今や小学生でもスマートフォンを持つのが当たり前の時代。友達とのコミュニケーションや学習に役立つ一方で、保護者の皆様にとっては、お子様がインターネット上のどのような情報に触れているのか、不安が尽きないのではないでしょうか。
特に、Webサイト閲覧中やアプリの利用中に突然表示される広告は、コントロールが難しく、頭を悩ませる問題の一つです。中には、子供には見せたくない「いやらしい広告」や、暴力的な表現、コンプレックスを過度に煽るような「気持ち悪い広告」も少なくありません。
この記事では、そんな保護者の不安を解消するため、お子様のiPhoneに表示される不適切な広告をブロックするための具体的な対策と手順を、様々な角度から詳しくご紹介します。
iPhone広告を子供に見せたくない!気持ち悪い広告の消し方は?
お子様がiPhoneを使っているとき、意図せず不適切な広告に触れてしまうことは、多くの保護者が懸念する問題です。では、具体的にどのような広告が表示され、それらがお子様にどのような影響を与える可能性があるのでしょうか。
子供に不適切な広告が表示されるデメリット
子供たちは、大人と比べて情報リテラシーがまだ十分に発達していません。そのため、表示された広告の内容を鵜呑みにしてしまったり、興味本位でタップしてしまったりする可能性が高くなります。
不適切な広告に触れることには、主に以下のようなデメリットが考えられます。
- 誤った価値観の植え付け: 性的・暴力的な内容や、過度な課金を煽る広告は、子供の健全な価値観の形成を妨げる恐れがあります。また、外見に関するコンプレックスを刺激するような広告は、自己肯定感の低下に繋がる可能性も指摘されています。
- 金銭トラブルへの発展: 「無料でアイテムがもらえる」といった広告に誘われ、気づかないうちに高額な課金サービスに登録してしまうケースもあります。
- 個人情報の漏洩リスク: 広告をタップした先のサイトが悪質なフィッシングサイトである場合、個人情報を抜き取られてしまう危険性もゼロではありません。
- 精神的なストレス: グロテスクな表現や、恐怖心を煽るような広告は、子供にとって大きな精神的ストレスとなり、トラウマになってしまう可能性もあります。
このようなリスクからお子様を守るためにも、保護者がスマホの利用環境を適切に管理し、広告をブロックする対策を講じることが非常に重要になります。
保護者が困っている「子供に見せたくない広告」の具体例
実際に、多くの保護者が「子供に見せたくない」と感じているのは、以下のような広告です。
- 性的な表現を含む広告: 肌の露出が多いキャラクターが登場するゲームアプリの広告や、恋愛漫画の過激なシーンを切り取った広告など。
- 暴力的・残虐な表現を含む広告: ゾンビやモンスターが登場するゲームの広告、喧嘩や戦闘シーンを強調した漫画の広告など。
- コンプレックスを煽る広告: 「太っている」「毛深い」といった身体的な特徴をネガティブに描き、ダイエット商品や脱毛サービスの利用を促す広告。
- ギャンブル関連の広告: パチンコやオンラインカジノなど、射幸心を煽る広告。
- フェイクニュースや詐欺的な広告: 「あなたのiPhoneはウイルスに感染しています」といった偽の警告で不安を煽り、不要なアプリをインストールさせようとする広告。
これらの広告は、ターゲティング広告の仕組みによって、ユーザーの年齢や性別に関わらず表示されることがあります。そのため、子供が学習系のサイトを見ていたとしても、突然不適切な広告が表示される可能性があるのです。
iPhone広告をブロックする方法【Safari】
まず、最も手軽にできる対策として、iPhoneに標準搭載されているブラウザ「Safari」の設定を見直す方法からご紹介します。特別なアプリをインストールすることなく、いくつかの機能をオンにするだけで、多くの不快な広告を非表示にすることができます。
1. 「ポップアップをブロック」をオンにする
Webサイトを閲覧していると、画面の前面に新しい小さなウィンドウが突然現れる「ポップアップ広告」。操作の邪魔になるだけでなく、中には悪質なサイトへ誘導するものもあります。Safariには、このポップアップ広告を自動でブロックする機能が備わっています。
【手順】
- iPhoneの「設定」アプリを開きます。
- 下にスクロールし、「Safari」をタップします。
- 「一般」の項目にある「ポップアップブロック」のスイッチをオン(緑色)にします。
この設定だけで、多くのポップアップ広告が表示されなくなります。非常に簡単で効果的な対策ですので、まず最初に設定しておきましょう。
2. 「プライバシーとセキュリティ」の設定を見直す
Safariには、ユーザーのプライバシーを守るための様々な機能が搭載されています。これらの設定を見直すことで、広告の追跡(トラッキング)を防ぎ、結果として不適切な広告の表示を減らす効果が期待できます。
【手順】
- 「設定」アプリから「Safari」を開きます。
- 「プライバシーとセキュリティ」の項目までスクロールします。
- 以下の項目がオン(緑色)になっていることを確認しましょう。
- サイト越えトラッキングを防ぐ: あなたが訪れたサイトの情報が、他のサイトの広告配信に利用されるのを防ぎます。例えば、ある通販サイトで見た商品が、全く関係のないニュースサイトの広告に表示される、といったことを防ぐ効果があります。
- IPアドレスを非公開: あなたのIPアドレス(インターネット上の住所のようなもの)を広告主やトラッカーから隠します。これにより、あなたのWeb上での行動が追跡されにくくなります。
- 詐欺サイトの警告: フィッシング詐欺などの危険性が疑われるサイトにアクセスしようとした際に、警告を表示してくれます。広告のリンク先が危険なサイトだった場合に、被害を未然に防ぐことができます。
これらの設定は、広告ブロックだけでなく、お子様のプライバシーとセキュリティを守る上でも非常に重要な機能です。
3. 「プライベートブラウズ」モードで利用する
「プライベートブラウズ」は、閲覧履歴や検索履歴、Cookie(ウェブサイトがユーザーの情報を一時的に保存する仕組み)などをiPhoneに残さずにインターネットを利用できるモードです。
このモードを利用すると、過去の閲覧履歴に基づいたターゲティング広告が表示されにくくなるため、不適切な広告に遭遇するリスクを下げることができます。お子様に一時的にスマホを貸す場合や、調べ物をさせたい時などに活用すると良いでしょう。
【手順】
- Safariアプリを開きます。
- 右下にあるタブのアイコン(四角が二つ重なったマーク)をタップします。
- 画面下部中央にある「タブグループ(数字)タブ」または「スタートページ」をタップします。
- メニューから「プライベート」を選択し、右下の「+」をタップすると、プライベートブラウズモードで新しいタブが開きます。
ただし、プライベートブラウズモードは履歴を残さないだけで、アクセスしたサイトの内容自体をフィルタリングするわけではない点には注意が必要です。
4. キャッシュを定期的に消す
キャッシュとは、一度訪れたWebページのデータを一時的に保存しておく仕組みのことです。これにより、次に同じページを開く際の表示速度が速くなります。しかし、このキャッシュ情報が追跡型広告に利用されることもあります。
定期的にキャッシュを消去(クリア)することで、iPhoneに保存された閲覧データをリセットし、広告の追跡を断ち切る効果が期待できます。
【手順】
- 「設定」アプリから「Safari」を開きます。
- 一番下までスクロールし、「履歴とWebサイトデータを消去」をタップします。
- 確認画面が表示されるので、「履歴とデータを消去」をタップします。
【注意点】
この操作を行うと、全てのWebサイトの閲覧履歴やログイン情報などが削除されます。頻繁にログインするサイトがある場合は、再度IDとパスワードを入力する必要があるため、その点をご理解の上で行ってください。
5. 最新ソフトウェアにアップデートする
Appleは、セキュリティの脆弱性を修正し、プライバシー保護機能を強化するために、定期的にiOSのアップデートを配信しています。古いバージョンのソフトウェアを使い続けていると、新たな脅威に対応できず、悪質な広告やサイトのリスクに晒される可能性があります。
常にiPhoneを最新のソフトウェアにアップデートしておくことは、広告ブロックだけでなく、お子様のスマホを安全に保つための最も基本的な対策です。
【手順】
- 「設定」アプリを開きます。
- 「一般」をタップします。
- 「ソフトウェアアップデート」をタップし、新しいアップデートがあれば画面の指示に従ってインストールします。
iPhone広告をブロックする方法【Brave】
Safariの設定だけでは物足りない、もっと強力に広告をブロックしたい、という方におすすめなのが、「Brave(ブレイブ)」というWebブラウザアプリです。
Braveは、広告ブロック機能を標準で搭載していることが最大の特徴です。特別な設定をしなくても、インストールして使うだけで、Webサイト上のほとんどの広告やトラッカーを自動的にブロックしてくれます。
【Braveをおすすめする理由】
- 強力な広告ブロック機能: Webサイト上のバナー広告、動画広告、ポップアップ広告などをデフォルトで非表示にします。
- 表示速度の向上: 広告を読み込まない分、Webページの表示がSafariよりも高速になります。お子様が快適にインターネットを利用できます。
- データ通信量の節約: 不要な広告データをダウンロードしないため、モバイルデータ通信量の節約にも繋がります。
- プライバシー保護: 悪質なトラッカーをブロックし、ユーザーのプライバシーを強力に保護します。
【Braveの導入手順】
- App Storeで「Brave」と検索し、アプリをインストールします。
- インストール後、Braveアプリを開きます。
- 簡単な初期設定(デフォルトの検索エンジンの選択など)を行えば、すぐに利用を開始できます。
- Braveを使ってWebサイトを閲覧するだけで、広告が自動的にブロックされます。アドレスバーの右側にあるライオンのアイコンをタップすると、そのページでどれだけの広告やトラッカーをブロックしたかを確認できます。
Safariの代わりにBraveを使うようにするだけで、お子様が不適切な広告に触れる機会を劇的に減らすことができるでしょう。
iPhone広告をブロックする方法【Google Chrome】
iPhoneでSafariやBraveではなく、Google Chromeを利用しているご家庭も多いでしょう。Chromeにも、不快な広告を減らすための設定が用意されています。
Chromeアプリ自体には、Braveのような強力な広告ブロック機能は標準搭載されていませんが、設定を見直すことで、悪質な広告やポップアップをある程度抑制することが可能です。
【Chromeでできる広告対策】
- ポップアップとリダイレクトのブロック:
- Chromeアプリを開き、右下のメニューボタン(…)をタップします。
- 「設定」→「コンテンツの設定」→「ポップアップのブロック」と進み、スイッチをオンにします。
- 広告設定のカスタマイズ:
- お子様が利用するGoogleアカウントで「Google マイ アド センター」にアクセスします。
- 「カスタマイズ」→「デリケート」の項目で、アルコールやギャンブルなど、子供に見せたくないトピックの広告をオフに設定することができます。
これらの設定は、「google広告を子供に見せたくない」と考えている保護者にとって有効な手段です。ただし、全ての広告をブロックできるわけではないため、より強力な対策を求める場合は、次に紹介する広告ブロックアプリの併用をおすすめします。
iPhone広告をブロックする方法【広告ブロックアプリ】
これまで紹介したブラウザの設定やブラウザアプリの利用は、主にWebサイト閲覧中の広告をブロックするものでした。しかし、ニュースアプリやゲームアプリの内部に表示される広告には対応できない場合があります。
そういったアプリ内広告も含めて、より広範囲に広告をブロックしたい場合に活躍するのが、「広告ブロックアプリ(コンテンツブロッカー)」です。
広告ブロックアプリとは、Safariや他のアプリと連携し、広告配信用サーバーとの通信を遮断することで、広告そのものを表示させなくするアプリです。
【代表的な広告ブロックアプリ】
- AdGuard: 非常に人気の高い広告ブロックアプリ。Webサイトの広告はもちろん、一部アプリ内広告のブロックにも対応しています。細かなフィルタリング設定が可能で、保護機能が高いのが特徴です。(無料版と、より高機能な有料版があります)
- 280blocker: 日本のサイトに特化した広告ブロックアプリとして定評があります。有料アプリですが、一度購入すれば月額料金などはかからず、シンプルで効果が高いと人気です。
- AdBlock Pro for Safari: Safari専用のコンテンツブロッカーで、広告だけでなく、トラッキングやソーシャルメディアのボタンなども非表示にできます。
これらのアプリをインストールし、簡単な初期設定(主にSafariの設定でコンテンツブロッカーを有効にする手順)を行うだけで、iPhone全体の広告表示を大幅に削減することができます。
【広告ブロックアプリの導入手順(一般的な流れ)】
- App Storeから好みの広告ブロックアプリをインストールします。
- iPhoneの「設定」アプリを開き、「Safari」→「機能拡張」と進みます。
- インストールした広告ブロックアプリの名前が表示されるので、スイッチをオンにして許可します。
- 広告ブロックアプリ本体を開き、フィルターの更新など、初期設定を完了させます。
アプリによって詳細な設定方法は異なりますが、多くは簡単な手順で利用を開始できます。
iPhoneのペアレンタルコントロールも活用しよう
広告をブロックする直接的な対策に加えて、iPhoneに標準搭載されている「ペアレンタルコントロール」機能を活用することも、お子様を不適切なコンテンツから守るために非常に有効です。
iPhoneのペアレンタルコントロールは、「スクリーンタイム」という機能の中に含まれています。これは単に利用時間を制限するだけでなく、不適切なコンテンツへのアクセスそのものを制限することができます。
【スクリーンタイムでできること】
- コンテンツとプライバシーの制限: この機能を使うことで、Webコンテンツのフィルタリングが可能です。
- Webコンテンツの制限:
- 成人向けWebサイトを制限: 不適切と判断されるサイトへのアクセスを自動でブロックします。
- 許可されたWebサイトのみ: 保護者があらかじめ許可した特定のWebサイトにしかアクセスできないように設定できます。これは、特に年齢の低いお子様にとって最も安全な設定と言えるでしょう。
【Webコンテンツ制限の設定手順】
- 「設定」アプリを開き、「スクリーンタイム」をタップします。
- (初めて使う場合)スクリーンタイムをオンにし、「これは子供用のiPhoneです」を選択して設定を進めます。
- 「コンテンツとプライバシーの制限」をタップし、スイッチをオンにします。
- 「コンテンツ制限」をタップします。
- 「Webコンテンツ」をタップします。
- 「成人向けWebサイトを制限」または「許可されたWebサイトのみ」を選択します。
この設定をしておくことで、たとえ広告をクリックしてしまったとしても、そのリンク先が不適切なサイトであればアクセスを未然に防ぐことができます。広告ブロックと組み合わせることで、より強固なセーフティネットを築くことが可能です。
まとめ:複数の対策を組み合わせて子供を不適切な広告から守ろう
お子様をiPhoneの不適切な広告から守るためには、一つの方法に頼るのではなく、複数の対策を組み合わせて多層的にブロックすることが重要です。
- まずは基本から: Safariの「ポップアップブロック」や「プライバシー設定」を見直す。
- より強力なブラウザ対策: 広告ブロック機能が標準搭載された「Brave」ブラウザを利用する。
- アプリ内広告にも対応: 「AdGuard」などの広告ブロックアプリを導入する。
- 包括的な安全対策: iPhoneの「スクリーンタイム」機能で、不適切なWebサイトへのアクセス自体を制限する。
これらの技術的な対策と並行して、最も大切なのは、親子でインターネットの利用について話し合うことです。なぜ広告をブロックする必要があるのか、インターネットにはどのような危険があるのかを、お子様の年齢に合わせて丁寧に説明し、一緒にルールを決めていくことが、お子様の情報リテラシーを育む上で不可欠です。
この記事で紹介した方法が、保護者の皆様の不安を少しでも和らげ、お子様が安全にiPhoneを活用するための一助となれば幸いです。
記事のご紹介
この記事では、お子様にiPhoneを持たせる際の大きな懸念事項である「不適切な広告」への対策を徹底的に解説しました。iPhoneの標準機能だけで手軽にできるSafariの設定から、強力な広告ブロック機能を持つブラウザ「Brave」、さらにアプリ内広告にも対応できる専門アプリの活用法まで、具体的な手順を追ってご紹介しています。
また、広告をブロックするだけでなく、不適切なサイトへのアクセス自体を防ぐ「ペアレンタルコントロール(スクリーンタイム)」の設定方法も網羅しました。これらの対策を組み合わせることで、保護者の方が安心して、お子様にiPhoneを使わせる環境を整えることができます。お子様の安全なスマートフォン利用のために、ぜひ本記事をお役立てください。