焦る私を見て笑う見知らぬお兄さん
何を買おうかと子どもと見て歩きながらバッグを探ると、なんとお財布がない! 私は真っ青になり、慌てて周りを見渡しましたが、近くに落ちてはいませんでした。週末のイベント会場、たくさんの人。もう戻ってこないだろう……と、私は絶望的な気持ちになりました。
そう思いながら私が途方に暮れていると、やんちゃそうな見知らぬお兄さんが「おーい! そこのお母さーん! どーしったのー?」と、少し離れた場所から声をかけてきたのです。私は心の中で『え? 私? 私に話しかける?』と焦りつつ、彼のほうを見ると、何やらいたずらな表情で笑っているように見えました。いじられたり、バカにされたりするのかなと思い、私がうつむくと、彼はこちらに駆け寄ってきて「ねぇ、大丈夫? どうかしたっすか?」と、改めて声をかけてきたのです。
私は絡まれるとばかり思っていたので、心配する言葉をかけられ困惑。聞かれるがまま彼に事情を説明すると、彼は「おっけー! ちょっと待って!」と言いながら、電話をかけ仲間を呼びました。すると5名ほどのやんちゃそうなお兄さんたちが私のもとに集まり、総出で一緒に財布を探し始めてくれたのです。
そして、ついにゴミ箱の近くに落ちていた私の財布を見つけてくれました。バッグの中に入れていたゴミを捨てたときに落としてしまったのだと思います……。幸い中身はすべて無事でした。
私は彼らに何度も感謝を伝え「何かごちそうさせてください」と言いました。すると、はじめに声をかけてくれた彼が息子の肩に手を置いてにっこり笑いながら、息子に「おなか空いたよなぁ? あのハンバーガー食いたいんだろ?」と話しかけて「お礼なんていいから早く息子くんにハンバーガー買ってあげてよ!」と言って、去って行ってしまいました。
焦りで私が息子のことまで気が回っていなかったことにまで気付いてくれて、感謝してもしきれませんでした。人を見た目で判断してはいけないということを改めて学びましたし、あのときの彼らの言葉と笑顔に、本当に心が救われました。息子にも彼のように困っている人を助けられる人に成長してほしいなと思った出来事でした。
著者:鈴木順子/50代・女性・会社員。ひとり息子を育てる母。
イラスト:miyuka
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)
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