつもくれるのに」と女の子が泣きわめきます。それを聞いたおばあちゃんは「いつもって……。○○ちゃん、このお母さんにいつも絆創膏もらっているの? ママは持っていないの?」と戸惑っている様子。ママが「お義母さん……。かわいいのはもったいなくて」と気まずそうに話すと「だからって人様にいつも絆創膏をもらうなんて! なんて非常識なの! 恥ずかしいと思いなさい!」と怒り出しました。その様子を見た私は先ほどの耳打ちは、うしろから歩いてきていた義母に知られたくなかったからだ! と悟ったのです。
後日、そのママから新品の絆創膏を「すみませんでした」と返され、私はスッキリ。それ以降、その親子が絆創膏をもらいに来ることはありませんでした。
人からもらえてラッキーと思っても、毎日のようにクレクレと言う子どもを止めないのは、親として非常識だと感じました。子どもはいい物がもらえると思えばもらいに行ってしまうかもしれませんが、それを常識的にいさめるのが親の務めだと私は思います。私も、子どもが誰かに失礼なことや迷惑なことをしていたときは、きちんと物事の善悪を教えてあげられる親でいようと、改めて心に決めた出来事です。
著者:立川りか/30代・ライター。7歳の男の子を育てるママ。息子の好きを全力で応援するため日々奮闘中。虫が大の苦手だが、息子の虫取りに付き合ってきたおかげで少しだけ耐性がついてきた。食後のデザートや週末の晩酌がご褒美。
作画:yoichigo
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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