それでも私は「家族のために働いてくれているんだから」と自分に言い聞かせ、必死に夫不在の家庭を守っていました。
しかし、そんな私の我慢の限界を超える出来事が起こったのです。
運動会にも来なかった夫
ある日、子どもたちの運動会が近づいたので夫に連絡を入れました。子どもたちは2人ともクラス対抗のリレーの選手に選ばれています。父親として喜んでくれると思ったのですが、夫の反応は冷ややかなものでした。
「盛り上がってるとこ悪いけど、運動会は帰れない」
仕事が忙しいのかと思いきや、夫は悪びれる様子もなく「正直、ちょこちょこ帰るのが面倒なんだよ。移動だけでもかなり疲れるし、金もかかるしさ」と言い放ったのです。
運動会当日は、実家の両親も都合がつかず、私ひとりで撮影も応援もこなさなければならないのは不安だと訴えても、「母親なんだからひとりで何とかしろよ」と言われてしまいました。子どもたちも会いたがっていると伝えても「ビデオ通話で話してるからいいだろ」と、まったく聞く耳を持ちません。さらには、「そんな言うなら俺の親を呼べばいい」と無責任な提案をする始末。
結局、運動会に夫が姿を見せることはありませんでした。子どもたちに寂しい思いをさせないよう、私は必死で笑顔を作り続けましたが、夫への不信感はこのときすでに芽生えていました。
急な生活費の削減、そのワケとは…
そんな運動会から1カ月後、さらなる衝撃が走ります。夫から振り込まれた生活費が、いつもの半分しかなかったのです。慌てて連絡すると、夫は……。
「俺はATMじゃない!」
「単身赴任で必死に働いて、お前らに生活費を送るの馬鹿らしくなった」
さらに夫は、私が日中に家事や買い物をしていることを「サボり」だと言います。「生活費が足りないならお前の貯金でなんとかしろ」と、一方的に生活費の削減を強要してきました。
小学生になったとはいえ、双子の育児は手がかかります。しかし、何かあったときのためにとっておきたい、独身時代の貯金を切り崩すのは……。それに、学童を探すことも、仕事を探すことも容易ではありません。しかし、夫は「お前より頑張ってる人はたくさんいる」と私の苦労を全否定。
この瞬間、私の中で何かがプツンと切れました。夫は「節約」を口実にしていますが、急に生活費を削る本当の理由はおそらく他にある。そう直感しました。
「わかった! じゃあ探すね」
反論をやめて、明るく返した私。
「え? 働くってこと?」
夫は私の言葉の意味がわからず、少し混乱した様子でしたが、これは私の「反撃」の始まりだったのです。
子どもたちの誕生日も帰ってこなかった夫
それから3カ月後。私は夫に「話がある」と告げ、子どもたちを両親に預けて、単身赴任先の最寄り駅まで向かいました。前日は子どもたちの誕生日でしたが、夫はまたしても帰ってきませんでした。
久しぶりに再会したというのに、夫は面倒そうな顔で「急に来られたら迷惑なんだよ!」と言いながら駅に現れました。そして「プレゼントは後で買うよ」と言い訳する夫に、サイン済みの離婚届を突きつけた私。「子どもの誕生日ごときで離婚?」と鼻で笑う夫に、私は冷静に告げました。
「単身赴任中のマンションに、会社の女性を連れ込んでるよね?」
実は、生活費を減額されてすぐ、学童探しと仕事探しを始めた私。学童は空きがなく、入所できなかったため、両親に事情を説明し、育児のサポートをお願いしたのです。そして、運よく正社員の仕事をすぐに見つけた私は、すでに安定した収入を得られるようになっていました。
そして、自分の給料で興信所に夫の調査を依頼。あのとき、私が夫に「探す」と言ったのは、「不倫の証拠」のことだったのです。調査の結果、夫が生活費を減らした本当の理由は、不倫相手との交際費にお金を回したかったからだとわかりました。「帰るのが面倒」だと言って子どもたちに会いに来なかったのは、不倫相手と旅行やデートを楽しんでいたため。私は、大量の証拠写真を手に入れたのです。
「生活費を減らされたおかげで自立できたし、あなたの裏切りを暴く資金もできたわ。あとは弁護士を通して連絡するので」そう告げる私に、夫は言葉を失い絶望していました。これ以上話すことはなかったので、私はそのままとんぼ返り。子どもたちが待つ実家へ帰り、夫と直接の連絡を絶ちました。
その後、実家への引っ越しも済ませ、弁護士を通じて話し合い、離婚が成立。私は元夫と不倫相手の2人に慰謝料を請求しました。元夫には養育費の支払いもあるので、今までのように不倫を楽しむ余裕はなくなることでしょう。
離婚後初めての面会では、子どもたちに「パパ嫌い! パパもぼくたちのこと嫌いだから今まで会ってくれなかったんでしょ?」と言われていました……。今、私は両親のサポートを得ながら育児と仕事の両立に励んでいます。子どもたちの未来のために、この平穏な生活を守っていこうと思います。
◇ ◇ ◇
子どもたちの行事を「面倒」だとないがしろにし、生活費を「馬鹿らしい」と削った本当の理由は、不倫相手との時間や交際費を優先したかったからという信じがたい理由でした。自己中心的な理由で家族を苦しめた夫に待っていたのは、妻だけでなく子どもたちからも愛想を尽かされるという厳しい現実。自業自得と言わざるを得ません。目先の欲望に溺れず、家族の幸せをまっすぐに考え、誠実に生きていきたいですね。
【取材時期:2025年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。