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夫「年収350万のお前が家事やるのは当然」私「じゃあ仕事辞めるね」退職届を出した結果、傲慢夫が泣きついてきたワケ

共働きなのに、家事も育児もすべて私任せのワンオペな毎日。そんな私に夫が放ったのは「年収350万のお前がやるのは当然」という無神経な言葉。ブチンと何かが切れた私は、そっと告げます。「……じゃあ、仕事辞めるね」。これが、傲慢な夫への静かな逆襲の始まりになるとも知らずに、夫は鼻で笑っていたのですが……。

「今週も急だけど出張に行ってくるわ! 金曜の夜から日曜の夜までだから!」

 

共働きの夫からのメッセージは、いつも唐突です。私はフルタイムで働きながら、家事と育児のすべてを1人で担う、いわゆる「ワンオペ育児」の毎日。その日も、仕事と保育園のお迎えで疲れ果て、ようやく一息ついたところだったのに……。

 

心をすり減らしていく妻

「……え!? また? 今週末は、子どもの面倒を見てくれるって話だったよね!? 私、久しぶりに友だちとごはんに行く約束してるのに……」

 

思わず、強い口調で返信してしまいました。この約束のために、どれだけ仕事を調整し、楽しみにしていたことか。しかし、夫からの返信はあまりにも無神経なものでした。

 

「あれ? そうだっけ? まぁでも仕事だから仕方ないよなぁ~、友だちとのごはんはまた今度ってことで!」

 

これで約束の延期は3回目。さすがに友人にも申し訳なく思います。そう訴える私に、夫は信じられない言葉を返してきました。

 

「え、そんなことで怒るぐらいの友だちは友だちじゃないって! いっそ縁切っちゃえば?」

 

カチンときた私は、「あなたが約束を守ってくれればいいだけでしょ!」と返したのですが、夫は鼻で笑うかのようなメッセージを続けます。

 

 

「そう言われても、俺って会社じゃ期待の営業エースだし! その分、お前よりも稼いでるんだからさぁ~。ここはお前が我慢するしかないって」

 

「我慢」という言葉に、全身の力が抜けていくような感覚に陥りました。私もフルタイムで働いているのに。子どもの送り迎え、食事の準備、洗濯、掃除……すべて私が1人でやっているのに。もう限界だと伝えても、「でも、子どもがいる母親はみんなそんなもんでしょ?」と夫にはまったく響きません。

 

「子どもがいる父親なら、協力的だと思うけど?」と返すと、「そ、それは大した稼ぎもなくて暇な父親だけだろ! 俺は一般的な会社員よりも稼いでるんだ!」と夫。

 

そもそも出産前に、家事育児は折半すると話していたのに……。そのことを持ち出すと、夫は決定的なひと言を放ったのです。

 

「俺の年収750万、お前350万。どっちが優先されるかって言ったら、俺じゃね?」

 

全身の血が逆流するような怒りを感じました。自由に働ける環境で稼いだ金額を盾に、家事も育児もすべて私に押し付けておいて、なんて言い草なのでしょう。

 

「とにかく俺は今週末は出張だから! 家のことと子どものことはお前に頼んだからな」

 

そう一方的に言い残して、それ以降返信をしてこなかった夫。私はただ、スマホを握りしめることしかできませんでした。

「愛妻家のイクメン」の仮面をかぶる夫

夫が出張に行った週末のこと――。

 

私の大学時代の後輩から突然メッセージが届きました。卒業以来の連絡に驚いていると、さらに衝撃の事実を知らされます。なんと彼女は今月、私の夫と同じ会社に転職してきたというのです。

 

「デスクトップが先輩とお子さんの写真で!そこで気づいたんです!」

 

会社のPCのデスクトップが家族写真? あの夫が……? にわかには信じられませんでした。

 

「家族愛に溢れてて素敵ですよね! 旦那さん、社内じゃかなりの愛妻家として有名らしいですよ♡」「『仕事が忙しすぎるせいで、嫁に負担をかけてて申し訳ない』って。今回の出張も『愛する嫁と子どもと離れるのがつらすぎる』って、ものすごく会社で嘆いてました」

 

感情に任せて、真実を後輩に告げた私。彼女はとても驚いていましたが、ワンオペで疲れ切っている私の体を心配し、すぐに家まで手伝いに来てくれました。そして、彼女の口から語られる会社での夫の姿は、私の予想をはるかに超えていました。

 

 

「旦那さん、『俺は積極的に家事育児をやってるんだ』って……残業しても、帰ってきてから洗濯回して作り置きおかず作ってるって、休日はお子さんのお世話を全部やってるって……」

 

全部、嘘です……。夫は家のことは一切やらず、子どもが熱を出しても私に任せっきり。それどころか「俺のほうが稼いでるんだから」と、すべてを私に押しつけているというのに。

 

会社で完璧な「イクメン」を演じていた夫。そのあまりの虚像に、驚きよりも、どうしようもない怒りがこみ上げてきました。

 

夫が出張から帰ってくる日――。

 

私は夫にメールを送り、週末、後輩が家に来てくれたことを伝えました。

 

「彼女からすっごくおもしろい話を聞いちゃった。あなたったら、会社でかなりイクメンアピールしてるらしいわね」

 

私がそう切り出すと、彼は一瞬間をおいた後、逆ギレ気味に返信してきたのです。

 

「だから何だっていうんだよ! その分、俺は仕事を頑張って、家族のために稼いでくる! それでいいだろうが!!」


「私だって家族のために働いてるんですけど?」と返すと、「しょぼい稼ぎのくせになに言ってるんだよ? 俺と違って、大したことない会社勤めだし……」と返してきたかと思えば、次々とメッセージを送ってきた夫。

 

「年収350万のお前に全部任せるのは当然だろ!」

「俺は本当はもっと仕事に集中すれば昇進できるんだぜ?

「お前は『働かせてもらってる』って立場を忘れるなよ」

 

もう、我慢の限界でした。その後も、夫は、私がわがままを言って仕事を続けているとまで送ってきたのです。

 

「じゃあ……仕事辞めるね」

 

私はそっとひと言返しました。すると夫は……。

 

 

 

「え!? 」

 

突然の私の言葉に驚いている様子。けれどもすぐに、「あぁ、そうしろよ。その方が俺も仕事に集中できるし、お前にとってもいいことだろ?」

 

自分の思い通りになったと、勝ち誇っているのでしょう。

 

「うん、そうだね。あなたにとっても都合がいいでしょ?」

「私が仕事を辞めることで、家計は多少、減るけど……その分、あなたがすぐ挽回してくれるよね! だって私よりも稼ぎがある優秀な旦那さまだもんね。安心して。私は勢いでこんなこと言わないから。ちゃんと考えて、覚悟を持って決めたから」

 

すると夫は「…………じゃあまさか、本気で辞めるつもりなのか?」と聞いてきました。私は晴れやかな気持ちで返します。

 

「うん、本気だよ。その代わり、私は家のことも子どものことも全部やる。だからあなたは、仕事に集中してね。それじゃ早速、退職届出してくるね」

 

もともと、今の職場の福利厚生に不満を持っていた私は、ひそかに転職の準備を進めていたのです。次の仕事まで少し時間が空くので、ちょうど夫との歪んだ関係をリセットするための好機でもあったのです。子どもたちとの時間も十分に取れるし、新しい職場についてもしっかり準備できる――私にとってはいいこと尽くめの、最善の一手なのでした。

 

夫を待ち受けていた厳しい現実

退職して数日後――。

 

私は帰宅した夫の前にいくつかの書類を並べました。

 

「水道代なんかの光熱費、今まで私の口座から引き落とされていたから、あなたの口座に変えないといけないよね? ここに口座振替の変更届、全部そろえておいたから。ちゃんとサインして、今週中に出しておいてね」

 

「なっ……ぜ、全部か!?」と驚く夫に、「当たり前でしょ? これからはあなた1人で家計を支えるんだから」とため息交じりに返した私。

 

今まで、食費も生活費も保険も、ほとんど私の負担でした。私のほうが年収は低いのに、夫は家のローン以外は出してくれなかったのです。

 

「い、いや、俺だって家族旅行費用出してたし! ローンだって月15万もあるんだぞ!? いきなり全部俺って言われても、無理だって!」と喚く夫。

 

「いやいや、無収入の専業主婦に任せるほうが無理だって……」「私が文句を言わず、仕事に集中すれば、すぐに出世して稼ぎも増えるんでしょ? もちろん節約は頑張るし、家のことも子どものことも私がやるから安心してお仕事に励んでね」

 

半笑いで返した私に、夫は身を乗り出して、「ま……待ってくれ!」と言ってきました。

 

「あの、実は今月、すでにもう結構カード切ってて……。後輩におごったり、新しいゴルフクラブ買ったりして、ボーナス払いにしてた分もあって……。せめて今月だけはお前が生活費を……」と言った夫に、「ごめんね、それは無理かな」と食い気味に答えた私。

 

「厳しいなら、今月末のあなたの実家への帰省も辞めておく? 親子3人分の新幹線代って地味に高いし……」と言うと、今度は夫が食い気味に「えええ!? さすがにそれはまずいって! うちの両親は毎年、孫に会えるのを楽しみにしてるんだぞ!?」と止めてきました。

 

「じゃあ、あなたの小遣い削ればいいじゃない。今まではローン以外は好き勝手に使っていたんだから……ほかの出費を抑えれば、十分帰省できるくらいの金額はできるでしょ?」

 

「そんな……後輩におごったりできなくなるじゃないか……。今までのメンツが……」と意気消沈してしまった夫。良い父親、良い夫、良い先輩を演じ続けてきた夫にとって、その仮面を脱ぐことはとても難しいようでした。

 

「大丈夫、あなたならきっとすぐに昇進して稼げるようになるよ! 私はあなたの足を引っ張らないように、黙って家にいるから! だから、頑張って仕事をしてね!」

 

明るく言った私を見て、夫は深くため息をついたのでした。

 

 

 

1カ月後――。

 

後輩からは、職場での夫がどよんとしていると連絡を受けています。毎回参加していた飲み会も欠席しているらしく、社内の人たちからは「どうしたんだろう……?」と言われているのだとか。

 

家での夫は、それ以上にひどい有様でした。慣れない家計のやりくりに頭を抱え、お金に不安になった夫は週末料理をし始め、キッチンを焦がしそうになる始末。先日、ついに実家にお金の無心をしたようですが、電話口で「今まで奥さんに全部押し付けて、お前は何をしてたんだい!」と、お義母さんからこっぴどく叱られているのが聞こえてきました。

 

夫が音を上げたのは、それから数日後のことでした。

 

「本当にごめん……! 俺、今までなんにも考えずに、自分の稼ぎが多いってだけで威張り散らして……この1カ月で、自分が何もできないことを痛感した。調子に乗ってただけじゃなく、ただ仕事に逃げてただけのくせに……。頼む、どうか復職してくれないか?」

 

私はわざとらしく首をかしげ、「急にどうしたの? 私が復職したら、また前みたいに文句も出てきちゃうでしょ? それに、あなたの昇進が遠のいちゃうんでしょ?」と尋ねました。

 

「……あの、本当にすみませんでした。俺だけの稼ぎじゃ家計がカツカツで……いや、違うな。俺、ずっと勘違いしてた。稼いでる俺が一番偉いって。でも、全然違った。お前が作ってくれてた『生活』っていう土台がなきゃ、そもそも何もなかったんだ。自分がいかに甲斐性なしかわかったよ……」

 

そして、私は床に額を擦りつける勢いで、私に頼み込んできました。

 

「……頼む! これからはもうお前のことを馬鹿にしないから! 家事も育児も協力する! ……もう俺は稼いでるなんて、絶対に威張ったりしない!」

 

夫のその言葉を聞いて、私は態度を和らげることにしました。本当に反省しているのが伝わってきたのです。

 

「……わかった。そこまで言うなら、復職は考えてあげる。でも、条件があるからね」

 

私が挙げた条件は、「稼ぎに関係なく、家事と育児をしっかり分担すること」でした。私は定時上がりしやすい会社に復職を考えていたので、平日に。その分、夫が土日に家と子どもたちのことをする、という条件です。

 

条件を聞いて目を見開いた夫に、「協力するってそういうことでしょう? できないなら、前の生活に戻るだけ。だったら私は復職しない」と告げると、「わ、わかった! やるよ、やるやる! もちろんやる!」と夫。

 

「その言葉、忘れないでね。あなたが変わってくれることを信じてみる。でも、今度なにかあったら次はないわよ」と釘を刺すと、夫は「ありがとう……俺、真面目に頑張ります……」と涙声で言ってきたのでした。

 

その後――。

 

 

その週末、夫は子どもたちを連れてショッピングモールへ行きました。久々の1人の時間を満喫していると、スマホに夫からの着信が。なんだか嫌な予感をおぼえながら出てみると……やはり助けを求める電話でした。

 

今まで家事も育児もやってこなかった夫は、子どものおむつ替えの仕方も、泣いているときのあやし方もわからなかったのです。さらに、日用品や食料品の買い物も1人暮らし時代以来で、大あわて。ようやく、私の大変さを思い知ったようでした。

 

今では、夫は休日の家事・育児を率先してこなすようになりました。後輩から聞いたところによると、もう会社でも露骨なイクメンアピールもしていないようです。そして私も無事に再就職。柔軟な働き方のできる職場のおかげで、時間にも心にも余裕ができ、前よりも育児を楽しめるようになりました。

 

いろいろありましたが……夫婦として支え合うことを諦めず、対等なパートナーとして頑張っていこうと思います。

 

もちろん、長年の夫の癖がそう簡単に抜けるわけではありません。今でも時々、疲れていると昔のような言葉が彼の口から出そうになることがあります。でもその度に、あの1カ月間の出費と、たった1人で子どもと向き合った週末のことを思い出すようで、はっとした顔で口をつぐむのです。

 

時間はかかるかもしれませんが、私たちはこうして少しずつ、本当のパートナーになっていくのだと思っています。
 

 

【取材時期:2025年7月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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