用意されていない席
式の会場に到着し、自分の席を確認したのですが僕の席は見当たらず……。急いで妹がいる控え室に向かいました。
僕が控え室の扉を開けると、妹と両親が目を丸くして僕を見てきました。
「お兄ちゃん!? 今日は来られないんじゃ…」
妹はそう言いましたが、僕は出席できると返信をしたはずです。そのことを伝えると、「今から人数追加できるかな…お兄ちゃん、いつも部屋に引きこもっているから来ないかと思った」と言う妹。
僕は、「そういう感じなら、帰るよ」と告げて会場を後にしようとしたところ、新郎が部屋に入って来ました。僕は、その新郎の顔を見てビックリ。なんと取引先の会社の仲良くしているAくんだったからです!
どうやらAくんも驚いている様子。しかし、それ以上に妹が戸惑っているようで、「2人は知り合いなの…?」と恐る恐る聞いてきました。
僕の仕事
Aくんは、僕の家族のほうを向いて「彼は、俺の恩人なんだ!」とうれしそうな様子。
僕の家族は「どういうこと?」と受け入れられていないみたいでした。
実は、僕はIT系の会社を経営しています。Aくんの会社と取引があったのですが、彼の会社がシステムエンジニア不足で困っているという相談がありました。そのため、僕の会社からシステムエンジニアを派遣し、会社が大変助かった、という経緯があったのです。
Aくんがその事実を僕の家族に話してくれましたが、家族は信じられない様子でした。僕は普段から自分の部屋で仕事をしていたので、家族は僕が何をしているかわからず、「仕事をしていないのでは」と思っていたようです。
「なんで言ってくれなかったの!」と言っていましたが、僕は自分の仕事について何度も説明を試みました。しかし、僕の家族は「よくわからない」と聞く耳を持たなかったのでした。
Aくん「婚約は…」
僕と家族が話をしているところを見て、Aくんは怪訝そうな顔をしていました。家族の、僕に対する態度を不思議に思ったのでしょう。
「お兄さんに対して、失礼な態度じゃないか…?」と言うAくんを見て、母がまずいと思ったのか「でも、娘はいいところもあって…」と話をはじめました。話の内容は、家事をやってくれたり、犬の散歩をしていたりするとのことでしたが、実際それらをやっているのはすべて僕。
「家事はほとんど僕がやっていたし、僕は感謝の気持ちで毎月お金もいれていたけど…もういれないから」
と伝えたところ、父が「聞いていない」と言い出しました。どうやら、母は僕が家に入れていたお金を「父と折半する」と言いつつ、父に内緒で使い込んでいたようでした。
父と母が言い合いを始めた姿を見て、Aくんは呆れてしまった様子。Aくんは、「結婚式を取りやめると迷惑をかけてしまうから…でも、籍を入れるかは改めて考え直す」と妹に宣言していました。
家族の末路とこれからの僕
結婚式後、妹はAくんから「籍を入れるのはやめにしよう」と言われてしまったようです。両親もお金のことで言い争いが絶えず、家の空気は最悪な様子。妹が助けを求めてきましたが……。
僕は妹に「結婚式で、僕の席が用意されていないのを見て家族と関わるのは金輪際やめようときめたんだ」と伝えて電話を切りました。
家族であることは変わりませんが、この一件で、家族との付き合い方を考えさせられました。これからは、家族のことにとらわれ過ぎず、自分が努力して積み上げたものを誇りに仕事を頑張っていきたいと思っています。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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