友だちのお父様の葬儀
長男が小学2年生のときに、保育園時代の友だちのお父さんがお亡くなりになりました。
母親である私も保護者会などで関わりのあった方で、病と闘っていることも知っていたため、訃報を聞いたときはとてもショックを受けました。ご本人は私と同年代で、まだまだお若い方だったのです。
私たちは夫と3人の息子とともに葬儀に参列することにしました。
参列者の中で子どもを見失う
葬儀には非常に多くの参列者が訪れており、大きな会場にもかかわらずスペースは不足気味。最後のお別れの時間には、長蛇の列ができていました。
私たち家族も順番を待っていたのですが、気がつくと長男と次男の姿が見当たらなくなっていたのです。保育園時代の友だちも大勢来ていたので、きっと一緒に行動しているのだろうだと思ったのですが……。
信じられない行動に、思わず真っ青
慌てて息子たちを探していると、信じがたい光景が目に飛び込んできました。なんと長男と次男は、ご遺族が参列者にあいさつをしているすぐそばにいて、お母さんの横で礼儀正しく頭を下げている友だちに向かって、変顔やおかしな動きをして笑わせようとしていたのです!
友だちは真剣にあいさつしている最中で、困ったような顔をしていました。お母さんの視界にも確実に入っていたと思います。私は顔面蒼白になりながら頭を下げ、その場から息子たちを急いで連れ戻しました。
あとで息子たちに理由を聞くと、「元気を出してほしかったから」とのことでしたが、なんと失礼なことをしてしまったのだろうと、私は大いに反省しました。
たくさんの人が集まる場では、迷子になる危険だけでなく、周囲の方に対して思わぬ失礼をしてしまうこともある――今回の出来事は、それを痛感する出来事でした。
特に葬儀は、故人やご遺族にとってかけがえのない大切な時間です。その後、きちんとした謝罪もできないまま時が経ち、今も胸の奥に引っかかっています。
息子たちには、「思いやりの気持ちは大切だけど、葬儀の場では、それを表現する方法が違っていたよ」「お友だちを困らせてしまっていたことも忘れないでね」と、丁寧に話しました。
著者:佐藤あづき/40代女性。2009年、2011年、2013年生まれの男の子3人と2018年生まれの女の子の計4人の子どもの母。医療職に従事している。
イラスト:あさうえさい
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)