【医師監修】赤ちゃんの心拍確認いつから?
今回は、おなかの赤ちゃんの心拍を確認できる時期についてお話します。
妊娠がわかるまで
市販の妊娠検査薬で妊娠反応が陽性となった、あるいは基礎体温の高温相が14日以上続いたといったことをきっかけに産婦人科を受診する方も多いと思います。この時期に超音波検査(エコー)を行うと、子宮の中に胎嚢(たいのう)と呼ばれる袋状の構造が確認できることがありますが、受精卵が人間のかたちになる前の段階である胎芽(たいが)や心拍はまだ確認できません。妊娠したかどうかの判断は、エコー以外に、妊娠判定薬や基礎体温の高い状態が持続することも手掛かりとなります。
妊娠判定薬は、現在市販されている妊娠判定薬の場合、妊娠3週後半くらいから陽性となります。妊娠判定薬が陽性の場合、妊娠していることはほぼ確実ですが、妊娠のどのくらいの時期なのか、正常の妊娠(子宮外妊娠という状態も例外的にはあり得ます)なのか確認が必要になります。
妊娠判定薬が陰性と出た場合には、検査からさかのぼって2週間前までの時点で妊娠はしていないことになります。ちなみに月経から日数を計算した場合、妊娠2週頃が排卵の時期になるため、本当は月経開始から排卵日までは妊娠はしていません。
基礎体温は排卵後に上昇する黄体ホルモンを反映するため、妊娠が持続している場合は排卵後2週を過ぎても体温が高い状態が続くことになります。
妊娠週数は一つの目安ですが、月経周期は28日が平均的な日数ですが、個人差は大きく、正常と考えられる月経周期も25日から38日までかなり個人差がありますので、月経周期が28日より長い人や不順な人は最終月経から6週経過した時点でもエコーで心拍を明確に確認できないこともありますのであまり心配しないでください。
心拍が確認できる時期
妊娠しておなかの赤ちゃんの心拍が確認できるのは、妊娠6週頃からです。
卵巣から排卵された卵が受精し子宮内に定着することを「着床」と呼びますが、妊娠4週頃から超音波検査で胎嚢が確認できるようになります。妊娠6週頃から胎児心拍と呼ばれる、心臓のもとになる部分が確認できるようになります。このころの「赤ちゃん」の呼び方については妊娠8週未満の時期を胎芽(たいが)と呼び、妊娠8週以降を胎児(たいじ)と呼んでいます。
医師が胎嚢や胎芽、胎児の様子を確認する際は、プローブと呼ばれる器具を身体に当てて体内の様子を画像で映し出す超音波検査(エコー検査)が行われます。
心拍を確認できない場合の理由
最終月経(最後の生理の開始日)から計算して7週くらいまでには超音波検査(エコー)にて胎児の心拍が確認できるようになります。妊娠検査薬で陽性となっているのに、妊娠7週の時点で胎児心拍が確認できない場合には、以下のことが考えられます。
1. 排卵した時期が想定より遅れている(※排卵した時期が遅れることで、妊娠週数に比べて胎児の発育が遅れているように見えることがあります。)
2.妊娠したが発育が途中で停止してしまい、流産の状態になっている
3.子宮外妊娠のため子宮の中に胎嚢が見えてこない
以上のことが考えられますが、月経周期や腹痛・出血などの症状などを考えて対応します。とくに症状なく、月経周期が不順なために排卵が遅れて、エコーで確認できないと思われる場合には、1~2週後にもう一度検査に来ていただくことがあります。
心拍を確認した後に流産の可能性について
心拍を一度確認できるとその後に流産となる可能性はぐっと低くなりますが、まれに(胎児心拍が確認された人のうちの1%以下で)発育が停止することがあります。妊娠中期は安定期といわれていますが、その時期でも子宮内で胎児が死亡することもあります(数百分の1程度)。胎児心拍が確認できたからといって、絶対大丈夫とはいえないのが妊娠ですが、まれにしか発生しない出来事を心配していても精神衛生上メリットはありませんので、気にしすぎないようにすることも大事です。
まとめ
一般的に妊娠6~7週頃には、赤ちゃんの心拍をエコーで確認することができます。ただし心拍を確認できるタイミングには個人差があるので、心拍を確認できる時期はあくまで目安として考えてください。
参考:
産婦人科診療ガイドライン産科編2017 <http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/gl_sanka_2017.pdf>