そんなある日、都会で就職活動をしたいという理由で、義妹が数カ月だけ同居することになりました。明るくて素直な子だと思っていましたが、一緒に暮らしてみると……。
義妹の本性を知って
実際に義妹と暮らしてみると、就職活動よりも都会で遊ぶことを優先しているようでした。家の手伝いはほとんどなく、洗濯物は出しっぱなし、食器は流しに置いたまま。夫がやんわり注意しても「あとでやるから」と言うだけで、結局そのままのことが多くありました。
さらに、インコに対しても冷たい態度をとりました。 「夜中までピーピー鳴いてて、うるさくないんですか?」 私が「この子はさみしがり屋なんだよ」と返すと、義妹は不機嫌そうに黙り込みました。
私たちが留守の間、勝手にインコを!?
ある週末、私たち夫婦が買い物から戻ると、家が妙に静かでした。胸騒ぎがしてリビングに駆け込むと、インコの入ったカゴが見当たりません。
「ねえ、インコ知らない?」
義妹にたずねると、平然とこう言いました。
「あのインコ、ピーピーうるさいので、外に出しました! 少し風に当ててあげようと思ってぇ~」
その瞬間、血の気が引きました。 義妹は悪びれもせず、 「ベランダにカゴを置いてたら飛んでいっちゃいましたぁ~でも、自由になれてよかったんじゃないですか?」 と笑いました。
夫は怒りで声を震わせながらも、まずはふたりで探すことを優先しました。
捜索と再会
私たちはケージと、普段食べているえさと水を持って家のすぐ裏にある雑木林へ。夕方で気温は下がり始め、風も冷たくなっていました。
「どこにいるのー!? 帰っておいで!」
私たちは手分けして捜索し、何度も呼びかけました。
しばらくして、低い枝の方から「ピーピー」という小さな声が返ってきました。インコは近くの木に止まっていました。
私たちはケージを見える位置に置き、えさで誘導。夫がそっと近づき、タオルで覆って保護しました。小さな体は冷たくなっていて、少しぐったりしていました。すぐに家に連れて帰って部屋を温め、かかりつけの動物病院に連絡しました。
新しい命と、新しい暮らし
インコを無事保護して帰宅すると、夫の怒りは限界に達していました。
「命を軽んじるような行動は、絶対に許されない。もう二度とこの家の敷居をまたぐな!」
義妹は顔を青ざめさせ、何も言い返せずに立ち尽くしました。夫は彼女の荷物をまとめ、玄関に置きました。
「自分がしたことの重さを、よく考えろ」
その夜のうちに義妹は実家へ戻され、義両親にもすべてを報告。義母は電話越しに平謝りし、義妹には厳しい叱責が下ったそうです。
数日でインコは元気を取り戻し、再び「ピーピー」と鳴くように。
義妹のことを思うと、まだ胸の奥が少し痛みます。彼女を完全に憎むことはできません。ただ、命の重さや他人の気持ちに寄り添うことの大切さを、あの出来事を通して彼女にも感じてほしい――そう願っています。これからは、夫と私とインコとの静かであたたかな毎日を大切にしていきます。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。