【医師監修】微熱は妊娠初期症状のサイン?

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医師北川 博之 先生
産婦人科 | 医療法人至誠会 梅田病院院長

昭和56年愛媛大学医学部卒業。その後愛媛大学付属病院にて産婦人科講師、助教授として勤務。愛媛県立医療技術大学教授を経て、平成20年より現職の梅田病院に院長として就任。現在も愛媛大学、広島大学などで非常勤講師として教育にも従事。

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助産師古谷真紀

一般社団法人産前産後ケア推進協会プロジェクトリーダー。大学病院勤務を経て、2015年より現職。妊娠中や産後の女性のココロとカラダの相談、ママパパ&赤ちゃんのちょっと気になるコトに日々応えています。

基礎体温のイメージ

 

妊娠を待ち望む人にとっては、ちょっとした体の変化に妊娠を期待することでしょう。今回は、妊娠初期の体温の変化についてお話しします。

 

 

微熱って何度くらい?

人間の体温は、測定する体の部位によって異なります。体の中心に近いほど高く37度程度を保ち、手や足など体の中心から離れるほど、気温や室温などの影響を受けて低い体温となりますが、36度程度に保たれています。また、人間の体温は、測定する時間帯によっても異なります。1日のうちで早朝が一番低く、夕方に最も高くなります。しかし、体の内部の体温を測定するのは難しいため、通常は腋窩(脇の下)で測定して発熱の有無を判断します。
 
測定する部位や時間帯によって体温は異なるため、平熱にも個人差があります。そのため、微熱に関して医学的な定義はありませんが、37度台が持続する場合、あるいは平熱よりも体温が少し上昇した場合は、微熱ととらえてよいでしょう。

 

 

月経周期と基礎体温の変化

基礎体温とは、食事や運動、精神状態(緊張)など体温を変動させるような条件がない安定したときの体温です。通常の生活で、この条件を満たし必要最低限のエネルギーを使っているときは睡眠中ですが、眠っている間に体温を測ることができないため、寝起き直後で起き上がる前に、口の中(舌下)で測定します。


女性の基礎体温は月経(生理)周期に合わせて変化します。規則的な月経周期で、排卵が起きている場合は、1回の月経周期の間に2パターンの体温の変化を示す二相性です。月経開始時~排卵までの時期を低温相、排卵~次回の月経が開始する前までは高温相(低温相よりも0.3度以上の体温上昇)となります。


低温相が、本来の平熱です。高温相は、もしも妊娠が成立していたらこの時期に受精卵が子宮に着床する時期なので、母体に少しだけ気分不快や体調を崩すようにして活動性を低め、着床を阻害しないようにしていると考えられます。ですから、多くの女性が月経の始まる前は、ちょっと、調子が悪くなるのを感じられると思います。これがひどくなり、疾患として扱われるものが月経前緊張症です。


高温相は、排卵後に卵巣から分泌される黄体ホルモン(プロゲステロン)と呼ばれるホルモンにより形成されています。月経直前には、この黄体ホルモンの分泌が消失するために、体温も低下し低温相に移行していきます。

 

 

妊娠すると基礎体温はどう変化する?

妊娠が成立すると、卵巣からの黄体ホルモン分泌が続くために、高温相が継続し、月経も来ないようになります。基礎体温の高温相が16日以上続く場合、あるいは高温相が続いて次の月経が始まらない場合は、妊娠している可能性が高いです。


低温相から高温相へ移り変わる時期や、妊娠が成立して高温相が続くことで、微熱を感じる方はいます。基礎体温の変化と微熱の起きた時期を照らし合わせて、妊娠の可能性を推測することはできますが、これは日常的に基礎体温や平熱を測定して把握していないと比較することができません。


体温は、風邪や体調の変化などで変わることもしばしばありますから、ただ単に微熱があるという症状だけで、妊娠の有無は判断できません。

 

 

妊娠初期に起こる微熱以外の症状は? 

妊娠初期に起こる代表的な症状は、食欲の変化・胃部不快感・吐き気・嘔吐など、いわゆるつわりの症状です。この他にも、倦怠感や脱力感、気分的にイライラする、気分が落ち込みやすい、尿が近く感じるなど、症状の有無や程度は個人差があります。子宮の内膜以外の場所に受精卵が着床する異所性妊娠(子宮外妊娠)の場合でも同じような症状が現れることがあります。

 

 

まとめ

微熱は、必ずしも妊娠を予兆するものではありません。基礎体温の変化やその他の自覚症状から妊娠の可能性がある場合は、産婦人科を受診し、妊娠の判定をしてもらいましょう。また、妊娠の可能性がなく、微熱が続くようであれば、体の不調のサインであると意識し、内科などを受診しましょう。妊娠を望む望まないに関わらず、月経周期が規則的であることは、女性が健康に過ごすためにとても大切です。その1つとして、普段から基礎体温を測り、自分の体調管理をしていくことはおすすめです。

 

参考:
・産婦人科診療ガイドライン産科編2017
・産婦人科診療ガイドライン婦人科編2017
・最新産科学 正常編  著:荒木勤 文光堂
・最新産科学 異常編  著:荒木勤 文光堂
・婦人科乳腺外科疾患ビジュアルブック 学研

 

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