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家庭内にも危険が!赤ちゃんのやけどを防ぐ対策と応急処置の基本はコレ!

この記事では赤ちゃんのやけどについて、医師監修のもと解説します。やけどは予防第一です。時々家の中を見渡して発達段階に応じた事故防止を工夫しましょう。

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師松井 潔 先生
小児科 | 神奈川県立こども医療センター 産婦人科

愛媛大学医学部卒業。神奈川県立こども医療センタージュニアレジデント、国立精神・神経センター小児神経科レジデント、神奈川県立こども医療センター周産期医療部・新生児科等、同総合診療科部長を経て現在、同産婦人科にて非常勤。小児科専門医、小児神経専門医、新生児専門医。
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赤ちゃんのけがで多いものの一つがやけどです。やけどをしたとき医療機関に行く前に家庭でできることがあります。やけどをしたときにはどうすればよいか、応急処置を知っておくと安心です。ここでは赤ちゃんがやけどをする状況と応急処置、ステロイド軟膏を使ったホームケアについて説明します。

 

やけどとは?

やけどは医学用語では「火傷」と呼ばれ、熱による皮膚や粘膜症状をいいます。日常生活で経験する可能性の高い外傷の一つです。高温に触れることで起きることが多いものの40~55度ぐらいでも、長い時間触れているとやけどになります。乳幼児は皮膚がうすく低温やけどになりやすいです。

 

重傷度は1~3度に分類されます。軽症のやけどが1度で皮膚が赤くなったりむくんだりします。痛みはありますが症状が何日も続くことはありません。数日で傷跡が残ることなく回復します。赤みやむくみに加え水ぶくれもできるのが2度のやけどです。2度のやけどは症状により浅いタイプと深いタイプに分類されます。浅いやけどは鋭い痛みがありますが1~2週間あれば傷を残すことなく回復します。より重症なのが、深いやけどです。痛みはさらに強く傷は体毛や汗腺に及びます。治癒に3~4週間ほどかかり多くは傷が残ります。

 

2度の深いやけどよりも重症なのが3度です。水ぶくれはできませんが血管に障害がおよぶため、皮膚は白色または黒色になります。知覚神経がやられるため痛みはほとんど感じません。治癒に1カ月以上を要します。

 

【参考】

日本皮膚科学会HP

 

注意しよう! 赤ちゃんがやけどをする状況

家でも気をつけていないとやけどをしてしまうことがあります。乳幼児はいろいろなものに興味を持ち、ほんの少し目を離したすきに手を伸ばしたり口の中に入れたりします。赤ちゃんがやけどをする状況をまとめてみました。

 

炊飯器や電気ポット、加熱式の加湿器など蒸気の出る家電製品は注意が必要です。炊飯器や電気ポットなどから蒸気がモクモクと出ていると興味を示して触ろうとします。蒸気は熱湯よりも高温なので深いやけどを引き起こしやすいです。手の届く低いところに炊飯器や電気ポットを置かないように気をつけます。つかまり立ちができるようになると、手の届く範囲が広がり気配りが必要です。子どもの手の届かない場所に家電製品を置いていても、コードを引っかけてしまうこともあります。赤ちゃんがずりばいやハイハイをするようになると、電気ケトルなどのコードが引っかかり本体が倒れてきて中の熱湯を浴びてしまったりします。

 

アイロンも注意が必要です。熱いアイロンに触ってしまいやけどをした事例はたくさんあります。使用中はもちろんのこと使用後に冷ますためにしばらく置いておくときにも近づかないように気をつけましょう。冬場はホットカーペットや使い捨てカイロによるやけどもあります。大人にとっては心地良い温度でも皮膚が薄い赤ちゃんには温度が高すぎることがあるのです。熱いと感じてもうまく向きを変えたり移動できないこともあります。低温でもやけどの範囲が広いと重症化してしまいことがあります。

 

コーヒーや紅茶などをテーブルクロスに置いておくと、テーブルクロス引っ張ってコーヒーや紅茶が倒れてやけどをすることもあります。魚を焼くグリルコンロも手が届きやすいので注意します。このように家庭のさまざまなところに危険があります。こまめに大人が気をつけることで事故を防ぎましょう。

 

【参考】

政府広報オンライン「家の中の思わぬ危険。乳幼児のやけど事故にご注意を!」

 

やけどの応急処置

やけどをしたときは、まず自分を落ち着かせます。慌てるとさらに大きな事故となります。応急処置の基本はずばり冷やすことです。手足のやけどには流水で冷やします。20分ほど冷やすことで痛みをやわらげ、症状の進行をおさえます。顔や頭など水をかけにくい場所は濡れタオル、保冷ジェルを使って冷やします。冷たさがなくなったら新しいものに替えます。氷を使う場合は直接患部に当てることは避け、氷をビニール袋に入れタオルでくるんで冷やします。服の上からやけどをした場合は服を脱がせる必要はありません。服が皮膚にはりついているのに無理に脱がせると皮膚を傷つけてしまうことがあるからです。服は着たままで冷やしましょう。

 

症状が軽ければ自宅で冷やして経過観察するだけで良くなることもあります。すぐに外科や小児科、形成外科、皮膚科、総合病院等の医療機関を受診できないときは冷やした後にステロイド軟膏を使うと効果的です。しかし、手や足の指の場合は皮膚がくっついてしまうことがあるので医療機関を受診しましょう。病院へ行く移動中も患部を冷やし続けます。移動中は流水は使えないので濡れタオル、保冷ジェルを使います。陰部のやけど、水ぶくれを伴うやけども医療機関で診てもらいましょう。全身のやけどや顔面のやけどの場合は救急車を呼びます。

 

応急処置で気をつけたいことは低体温です。赤ちゃんは体を冷やすと低体温になりやすいので冷やしている間は様子を観察しましょう。全身にやけどをした場合は濡れたバスタオルで体を包み、さらにその上から乾いたタオルで包むと適度に体を保温できます。

 

受診後のホームケアはどうする?

医療機関で治療を受けた後はホームケアが大切です。病院でやけどの範囲や程度に合わせてステロイド外用剤などの塗り薬や飲み薬が処方されます。薬の目的は細菌の感染を防いだりやけどの回復を早めたり、傷ついた部分をきれいにしたりすることです。ステロイド外用剤は長期間漠然と使用するとかえって治りが遅くなるなどのリスクがありますが、やけどをした直後に短期間使用する分には効果的です。家庭では、処方された薬を指示どおりに使用しましょう。ステロイド外用剤など塗り薬を塗るときは、手を洗ってから薬塗ります。指定の用量で塗ります。また、医師に入浴してもいいか、軟膏を塗るときに患部を水で洗ってもいいかについて確認しておきましょう。

 

自宅では、しっかり経過観察をすることも大切です。やけどは表面に出ずに、皮膚の下で進行するケースもあるからです。やけどをしたときは赤くなっていただけだったのに、翌日になって水ぶくれになることもあります。赤ちゃんは症状を口に出して訴えることができないので、やけどをした部分に変化はないか、数日間は注意深く観察してあげましょう。

 

まとめ

赤ちゃんがやけどをしてしまったときは、まず自分を落ち着かせます。それから患部を冷やす処置をして、その後病院で診察を受けましょう。処方されるステロイド外用剤で治療をおこないます。やけどは予防第一です。時々家の中を見渡して発達段階に応じた事故防止を工夫しましょう。

 

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