「今すぐしまって!」
義実家の食卓には宅配弁当がきれいに並べられていました。義父は子どもたちと一緒にリビングでテレビを見ていて、義母はキッチンでお茶を用意してくれています。私には「座っててね」と声をかけてくれたので、先に夫と2人で食卓につくことに。
私はふと、カバンの中のスマホが気になり、見てみると友だちからLINEが。返信しようとスマホを手にしたところで、ちょうど義父と子どもたちが食卓にやってきました。
私は義父たちが座りやすいようにといったん立ち上がり、スマホはそのまま弁当の横に置いたのですが……。その瞬間、夫が突然「今すぐカバンの中に戻して!!」と大きな声で注意してきたのです。
聖域にスマホはご法度!?
私は言われるがままにスマホをカバンに戻したものの、なぜそんなに大きな声で?とモヤモヤした気持ちを抱えたまま食事を始めることに。
義父母は子どもたちとの会話に夢中で、私のスマホの件には気づいていない様子でした。
義実家を後にし、帰りの車の中で夫に理由を聞いてみると――
「うちでは食卓は“聖域”なんだよ。子どものころから“食事に関係ない物は一切置いてはいけない”って厳しく言われて育ってきた。スマホを置いている場面を親が見たら、激怒してたと思う」とのこと。夫は小さいころ、筆箱やおもちゃを食卓に置くと、そのたびに怒られていたそうです。
普段から、きれい好きな義父母であることは知っていたのですが、そこまで厳しいルールがあるとは……。私は驚きで、「そうなんだね」としか言えませんでした。
これまでも義実家を訪れる機会はありましたが、子どもたちが食卓周りで遊ぶことはなく、今回のようにおもちゃやスマホを置くシチュエーションはありませんでした。
たしかに、食卓は口に入れるものが並ぶ場所。清潔さを重視する家庭では、他の物を置くことに抵抗があるのも当然かもしれません。
義実家には義実家の価値観がある――。これからは訪問時にそのルールをしっかり意識しようと思った出来事でした。
著者:田中さくら/40代女性。2013年、2017年生まれの息子たちのママ。バリスタとしてカフェに勤務。キャンプ、おいしいコーヒーの追求、筋トレが趣味。また、自然の中で外ごはんを食べるのが大好き。
イラスト:ちゃこ
※ベビーカレンダーが独自に実施したアンケートで集めた読者様の体験談をもとに記事化しています(回答時期:2025年9月)