夫「実家を継ぐことにした」
ある日の休日、夫はいきなり「実家の旅館を継ぐことにした」と言ってきました。私は「そんな話、聞いてない!」とびっくり。「事前に相談してくれてもよかったのでは?」と言うと、夫は「最近、会社を辞めて起業した同期が成功しているから、自分もそいつのようになりたい。平凡な生活には飽きた」とのこと。
ただ、夫に経営の才能があるとは思えず、「すぐには賛成できない。仮に継ぐとしても、もっと計画を練ってからにしたい」と私が伝えると、夫は「俺の決めたことに反対するな! お前も会社を辞めて、女将になる準備をしておけよ」と言って、自分の部屋にこもってしまいました。
私の話を聞かない義母
すると翌日、義母から「息子の決意に反対するなんて、何を考えているの!」とのメッセージが。夫は義母に「旅館を継ぐのを嫁が反対している」と報告したようです。
私は「私にも関わることですし、慎重になるのは当然のことだと思っています」と返信。それでも、義母は「うちの旅館の経営を立て直せるのは、息子しかいないの」と話を聞いてくれず……。どうやら旅館の経営はうまくいっていないようで、私はますます継ぐことが嫌になりました。
仕事の時間が近づいていたため、ひとまず「考えさせてください」と返信し、連絡を区切ったのでした。
「新しい嫁を探す」と脅してきて…
それから1カ月が経過したある日、会社から帰ってきた夫はいきなり、「会社を辞めた。来月から実家に移るからお前も準備をしろ」とのこと。
「相談もなく本当に辞めたの!?」と聞くと、「こういうのは勢いだ。俺はこれからは経営者になるんだ」と発言し……。
「何も考えていないのね」と私がため息をついていると、夫は「経営戦略を練った!」とさまざまな案を説明してきましたが、どれも現実味のない話ばかり。納得しない顔をしていると、「また反対するつもりか? そんなに俺についてくるのが嫌なら、新しい嫁を探すぞ!」と、私を脅してきたのです。
なぜか慌てる夫
「俺と結婚したい女はたくさんいるだろうけど、お前みたいなおばさんと再婚してくれる男はいないだろ」と笑う夫。私は限界に達し、はっきりと言いました。
「いいよ! 私たち離婚しよう」
すると、夫は急に動揺し始め、「ちょ、ちょっと待て。いいのか? 成功した俺に縋りついてきても無駄だからな?」と発言。私はかまわず、「自分勝手な夫といるなら、離婚して自由に生活するほうがいいわ」と言い、少し前から用意していた離婚届をカバンから取り出しました。
「そんな薄情な女だとは思わなかった! 早く家から出ていけ!」と怒鳴る夫を横目に、私は荷物をまとめて実家に戻ったのでした。
元夫「お前との生活に戻りたい」
私たちの離婚は無事に成立。しかし数カ月後、元夫から「もう無理だ。お前との生活に戻りたい」とのメッセージが。聞くと、旅館は元夫が予想していた以上に経営難で、どうしようもない状況になっていたよう。なお、新しい結婚相手も見つからないとのこと。
ただ、私にやり直す気はまったくありませんでした。「あら、それは大変ね。でも、あなたが選んだ道でしょ? 私はひとりで楽しくやってるから、あなたはあなたで頑張って」と返信し、元夫の連絡先をブロックしました。
その後、元夫と旅館がどうなったのかはわかりません。私は実家から引っ越し、ひとり暮らしをスタートしました。念願だった猫も迎え、穏やかに暮らしています!
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
イラスト:わかまつまい子
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