都賀レディースクリニック（千葉県千葉市）院長インタビュー
千葉県の「都賀駅」からほど近い住宅街。都賀レディースクリニックは、地域に密着したアットホームな産婦人科です。現院長の加来博志先生のお父さまが開業して40年ということもあり、地元の飲食店では「お父さん元気？」と声をかけられることもあるそうで、加来博志院長は、親しみやすい笑顔の素敵な先生でした。今回、「地域に貢献したい」という強い思いと使命感を持ってお産に向き合われている加来院長に、お話を伺ってきました。
「地域に貢献したい」父の代から変わらぬ思い
「もともと父はこの土地の出身ではないのですが、父がこの土地で開業して40年になります。今、お産できる施設が減ってきているので、地域の人たちが困らないように、また私自身もこの地域で育ってきたので、恩返しをしたいという気持ちもあります。『最後の砦』というと、少し大袈裟かもしれないですが、使命感を持ってやっています。
産婦人科は、内科や外科などと違って、特殊な科といえます。たとえば、緊急帝王切開となると、医者とスタッフで6名必要になるんですね。当院では24時間365日、いつ何があっても対応できるように、心構えをしています。産婦人科医が不足しているという現状がありますが、父が産婦人科医だったというのもありますし、地域に貢献したいという思いがあって、私は産婦人科を選びました。
休みの日に呼び出されることもありますし、忙しく、大変な仕事ですが、患者さんからの『ありがとう』のひと言ですべて吹き飛びますね。非常にやりがいのある仕事です」
妊婦さんやそのご家族に、居心地のいい空間を提供したい
「時代に合った、より居心地のいい空間を提供したいという考えから、10年前にクリニックの建物を新しくしました。お産って人生の一大イベント。1人の妊婦さんが、一生のうちにするお産は、1～2回ということが多いですからね。産前産後を快適に過ごしてほしいと思っています。
クリニックの設計は、産婦人科専門に設計されている方にお願いしました。患者さんに必要な空間や、働くスタッフの動線などもよく考えられていて、当時のスタッフとも相談しながら作り上げた病院です。
私自身も子どもがいて、妊婦の夫という経験がありますし。妊婦さんやご家族のことを考えて、上のお子さんやご主人も一緒に泊まれるように、病室は全室個室で余裕のある広さになっています。そういう条件を求めて来院される患者さんもいらっしゃいます。また、院内設備の話ではないんですけど、当院は土日も外来をやっていますから、土日しか通院できない妊婦さんとかご主人と一緒に健診に来られる方も多いです」
今のニーズに合わせた医療の提供
「お産の数も以前より増えているので、それに対応すべく、クリニックを建て替えたときにLDRは2つ、ベッド数は15床に、またスタッフの数も増やしました。
医療もですが、患者さんの要望も時代とともに変化していきますので、アンテナを張って、それに対応していきたいと思っています。たとえば、ヨガやマタニティビクス、母乳外来、母親教室など、医者だけでは対応できないことや、遺伝カウンセリングなども行っています。遺伝カウンセリングというのは、千葉大の遺伝カウンセラーの方と連携しているのですが、妊娠にまつわる不安などを相談できる窓口みたいなものです。
現代は、インターネットで情報があふれて過ぎている時代ですので、知りすぎて不安になるという方も結構いらっしゃるようです。それから、最近多い不妊相談も受けています。高度不妊治療は行っていないのですが、タイミングを合わせたり排卵誘発剤を使ったりと、3年くらい前から不妊外来では対応できていなかった方たち向けの相談や治療を行っています」
妊婦さんファーストを意識して
「スタッフは、妊婦さんのために快適に過ごせるか、不安や悩みが相談しやすいかなど、意識しながらやってくれています。妊婦さんにとっても、スタッフにとってもいい方向性を探しながら相談してやっています。
最近の話では、体重指導が多いです。昔の考え方だと『赤ちゃんの分も食べなさい』ということがあったと思うのですが、現代の妊娠のあり方としては、ちょっと違いますからね。体重が増えすぎると、妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病のリスクが増えますから、母親学級だったり、ときには直接指導してもらったり、私が対応できない部分は、助産師さんにフォローしてもらっています。昔よりおいしいものが身近にありますから、妊娠中の体重管理は難しいようですね」
「当院はお産がメインですが、婦人科疾患、生理不順、更年期、不妊など、さまざまな患者さんがいらっしゃいますので、お産だけじゃなく婦人科全般の困ったことの入口になりたい、地域の入口になりたいという思いがあります。そういった意味で敷居を低くして、オープンな体制でお待ちしています。それぞれの状態に合わせて対応していきますので、気軽にお越しください」