人工妊娠中絶を行う時期や方法、中絶後の生理と妊娠への影響について

18

中絶後妊娠イメージ

 

妊娠中絶をやむを得ない理由ですることになっても、今後赤ちゃんが欲しいと考えている人もいると思います。今回は、人工妊娠中絶の期間や方法、妊娠中絶後の生理や妊娠についてお話していきたいと思います。

 

 

人工妊娠中絶手術とは

人工妊娠中絶手術は、胎児や付属物(胎盤、羊水、臍帯、卵膜)を人工的に母体の外へ排出させる医療行為です。中絶手術は、単に妊婦さんの希望で受けられるわけではありません。望まない妊娠であっても、手術を受けることができるのは、母体保護法という法律で定められた対象者のみです。母体保護法による人工妊娠中絶手術の対象は


1.妊娠の継続や分娩が、身体的・経済的に母体の健康が著しく損なう
2.抵抗や拒絶ができない状態での性行為による妊娠


となっています。たとえ、自分が人工妊娠中絶手術の対象者に当てはまっているとしても、法律で認定された「指定医師」が中絶の適応を認めなければ、手術を受けることができません。同時に、配偶者(意思を確認できない場合を除く)の同意が必要です。人工妊娠中絶を受けるには、ほかの手術と同じく、手術や麻酔についての詳しい説明を受け、同意書に配偶者の署名も必要になります。

 

 

中絶が可能な期間

注意しておかなければならないのは“人工妊娠中絶ができるのは、胎児が母体の外では生命維持できない間まで”と定められていることです。具体的な期間としては、妊娠22週未満となっています。中絶の希望があるなら、妊娠22週までに手術を受けなければ妊娠を継続することになります。もしも、中絶する決心がつかないままに妊娠22週を迎えてしまうと、人工妊娠中絶手術を受けることができません。

 

 

人工妊娠中絶手術の方法

人工妊娠中絶手術の方法は、妊娠12週未満と妊娠12週以降から妊娠22週未満で異なります。

 

妊娠12週未満であれば、基本的には静脈麻酔をして子宮内容除去術を行います。手術には「掻爬(そうは)法」と「吸引法」の2通りの方法があります。掻爬法は器具で掻き出す方法で、吸引法は器械によって吸い出す方法で、どちらも外科的手術です。手術前に子宮の入り口を広げる処置がありますが、中絶手術における所要時間は10~15分程度で終わります。妊娠12週未満は胎盤が形成される前なので、痛みや出血などの身体的負担はほとんどなく、日帰りの手術も可能です。

 

妊娠12週~22週未満になると、すでに胎盤が形成されているので、人工的に流産をする方法になります。事前に子宮の入り口を広げる処置を行い、子宮を収縮させる薬を投与して陣痛を起こすので、妊婦さんには身体的な負担が大きいです。

妊娠12週未満の中絶と異なり、数日間の入院が必要になるので費用もかかります。死産届や埋葬許可証などの手続きもしなければなりません。人工妊娠中絶を検討している方は、妊娠数週により中絶を行う方法や費用などが変わってくるため、医師や配偶者、ご家族と早めに話し合いをする必要があります。

 

 

中絶後の生理はいつから再開する?

妊娠12週未満の人工妊娠中絶後は、最短で10日後に月経が開始されます。一方で妊娠12週以降の中絶後は、最短で30日~50日後に月経が始まります。
排卵が再開されれば妊娠することが可能になるので、妊娠を望まないのであれば計画的に避妊をしていくことが大切です。中絶手術を受けた直後から低用量経口避妊薬(一般的にピルなど)を使った避妊法を開始できます。

 

 

人工妊娠中絶後の過ごし方について

人工妊娠中絶手術を受けた後の経過や定期受診について詳しくみていきます。
掻爬法や吸引法で中絶手術を受けた場合は、子宮など骨盤内の臓器へ器具を挿入したことでダメージが残っています。痛みがあるときには積極的に痛み止めの薬を使って痛みのないように過ごしましょう。また、感染のリスクもあるので、抗生剤を使用することになります。退院後に大量に出血したり、出血や腹痛が続いたりするときには、手術の経過を診てもらう必要がありますので、気になる症状がある方は早めに受診しましょう。


人工妊娠中絶手術を受けたあと、定期的な受診は必要ないのですが、手術後の経過検診は術後1週目に1度受けることになります。感染している兆候がないか、子宮内で妊娠が継続されていないか検査して、異常がなければ普段の生活に戻れます。しかし、自分の意思と反して中絶を行ったり、胎児に対して命を守ってあげられなかったという苦しい気持ちがあるときには、精神的なフォローを受けることも出来ます。まずは、手術を受けた病院に相談をしてみると良いでしょう。

 

 

中絶後に不妊になるリスクや妊娠への影響について

指定医師により適切な処置や受診を受けていれば、人工妊娠中絶手術の後も妊娠しにくくなるということはありませんし、次の妊娠の経過でも、妊婦さんや胎児に影響はありません。


しかしながら、手術中に器具によって子宮が傷ついたり、手術後に感染症にかかることもあります。この場合には、後遺症として習慣流産や妊娠しにくくなることが挙げられ、月経異常や不正出血、分娩時の大量出血のリスクも報告されています。自分の体を守るためにも、人工妊娠中絶手術を安易な気持ちで受けることのないようにしましょう。

 

 

まとめ

人工妊娠中絶手術を受けようか迷っている方は、早めに産婦人科に受診して診てもらいましょう。妊娠中絶は、行える週数が決められていること、週数により中絶手術の方法が異なるため、配偶者やご家族の方と早期に相談する必要があります。また、妊娠中絶には身体的な負担だけではなく、精神的な負担も大きいものになります。そのため、妊娠を望まない方は、避妊をして妊娠をしないように心がけるようにしましょう。

 

 

 

 

◆中絶に関するQ&A

監修者

医師 天神尚子 先生

産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長


日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。


経歴

1981年 日本医科大学医学部卒業
1988年 米国ローレンスリバモア国立研究所 留学
1994年 日本医科大学 産婦人科学講師
1995年 東京都教職員互助会三楽病院 産婦人科科長
1995年 日本医科大学 産婦人科学客員講師
2004年 三鷹レディースクリニック開業


2018/08/28


この記事にいいね!しよう

いいね!
18

現在ログインしていません。

助産師に相談しよう!(無料)

ベビーカレンダーでは助産師に相談ができます。
知りたいことは助産師に質問してみましょう。
会員登録は不要です。

はじめての方へ

赤ちゃんの笑顔でいっぱいの毎日を。『ベビーカレンダー』は、赤ちゃんが毎日を笑顔で過ごせるような情報をお届けする、妊娠・出産・育児の情報サイトです。日めくりカレンダーを毎日めくるように、『ベビーカレンダー』を、ぜひ毎日ご活用ください。

ベビーカレンダー監修者はこちら

  • 天神先生
  • 三石先生
  • 池谷先生
  • 小枝先生
  • 松井先生
  • 太田先生

あなたも質問してみませんか?

ご投稿いただいた質問に、頼れる専門家が回答いたします。気になる悩みや疑問をお寄せください。