アニメに登場する「炎太郎」にドはまりしているゆうちゃん。ある日、母えみこは、炎太郎のコスチュームをサプライズプレゼント。「すごい!」とはしゃぐゆうちゃんでしたが、すぐに「ゆうちゃん、炎太郎にぜんぜん似てないね」と悲しい表情になってしまいます。
それは、炎太郎と同じコスチュームを着たからこそ、ゆうちゃんは「(服まで一緒なのに)炎太郎は大きくて強くて、髪の毛も金色で長くて、ゆうちゃんとは全然違う」と感じてしまった、というのです。
そんなゆうちゃんを見て、せつなくなった母えみこは、「もう少し近づくことはできる。(園に校則はないのだから)炎太郎と同じ髪色にすればいいよ。金色にできるよ!ママ、手伝うから!」と、ゆうちゃんの髪の毛を金色に染めることを提案したのです。
「ゆうちゃん、髪の毛、金色にしたい!」












炎太郎の金髪に憧れていたゆうちゃんは、母えみこの「炎太郎と同じ髪色にすればいい。金色にできるよ!」という言葉に目を輝かせます。ゆうちゃんが「保育園に怒られないかな…」と心配しても「保育園の説明会で髪の色のことなんて何も言われなかった」「世界にはもともと髪の毛が金色の人たちがいるんだから、ゆうちゃんが金髪にしたって大丈夫」と、問題ないと強調する母えみこ。それを聞いて、ゆうちゃんは「髪の毛、金色にしたい!」と喜んだのです。
しかし、5歳児にブリーチをしてくれる美容院は見つかりませんでした。だったら…と、母えみこは、市販の大人用ブリーチ材を使って、ゆうちゃんの髪の毛を自宅で染めたのです。
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母えみこは、保育園の説明会では何も言ってなかったということを強調していますが、園則に書いてなかったら何をしてもいい、ということでもない気がします。園は長年の経験から、どんなことがトラブルにつながるかをある程度把握しているでしょうし、無用なトラブルは、園も保護者も避けたいものです。大切な子どもを預けて、お世話になっている身だからこそ、「説明会ではとくに言及されてなかったけれど、こういう場合はどうか」とひと言相談してもよかったかもしれませんね。
母えみこも、パッチテストや換気、ブリーチ材が肌につかないようにするなど、ゆうちゃんの体に悪影響が出ないように極力気を使っているようですが、ヘアカラーのことを熟知しているプロたちに何人も「できない」と断られているのは、子どもの髪にブリーチ材を使うことに一定のリスクがあるからでしょう。子どもは髪の毛も皮膚もまだ成長段階で大人とは異なり、またアレルギーなどの心配もあります。
「大好きなキャラクターと同じ髪色にできるけど、やりたい?」と言えば、きっと子どもは「やりたい!」と答えることは想像がつくはず。興味をとるか、安全をとるかの判断は5歳の子にはまだできないでしょう。ブリーチ材のことだけに関わらず、大人がいろいろな影響をよくよく考えながら、判断してあげたいですね。
 
   
       山野しらす
山野しらす               
                         
                         
               
               
               
               
               
               
                 
                 
                