【助産師監修】破水とは? 破水の種類や見分け方、対処方法について

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助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

【助産師監修】破水とは? 破水の種類や見分け方、対処方法について

 

出産の際の、入院の目安の1つに「破水」があります。とはいえ、実際に体験しないとどのようなものなのか、わかりにくいですよね。今回は、破水とは何か、破水の分類、破水の症状や見分け方、破水時の対処方法などについてご紹介します。

 

 

破水とは? どのように起こる?

おなかの中の赤ちゃんは卵膜という袋の中に羊水と一緒に存在します。子宮口が開いてくると卵膜と子宮の壁にズレが生じ、卵膜がはがれていきます。すると、羊水が下に流れ込んで卵膜が膨らみ、「胎胞」を作り出します。

 

そして陣痛によって子宮内圧が高くなると、赤ちゃんの頭も下がっていき、胎胞にも圧力がかかっていきます。この圧力に耐えられなくなることで胎胞が破れ、羊水が流れ出ることを「破水」といいます。

 

これは、「低位破水」「完全破水」と言いますが、別の場所の卵膜が破れた場合を「高位破水」と言います。

 

 

 

破水の分類について

破水はどの時期に起こるかによって以下のように分類されています。

 

前期破水(PROM)

「前期破水」とは、陣痛が来る前に破水した状態を言います。

前期破水の原因には、絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染や羊水過多などによる子宮壁の過伸展、頸管無力症などがあげられます。

 

前期破水は、妊娠37週以降に発症する前期破水と妊娠37週未満に発症する前期破水とに分けられ、特に妊娠34週以前の前期破水では赤ちゃんに合併症が起こりやすくなります。

 

妊娠37以前に起こる前期破水では以下のような合併症がみられるため、注意が必要です。

・絨毛膜羊膜炎などの子宮内感染の恐れがある

・臍帯脱出(へその緒が子宮口から出てきてしまう状態)や臍帯圧迫により、おなかの中の赤ちゃんに苦しいサインが出てきてしまう

・破水によって子宮内の羊水量が減り、おなかの中の赤ちゃんが圧迫されてしまい、肺の成長が妨げられたり、手足が変形したり、関節がかたくなってしまう

・子宮内の羊水量が減り子宮内圧が低下することで、常位胎盤早期剥離を発症する恐れがある

 

早期破水

「早期破水」とは、陣痛が来てから子宮口が全開大(10㎝)になるまでの間に破水したものを言います。

 

 

適時破水

「適時破水」は、子宮口全開大の頃に破水したものを言います。

 

 

 

破水かどうかの見分け方は? におい、色、量について

破水の状況は人それぞれで、破水した瞬間にわかることもありますし、尿漏れと区別がつかない場合もあります。ここでは、破水かどうか判断するときの方法を解説しますが、自分で判断できない場合は、産院に連絡して指示を仰ぎましょう。

 

・破水した場合、安静にしていても羊水が流れ出てきます。尿の場合はおなかに力を入れると止めることができます。

・羊水のにおいはまったくしないか生臭い場合があります。

・色は透明もしくは淡黄色ですが、出血して血液の色が混ざっている場合もあります。

・量も状況によりさまざまで、下着がびっしょり濡れて羊水が流れ出てくる場合もあったり、ごく少量の場合もあります。


 

 

 

破水したときの対処方法

破水と思ったら、安静にしてかかりつけの産院に連絡し、指示を仰ぎましょう。その際には、自分の名前、診察券番号、出産予定日、現在の状態、妊婦健診で医師から説明があった内容、産院への到着予定時刻などを伝えます。

 

症状などを伝えると、対処方法を教えてもらえます。体を動かすと羊水がさらに流れ出る恐れがありますので、清潔な大きめのナプキンをつけ、腰にバスタオルを巻くなどしておきましょう。破水後は、子宮内感染のおそれが高まりますので、入浴やシャワーはNGです。

 

産院からの指示があった場合は別ですが、産院へは家族が運転する自家用車やタクシーなどでの移動しましょう。最近では、「陣痛タクシー」の利用を呼び掛けているタクシー会社も多くあるようですので、事前に登録しておくと安心です。移動の際は、腰を高くした姿勢で横になりましょう。

 

 

 

 

まとめ

産院に到着したら破水かどうかの診察・検査をおこないます。破水と診断された場合、妊娠週数やママやおなかの中の赤ちゃんの状態によって方針が決まります。破水はいつ起きるかわかりにくく、自分では破水かどうかの判断も難しい場合もあるので、気になる症状がある場合は、産院に相談し指示を仰ぐようにしましょう。

参考
・メディックメディア病気がみえる 産科vol.10」

 

 

 

 

 

 

◆関連動画 出産ドキュメンタリー

 

 

 

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