【助産師監修】妊娠中は歯医者に行っても大丈夫?妊婦さんの歯の治療について

この記事の監修者
監修者プロファイル

助産師松田玲子

医療短期大学専攻科(助産学専攻)卒業後、大学附属病院NICU・産婦人科病棟勤務。 大学附属病院で助産師をしながら、私立大学大学院医療看護学研究科修士課程修了。その後、私立大学看護学部母性看護学助教を経て、現在ベビーカレンダーで医療系の記事執筆・監修に携わる。

妊娠中 歯医者イメージ

 

妊娠した女性の体にはさまざまな変化が現れます。ホルモンバランスの変化に影響を受けて、妊娠前に比べて歯や歯茎、口臭など口腔内のトラブルが起こりやすく、産後は赤ちゃんのいる生活が始まり、歯科医院へ通う時間の確保が難しいという状況もあります。そのため、妊娠中からの歯とお口の健康管理がとても大切です。では、歯とお口の健康管理についてどのように意識して過ごしたらよいのでしょうか。妊娠中の歯科の受診や治療が赤ちゃんへ与える影響などについて解説します。

 

 

妊娠中は歯医者に行っても大丈夫?

妊娠中は、女性ホルモンの影響で口腔内の環境を整える作用を持つ唾液の分泌が減ったり、歯ぐきの出血や腫れが起こりやすくなるため、虫歯や歯周病、口臭の発生などさまざまなトラブルが起こりやすくなります。

 

つわりで歯磨き粉の味や香り、歯ブラシの刺激で吐き気をもよおしたり、一度に少量しか食べられないために食事の間隔が短いなど、お口の中を清潔に保つことが難しい妊婦さんも多いのではないでしょうか。

 

妊娠すると口腔内のトラブルが起こりやすいことから、妊娠中に歯科健診を受けられるように、各自治体が「妊婦歯科健康診査」の受診券を配布しています。自治体によって、受診券の利用可能な歯科医院や負担する費用が異なるので、」お住まいの自治体ホームページや受診券と一緒に渡される配布資料を確認しましょう。

 

「妊婦歯科健康診査」は、主に歯と歯ぐきの状態を確認する検査のみおこないます。もし、虫歯や歯周病など症状を認めれば、必要に応じて治療(保険診療)がおこなわれます。

 

妊娠中に必要最低限の治療のみで済む場合もありますし、症状の進行度に合わせた治療方法やセルフケアについて歯科医師、歯科衛生士が提案してくれるので、心配なことや不安なことがあれば「妊婦歯科健康診査」を利用して相談しましょう。

 

 

もし治療を受けても赤ちゃんへの影響はないの?

妊娠中におこなう検査や治療が赤ちゃんに影響はないのか気になるところです。歯科治療のエックス線検査(レントゲン)、局所麻酔、治療後に処方される鎮痛剤や抗生物質(抗菌薬)について説明します。

 

まず、エックス線検査(レントゲン)は、口腔内の状態を確認し、診断や治療方法を決めるために必要に応じておこなわれる検査です。歯科医院でおこなうエックス線検査(レントゲン)は、口腔部分のみに微量の放射線を照射して撮影します。また、撮影のときには放射線被ばくを軽減するため、腹部を覆うように防御用エプロンを着るため、実際には赤ちゃんの健康状態への影響はありません。

 

次に局所麻酔についてですが、母体や胎児へ影響の少ない局所麻酔薬が準備されているので、痛みを伴う処置を受ける場合は使用したほうが、痛みもストレスも最小限に抑えられるでしょう。

 

また、鎮痛剤や抗生物質(抗菌薬)が必要な場合も、母体や胎児へ影響の少ない薬を選んで処方されます。ただし、妊娠16週未満の場合、胎児の器官が作られる時期に重なるため、歯科医師の判断で薬の処方をしない場合もあります。歯が痛いからといって、市販薬を自己判断で内服することはやめましょう

 

いずれにしましても、妊娠中に歯科医院で検査や処置を受ける前に、妊娠していることを必ず歯科医師や歯科衛生士に伝えてから、治療を受けるようにしましょう。

 

 

虫歯や歯周病はそのままにしないほうがいい?

妊娠中は女性ホルモンの増加に伴い、歯ぐきの出血や腫れなどの妊娠性歯肉炎が起こりやすい状態です。また、つわりなどを理由に十分な歯みがきができない状態が続き、歯と歯の隙間や歯と歯ぐきの間に食べかすやプラーク(歯垢)が残っていると、虫歯や歯周病の原因となります。

 

口腔内が清潔に保たれていれば、妊娠性歯肉炎は起こらず、起きても軽い症状で治まり、本格的な歯周病へ移行せずに済みます。歯周病は早産(妊娠22~36週での出産)や低出生体重児(出生児体重2,500g未満)の誘因となると言われていることから、症状の有無に関わらず、妊娠中に一度は歯科受診をしたほうが良いでしょう。

 

 

歯科の受診のタイミングはいつ?

妊娠前から治療や歯列矯正などで通院している場合は、かかりつけの歯科医師へ妊娠したことを伝えましょう。基本的に必要な治療や歯列矯正は継続可能ですが、妊娠週数や口腔内の状況によるため、まずは歯科医師へ相談しましょう。自己判断で通院を中断することはやめましょう。

 

妊娠中に新たに受診する場合は、つわりが一段落する妊娠16週以降を目安にすると良いとされています。妊娠16週未満は、胎児の器官形成期と重なり、赤ちゃんの体が作られる段階にあります。不要な検査や処置、薬剤の使用を避けることを理由に、妊娠16週以降に「妊婦歯科健康診査」の利用を推奨する自治体や歯科医院が多いです。

 

また、妊娠30週以降はおなかが徐々に大きくなり、あお向けなどの同じ姿勢を維持することが難しくなりますし、あお向けの状態が続くことで仰臥位低血圧症候群を起こすおそれもあります。妊娠中に体調が良いタイミングを選んで、早めに歯科健診へ行きましょう。また、歯の痛みや歯ぐきの腫れ、出血など症状のある場合は、週数関係なく受診して、適切な治療を受けましょう。

 

 

まとめ

最近は、大人だけではなく子どもも通いやすい雰囲気の歯科医院が増えていますので、将来的に親子で通院できる歯科を近所に見つけておくこともおすすめします。妊娠中に一度は歯科健診を受けて、歯とお口の健康を意識して過ごしましょう。

 

 

 

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