【医師監修】産婦人科の内診とは?診察内容や目的について
産婦人科では内診と呼ばれる検査をすることがあります。初めて聞く人もいれば、「内診は痛い」という噂を聞いて腰が引けてしまっている人もいるかもしれません。そこで今回は、内診をおこなう目的や診察でわかること、内診を受けるときの注意点について紹介していきます。
- 【目次】
- ・内診とは
- ・内診を受ける場所
- ・内診では何を診ている?
- ・腟直腸診とは
- ・直腸診とは
- ・内診を受けるときの注意点
- ・まとめ
- ・内診に関連するQ&A
内診とは
内診とは、腟の中に指や腟鏡、経腟超音波などの器具を挿入して、直接子宮や卵巣、腟の状態を観察することを言います。実際の現場では、指を用いた診察を内診と呼ぶことが多いです。
内診を受ける場所
内診の際は、ショーツを脱いだ状態で内診台にあがります。通常は、内診をする医師と診察を受ける人の間にはカーテンなどで仕切りがされているため、顔を合わせることはありません。ただ、子宮口の開き具合などを調べる分娩前の診察では陣痛室(分娩に入る前に待機する部屋)や分娩台の上でそのまま診察することがほとんどです。
内診では何を診ている?
●婦人科領域の場合
不正出血がある場合やおりものに異常がある場合、子宮がん検診など、症状に合わせて内診がおこなわれます。
婦人科領域での内診は、腟腹壁双合診のことを言います。腟腹壁双合診では、一般的に人差し指と中指を用いて、腟口、子宮頚部、子宮体部を診察し、その後もう片方の手を腹壁にあて、子宮体部、卵巣や卵管などの付属器、ダグラス窩を診察していきます。
■腟腹壁双合診の実際
滑りをよくするため、内診指(人差し指・中指)に生理食塩水あるいは精製水を付けて挿入します。
内診指を後腟円蓋部に挿入します。
内診指とおなかに当てた外診指で子宮体部を挟み込みます。
内診指を腟円蓋側方にずらし、卵管・卵巣を挟み込みます。
ダグラス窩と接する後腟円蓋を触診します。
診察の際は、痛みがないか、子宮の大きさや形、可動性などを観察していきます。また出血や分泌物がある場合は、正常や量、臭気の有無などを診ていきます。
●産科領域の場合
妊娠中は人差し指と中指を用いて、子宮頸部(子宮口)の開き具合や柔らかさなどを診察していきます。
妊娠中の内診では、子宮口の開大度や硬さ、子宮口や児頭の位置などを点数化して分娩の進行度を評価しています。これをビショップスコアと呼び、点数が高いほど分娩が進んでいると判断されます。臨月に入ると妊婦健診のときに内診があり、分娩の兆候がないか診ていきます。
腟直腸診とは
人差し指を腟に、中指を直腸に挿入します。双合診と同じ手順で触診をおこないます。直腸内の指でダグラス窩、仙骨子宮靱帯を触れることができ、子宮内膜症や子宮頸がんの発見に有効な診察となります。また、直腸腟ろう、痔核の診察目的の際にもおこなわれます。
直腸診とは?
幼女、少女、性交渉の経験がない場合、内診の代わりにおこなわれるのが「直腸診」です。肛門に指を挿入して診察をおこないます。
内診を受けるときの注意点
内診を受けるとわかっているときは、着脱のしやすい服装がおすすめです。また、個人差がありますが、内診時に痛みを感じる人もいます。大きく呼吸をしてリラックスした状態をつくり、できるだけ力を抜くようにしましょう。そして、内診の刺激で出血することがあります。大量に出血した場合や出血が長く続く場合は、ほかに原因がある可能性があるため病院に相談するようにしましょう。
まとめ
内診は子宮や卵巣の状態を確認するために必要な検査です。また、妊娠中においては定期的な内診で子宮口の開大や柔らかさなどを確認することができます。内診に抵抗を感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、できるだけリラックスした状態で診察に臨むようにしましょう。
◆内診に関連するQ&A