職場で“絶対的存在”だった先輩
私の部署には、入社20年を超えるベテランの先輩・Aさんがいます。仕事の経験は豊富ですが、少し気分屋なところがあり、機嫌の良いときと悪いときの差が激しい人でした。
最初は尊敬の気持ちで接していましたが、徐々に「仕事の分担が極端に偏っているな」と感じるように。
「ちょっとこれ、あなたの勉強になるから」と言って、急な資料作りや会議準備を頼まれることもたびたびありました。とはいえ、当時はまだ立場も弱く、断りづらくて受けてしまっていたのです。
同期との支え合いと、決意
そんなある日、同じようにAさんの指示に振り回されていた同期と話をしました。
「私たち、ちょっと疲れたね……」
「でも、高卒だからって引け目を感じる必要はないよね」
この言葉にハッとしました。会社に残ることだけが正解じゃない。そう気付いた私は、思い切って転職を決意しました。
退職を申し出たときは不安もありましたが、上司も理解を示してくれ、引き継ぎも無事に完了。晴れて新しいスタートを切ることになったのです。
そして迎えた“その日”
そして迎えた最終出社日。定時を過ぎて会社を出ようとしたそのとき、Aさんから声をかけられました。
「あのさ、1時間後にプレゼンあるから資料お願い」
一瞬、耳を疑いました。このタイミングで、まさかの業務連絡。思わず「すみません、今日で退職するので……」と答えました。
すると、「あら、そうだったわね」とあっさりとした返事が。最後の最後まで仕事をさせたかったのか、以前の感覚のまま口に出してしまっただけなのか、真相はわかりませんが、もうAさんと関わることがないと思うだけで気持ちが軽くなりました。
今でも在職中の自分を思い出すことがあります。いつも誰かの顔色をうかがって、断れずに抱え込んでいた日々。でも今は、自分の力で仕事を選び、責任を持って進められる環境にいます。
あの職場での経験があったからこそ、今の自分がある。振り返ると、Aさんにも感謝すべき部分は多かったのかもしれません。
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職場には、相性の合う人も合わない人もいますよね。けれど、どんな経験も決して無駄ではないということを感じさせられます。自分の働き方を見直すきっかけになったあの日の出来事を胸に、これからも前を向いていってほしいですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
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モヤモヤしか残らない。