聖バルナバ病院(大阪府大阪市)院長インタビュー

「お産専門」という特徴を生かした機動性と安心感

高級感が漂う聖バルナバ病院
聖バルナバ病院の144年の歴史から現在まで、気さくにお話してくださった成瀬院長

聖バルナバ病院が天王寺区に移転して94年。2005年に現在の建物に立て直したということもあり、外観はとても新しく、そして大きな病院でした。まずは、成瀬院長にこの1年のできごとを伺いました。

「聖バルナバ病院は、144年の歴史があり、昭和の時代には年間4,300件のお産を取り扱っていました。また、日本で最初の助産師養成施設である助産師学院の運営を開始した、お産専門の伝統のある病院です。

昨年の7月に院長に就任してから、これまでの経験を生かしながらも伝統を守り、どうやったら患者さんにご満足いただけるのかを考え、患者さんのためにできる新しいことを積極的に取り組んできました。この1年を振り返ると、スピード感を持って取り組めたことが3つあります」

病院とは思えないおしゃれな受付と待合室

「まず1つ目の取り組みは、スタッフに対する安全面の教育を強化すること。やはり病院としていちばん大事なのは、安全面だと思うんです。今までの自分の経験も取り入れながら、まずはベースとなる安全面について、聖バルナバ病院のスタッフ全員で取り組むことにしました。スタッフ全員とは、医師、助産師、看護師は当然ながら、受付、厨房など、すべてのスタッフです。

毎月、全てのスタッフを対象に、安全面での勉強会を自ら講師となって行ない、出席できないスタッフには勉強会の動画を見てもらうようにしています。たとえば、緊急時の対応方法は、一部の専門職だけが知っているだけではダメで、大事なときに病院全体が一体となって動けるような準備をしていくことが大事なんです。

また、最近では、和痛分娩に関連する事故がメディアで話題になっていますが、聖バルナバ病院でも和痛分娩を取り入れています。患者さんのニーズも多く、予約制で基本は週2回、和痛分娩を実施していますが、なにより安全に実施することが重要だと考えています。和痛分娩のときに使用する硬膜外麻酔は、一人の医師で対応するから事故が起こりやすいのであって、複数の医師がいるときに、かつスタッフ全体でしっかり対応していくことができれば、リスクは高くはありません。それ以外でも、起こりうる事態の想定と、その際の対応を二重、三重に準備しておくことが大事なんです」

診察中も絶えず笑顔の成瀬院長

「2つ目の取り組みは、出生前診断についての通達ポリシーです。日本の基準では、出生前診断について35歳以上の患者さんに説明をするようになっていますが、お産専門の病院として一歩進んで、すべての患者さんに説明し、かつ、その後の対応も聖バルナバ病院でできる体制をとっています。また、近隣の大病院とも密な連携をしているところが特徴です。

3つ目の取り組みは、食事です。患者さんがびっくりするような豪華な料理は出しませんが、自然食、自然志向な減塩食の健康的な食事を患者さんにとっていただくこと、そして食事のおいしさにこだわっています。また、食事面については、ベジタリアンやアレルギーの方への対応もしています。私も毎日、患者さんに提供されるメニューを食べて、要望や改善点をスタッフに伝えています」

工夫をこらした、お祝い膳
広いチャペル

「聖バルナバ病院は、キリスト教団体のひとつである米国聖公会から派遣された医師によって開設されました。そのような伝統もあり、聖バルナバ病院にはチャペルがあり、専属の司祭がいます。

産婦人科は、生命の誕生という、うれしいことばかりだけでなく、残念ながら中絶や死産などもあります。ですので、その際には、患者さんに対して精神的なケアもじゅうぶんできるようにしています。

プロの産婦人科医や助産師は、幸せな瞬間をたくさん見てきたと同時に、つらいこともたくさん見てきています。ただ、このような経験があるからこそ、幸せなできごとを心からよろこび、祝うことができるうえに、つらいできごとも応援できるんです。聖バルナバ病院のスタッフ全員にもそういった教育をしてきています。産科専門はここが違うのだと思っています」

産婦人科の負の部分を経験してきたからこそ、産婦人科の発展に貢献していきたい

若いころに、かなり激動のご経験をされたという成瀬院長。そのできごとについても、くわしい話を伺いました。

「私が医師を目指したころ、産婦人科は未知の分野が多かったんです。私は研究ができる分野が好きだったので、産婦人科の領域にチャレンジしていこうと思ったことが、産婦人科医になるきっかけでした。

そして大学卒業後、イギリスに留学したあとのこと。奈良医大の産婦人科で当直医をしていたときに、『死産妊婦のたらい回し事件』があったのです。その現場にいたのが私でした。マスコミの誤報に対し、大学とともに反論するなど、激動の現場を経験しました。そんな体験もあって、産婦人科をもっと発展させていきたいと強く思うようになり、今に至ります。

現在は、産婦人科診療に関するガイドラインの2017年版の作成にかかわっています。さらに、次の2020年版のガイドラインの作成にも取り組ませていただいています。そのほかに、日本妊娠高血圧学会や聖バルナバ助産師学院の院長など、広く産科がレベルアップしていく仕組みづくりに力を入れています。それが、お産専門の聖バルナバ病院の院長として、できることかなと思っています。天が仕事をあたえてくださったんだろうなという思いです」

なにより妊婦さんに寄り添った対応を!

「聖バルナバ病院は産科専門の病院で、濃厚な助産体制が特徴です。名門といわれていますが、取り組んでいるのは“革新”です。名門の部分でいうと、聖バルナバ病院の患者さんへのサポート力があげられると思います。助産師による保健指導やマザークラスなどのサポートは、患者さんに好評で、ほかの産婦人科にノウハウの提供も行っています。

革新の部分でいうと、もともと、先代から新しいことに積極的に取り組んできました。たとえば、帝王切開の縫合方法、3D/4Dエコーの導入などです。私の代になってからは、先ほどお話しした安全、通達ポリシー、食事の3点のベース部分を革新していきました。今後も、常に新しいものに取り組んでいくことが重要だと考えています」

「お手軽セレブ病院」へ気軽にお越しください

高級なたたずまいで患者さんをお出迎え

「聖バルナバ病院は名門だと思うのですが、決して敷居は高くありません。分娩費用もそれほど高くありません。いわば『お手軽セレブ病院』だと思っています。

最新のものを取り入れながらも安全対策を徹底し、一人ひとりのケアをじゅうぶんにおこなうという点が聖バルナバ病院の特徴です。患者さんのバースプランに沿ったオーダーメイドの分娩にも対応し、今後はフリースタイルのお産も復活させようと考えています。もちろん、安全面もじゅうぶんに対応したものを準備しています。

入り口はお手軽セレブですが、濃厚な助産体制をぜひご体験いただければと思います」

広いLDR(陣痛室・分娩室・回復室が一体となった個室)和室部分もあるLDRも
明るく、清潔感のある個室
やさしい雰囲気の特別室
多数室も非常に広い間取り
院内レストラン「メイズ・キッチン」

ベビーカレンダー編集部


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