トイレを覗くなんて…
家族で商業施設に遊びに行ったときのことです。「トイレ~」と3歳の次女が言うので、7歳の長男と5歳の長女を夫に預け、トイレに向かいました。
子ども用トイレが近くにあり、次女も「かわいいトイレだ! やったー」とテンションが上がります。「次女ちゃんだけで行くから!」と言うので、私は扉の近くにいて見守ることにしました。子ども用トイレは保護者が中の様子を見られるよう、扉の高さが低くなっています。とはいえ、じっと見られるのを次女は嫌がるので、私はトイレの外で待機し、目線だけトイレのほうに向けていました。
すると「ひとりでおトイレ行けるのね! えらいわね~」と、次女が入っている子ども用トイレを扉の上からのぞき込む50代くらいのおばさんが……。恥ずかしいのか固まる次女。私は「ありがとうございます。すみませんが、子どもも見られるのを嫌がるので」と言うと「知らない人からでも、褒められたらうれしいものよ」と、その場をまったく離れようとしないおばさん。
案の定、じろじろと見られて嫌になった次女は大きな声で泣きだしてしまいます。しかしそれを見たおばさんは「褒められたのに泣くなんて、きっとお母さんの育て方が悪いせいね。感情のコントロールができていない証拠よ!」と言いだしたのです。自分は悪くないといった態度に腹が立ちましたが、次女を連れ出すほうが先決と思い「子どもが出られないので、どいてもらえますか?」と言うと……。
「せっかく褒めてあげたのに、親子そろってその態度はないでしょ! 親のあなたがそんなだから子どももひねくれて育つのよ」と、逆ギレして私を大声で怒鳴ってきたのです。次女も泣いているし、一刻も早くこの場を立ち去りたいと思っていたそのときです。
20代前半くらいの若い女性が近づいてきました。「この人にも何か言われるの!?」と萎縮していると「ねぇ、おばさんはこの子のおばあちゃん?」と、私ではなくおばさんに声をかけたのです。おばさんが「こんな親子と家族なわけないでしょ」と言うと、「じゃあ全然知らない子のトイレをのぞいてたの!? いくら子どもだからって嫌に決まっているでしょ。プライバシーって言葉知らない?」とその女性が畳みかけます。おばさんは自分がしたことがよくなかったとやっと気づいた様子でしたが、気まずさからか謝罪もなく急いでその場を去っていったのでした。
その後、若い女性にお礼を言うと、「知らん人に見られたら誰だって嫌だよね~? よしよし」と次女をやさしく慰めて、颯爽と去っていきました。次女もかっこいい若い女性の姿に気持ちが落ち着いたようで、「お姉ちゃんにありがとうだね」と笑顔に。幸いその後もトラウマなどにはならず、トイレに行けています。
小さい子が頑張っている姿を見ると、「かわいい! 頑張れ!」と応援したくなる気持ちは理解できます。しかし知らない人に急に声をかけられる、しかもトイレというプライベートな空間ならなおさら、恥ずかしさや恐怖心を抱くのも当然。ときには心の中でそっと応援することも大切だと思います。よかれと思って起こす行動も、時と場合をよく考えないといけないなと感じた出来事です。
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子ども用トイレは背の低い扉や覗きやすい構造で作られていることがありますが、本人や保護者の許可なくのぞく行為は「迷惑防止条例」や「軽犯罪法違反(のぞき見行為)」に該当する可能性があります。
「褒めてあげたい」という気持ちでも、子どもにとっては恐怖や不快な記憶につながりかねません。
保護者の方は、子どもが安心して使えるように周囲に配慮しつつ見守ることが大切です。また、見知らぬ子どもに対しては「声をかける」「のぞく」といった行為を控え、心の中で応援するにとどめることがマナーでもあり、安全にもつながります。
さらに、ママ・パパも「のぞかれる可能性がある」ことを念頭に置き、子どもがトイレを利用している間はできるだけ近くに立ち、必要があれば「覗かないでください」と声をかけて守ってあげたいですね。
著者:下野香月/30代・ライター。面倒見のいい7歳の長男と、ひょうきんな5歳の長女、甘えじょうずな3歳の次女を育てている元保育士ママ。在宅勤務をしながらスキルアップ中。日々子どもたちに癒やされながら、忙しくてにぎやかな毎日を送る。
作画:Pappayappa
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年6月)
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