帰宅が遅い夫。心配で連絡すると…
夜、私は何度も時計を見ながらソファに座っていました。「まだ帰ってこないのかな」と思っていると、夫から電話がかかってきました。最初に聞こえたのは、そっけない声での「残業で遅くなるって言っただろ?」という言葉でした。私は驚きながらも、「でも、こんなに遅くなるとは思っていなかったし、残業自体も珍しいでしょ? だから何かあったのかなと思ってメールしたんだけど」と伝えると、彼は「これからはこうやって遅くなることが多くなると思う」と冷たく告げました。
理由を尋ねても、「文句があるなら会社に言ってくれ。定時で終わらないんだから仕方ないだろ。いちいちぐちぐち突っ込んでくるなよ。めんどくさい」と突き放すような言葉が返ってきて、胸が締めつけられました。沈黙のあと、私は勇気を出して「ねえ、最近ちょっと冷たくない?」と切り出しましたが、「別に」と素っ気ない返事。
私はさらに、「この間も休日にひとりで出かけちゃったし、私が早く仕事が終わる日に限って予定が入っている気がするんだけど……もしかして私のこと、避けてる?」と聞くと、彼は「そんなことないって。そもそもお前が忙しいから、俺と会う時間が少ないだけだろ?」と答えました。
私は「私が遅くなることは結婚前からわかっていたでしょ? 小さいけど会社を経営しているし、急に取引先の都合で遅くなることもあるの」と説明しました。すると、「俺は経営者じゃないからなんでも逐一報告しろって? 俺のこと下に見てんの?」とかぶせるように言われてしまいました。最後に、「じゃあ今日は何時に帰ってくるの?」と尋ねると、「さあな」という返事。それでも私は「ねえ、明日は休みでしょ? 久しぶりに一緒に出かけない?」と誘いましたが、「無理」とあっさり断られました。
カードの明細に違和感が…夫を問い詰めると
それから1カ月ほどたったある日、私はカードの明細を見て確信しました。「この間、私のカードでホテルを予約したでしょ」と問いただすと、夫は一度「ごめん」と謝り、「地元の友だちが来ていて、サプライズのつもりだった」と説明しました。しかし、私は嘘だと感じていました。夫が女性と一緒にいたことは、はっきりとわかっていたからです。
調査会社に依頼したところ、夫は週に何度も特定の女性と会っているという報告がありました。私が「不貞行為があることを知っている」と告げると、彼は最初こそ謝りましたが、すぐに「仕方ない」「どうしようもない」「運命だから抗えない」と語り始めました。そして「初恋の人と再会した」と言い、自分たちには“魂レベルの深いつながり”があると言い出したのです。友人の紹介で再会し、互いに昔の気持ちをたしかめ合い、一瞬で惹かれ合ったのだという説明でした。
私は「運命だか何だかはともかく、それは世間一般で言う“不倫”で、人として許されない行為だ」と冷静に指摘しました。ところが夫は「世間の常識なんて気にしない」「友だちも応援してくれている」と言い張ります。そして突然、「離婚してくれ。俺とあの子は離れちゃいけない」と離婚を要求してきました。私はそれを拒否。夫が「慰謝料を払う」と言っても、それでも離婚には応じないと伝えると、彼は「離婚してもお前にデメリットはないはずだ」と開き直り、私の気持ちをまったく考えない言動に呆れを覚えました。
とりあえず、私はカードの使用を禁止し、生活費は折半にすると告げました。すると夫はますます強引に「離婚したい」「つらいかもしれないが頼む」と懇願してきましたが、私は「しつこい」と突き放しました。最終的に彼は「わかった」と言い残し、私に優しくすることをやめ、「これからは初恋の女性だけを大切にする」と言い放ったのです。さらに、「記入済みの離婚届を置いておくから、気が済んだら署名して提出してくれ」と言い、どこかへ出かけていきました。
初恋の女性に夢中な夫から、突然の連絡が
それから1カ月ほど経ったころ、夫から「ごめん」と話しかけられました。急にどうしたのかと問いただすと、彼は「俺がバカだった。初恋の女性とは別れたよ」と言いました。「やっぱりお前以上の女性はいなかった。不安にさせてごめん。これからはお前だけを大切にする」と、手のひらを返したように言い出したのです。
私はそれを聞いて呆れた気持ちになりながらも、あえて冷静に受け止めました。「いいわよ、もう自由になっても」と返すと、彼は驚いた表情を見せ、「どういう意味?」と尋ねてきました。そこで私は、はっきりと「離婚しましょう」と告げたのです。彼は突然の返答に慌て、「離婚はしないって言ってただろ」と言ってきましたが、私はこう言い放ちました。「納得できないうちは離婚に応じないつもりだったけど、今はもういい。別れた途端に手のひらを返すような夫はいらない」と。
彼は必死に言い訳を始め、「女性に騙されていた」「再会のきっかけを作った友だちが、女性とグルだった」と告白しました。しかし、私はそれをすでに知っていました。夫の不倫を調べた際に、女性についても調べていたからです。私は「霊感商法だったんでしょ?」と突き放すと、彼はどうして知っているのかと動揺しました。私は冷静に、「教えていたら信じてくれたの? あなたは完全にその世界観にハマってたよ。運命だの前世だの言って、高額なだけの“開運アイテム”を買ってきてたんだから」と言い切りました。
彼は何度も「ごめん」と繰り返し、「まともな精神状態じゃなかった」と弁解しましたが、私は聞き流しました。彼の言葉にどれほど傷つけられたか……。たとえ「騙されていただけだ」と訴えられても、もう戻る気にはなれませんでした。私は「あなたが書いていた離婚届にサインする」と宣言。最終的には彼も離婚を承諾し、私は清々しい気持ちで役所へ向かいました。
離婚後、元夫が私に連絡してきたワケは
離婚後、元夫から「話がある」と連絡がありました。ですが、私は冷静に「私が独身時代に買った家から、早く出て行ってもらえますか? こっちはあなたが出て行くまでホテル生活なんです」と突き放しました。元夫は何度も謝り、「あのときはマインドコントロールされていた」と弁明しましたが、私は「でも、不倫は不倫です。あなたはおだてられて喜んで不倫したじゃないですか」と指摘しました。そして、彼が私のお金で欲しいものを買い、不倫に費やしていた事実を突きつけると、彼は動揺し、言い訳を繰り返し……。
結局、彼は「もう一度チャンスがほしい」と言ってきましたが、彼が復縁を望むのは、私のお金が使えなくなり、これまでのような生活ができなくなったからではないかという疑念がありました。私が首を縦に振らないとわかると、彼は「財産分与」の話を持ち出してきました。そこで私は、彼に慰謝料を請求すること、そして独身時代の貯金は財産分与の対象にはならないため、わけるとしても結婚期間の1年分だけだと伝えると……彼はわかりやすく肩を落とした様子でした。
私自身は、結婚からわずか1年で離婚に至ったことに驚きつつも、早めに彼の本性に気づけたことを幸運だと感じています。不倫されたショックは大きかったものの、時間が経つにつれて気持ちも前向きになりました。そして、良い出会いがあれば、また結婚したいと思っています。
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夫婦であっても、信頼を裏切るような行為をされた時点で、これまでの関係を見直したくなるのは当然のことですよね。元夫には、これまでの自分の言動をしっかり反省してほしいですね。
【取材時期:2025年9月】
※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。