【医師監修】葉酸の過剰摂取の注意点とは?妊娠中おすすめの葉酸の取り方

この記事の監修者
監修者プロファイル

医師天神尚子 先生
産婦人科 | 三鷹レディースクリニック院長

日本医科大学産婦人科入局後、派遣病院を経て、米国ローレンスリバモア国立研究所留学。その後、日本医科大学付属病院講師となり、平成7年5月から三楽病院勤務。日本医科大学付属病院客員講師、三楽病院産婦人科科長を務めた後、退職。2004年2月2日より、三鷹レディースクリニックを開業。

葉酸過剰摂取

 

妊娠前や妊娠初期に葉酸を摂取する必要性については、以前よりも周知されるようになりました。妊活サプリメントや妊娠中の栄養補助食品には必ずといっていいほど、葉酸が含まれています。ここでは、葉酸の必要な摂取量や摂取しすぎた場合のお母さんや赤ちゃんへの影響などについてお話ししたいと思います。

 

 

葉酸とは?

葉酸は水溶性ビタミンの1つで、ほうれん草などに含まれる栄養素です。タンパク質や細胞を作るときに必要な核酸を作ったり、赤血球の形成、ビタミンB12と共に血液を作るなどの働きがあります。

 

細胞分裂の活発な胎児の成長に大きく関わる栄養素でもあり、葉酸を摂取することによって、神経管閉鎖障害(受胎後およそ28日で閉鎖する神経管の形成異常で二分脊椎・無脳症・髄膜瘤などがある)という先天性の病気のリスクが低下することがわかっています。

 

また、葉酸が不足することによって、発達障害の要因になることを示唆する研究も発表されており、妊娠には欠かせない重要な栄養素と言えます。(※1,※2)

 

 

妊娠中に必要な葉酸の摂取量とは? 過剰摂取の影響は?

厚生労働省では、妊娠を計画している女性が、栄養バランスのとれた食事(葉酸量0.4mg/日)に加えて、サプリメントなどの栄養補助食品から0.4mg/日の葉酸を摂取することを推奨しています。


1日の葉酸摂取量は、体重55kgの場合、1mg未満であれば過剰摂取にはならないとされています。過剰に摂取した場合の影響としては、1日に1~10mg摂取すると、発熱・蕁麻疹・紅斑・かゆみ・呼吸障害などの葉酸過敏症を起こすことがあります。

 

また、妊娠後期(妊娠30~34週)に1mgの葉酸のサプリメントを飲んでいた場合、子どもが3.5歳時点で喘息のリスクが、飲んでいなかった場合と比較して1.26倍になるという報告もあります(※3)。そのため、過剰摂取には注意が必要です。

 

 

妊娠中におすすめの葉酸の摂り方

まず、毎日摂る食事に葉酸を多く含む食品を取り入れましょう。葉酸は、枝豆、モロヘイヤ、ほうれん草、ブロッコリーなどの緑黄色野菜やいちごなどに多く含まれています。葉酸は熱に弱く水溶性なので、調理方法は焼いたり、長時間茹でたりするのを避けたほうがよいです。


次に葉酸が強化された食品を利用しましょう。葉酸が強化された食品としては、葉酸米や葉酸卵といった普段の食事に手軽に取り入れられるものも多く出ています。食事で不足する分は、サプリメントを使って葉酸の必要な量を摂取するようにしましょう。

 

 

妊娠中に葉酸サプリメントを摂取する際の注意点

食事での葉酸摂取と、葉酸のサプリメントでの摂取では、実は摂取する葉酸の種類が違っています。食事で摂ることのできる葉酸は「食事性葉酸」、サプリメントに多く配合されている葉酸は「モノグルタミン酸型の葉酸」と呼ばれ、食事性葉酸のほうは利用効率がモノグルタミン酸型の葉酸の50%程度となっています。

 

そのため、推奨摂取量の食事で0.4mg/日、サプリメントで0.4mg/日というのを、サプリメントで0.8mg/日摂れば大丈夫だと勘違いしてしまうと、過剰摂取に繋がる可能性があるので注意しましょう。

 

また葉酸のサプリメントには、次のような問題があります。


1.品質の問題
医薬品と違い、サプリメントは品質や規格などが一定しません。


2.相互作用の問題
葉酸単独もの以外に、葉酸を含む総合ビタミン剤という形でも販売されています。総合ビタミン剤は、葉酸以外のビタミンを過剰摂取する恐れがあるため、葉酸を摂取するために総合ビタミン剤を選択することはやめましょう。特にビタミンAの過剰摂取は、胎児に影響がある可能性があるため避けましょう。


3.過剰摂取の問題
一日摂取目安量当たりの葉酸摂取量は、サプリメントの銘柄によって違っていますので、記載を確認し、過剰摂取にならないようにしましょう。


以上のことから、葉酸のサプリメントを購入する際は、十分に注意して利用してください。

 

 

まとめ

葉酸の摂取が最も必要なのは、妊娠前1カ月から妊娠後3カ月ですので、妊娠を希望する時期から葉酸を摂取する必要があります。まずは、毎日の食事で葉酸が多く含まれる食品を取り入れるようにしましょう。

 

葉酸は体内の蓄積性が低いため、心配であれば葉酸が強化された食品を利用しましょう。葉酸を多く摂りすぎると、葉酸過敏症や赤ちゃんに影響が出る恐れがありますので、過剰摂取することのないように注意が必要です。


葉酸摂取によって、必ず神経管閉鎖障害が防げるわけではありませんが、リスクの低下が期待できます。神経管閉鎖障害は、赤ちゃんの生命や成長・発達が大きく左右される疾患ですので、少しでも発症の確率を下げるために妊娠前から葉酸を摂取するようにしましょう。
 

 

参考:

※1.胎児期・新生児期における精神疾患及び発達障害の素因形成 

※2.日本人の食事摂取基準(2015年版) P218

※3.国民生活センター 胎児の正常な発育に役立つ「葉酸」を摂取できるとうたった健康食品
産婦人科診療ガイドライン 産科編2017 神経管閉鎖障害と葉酸の関係について説明を求められたら? 

 

 

 

 

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