「この人、万引きしましたよ！」突然叫ぶ女性
行く店行く店で出くわす見知らぬ女性。
「まさか誘拐！？」
私は不安になり、勇気を出して声をかけました。
「さっきから私たちの後をつけて来ていませんか？」
見知らぬ女性は突然声をかけられて驚いた様子。
しかしその直後、威圧的な口調で私に詰め寄ってきたのです。
「私だって好きで後をつけて来たワケじゃないわよ！ アンタが何か怪しいと思って監視してたのよ！」
思わぬ言いがかりに、呆気に取られる私。
次の瞬間、女性は大きな声で叫びました。
「店員さーーん！ この人、万引きしましたよーーー！」
あたりは騒然！ 買い物をしていた人たちが一斉に私のほうを振り向きました。
これではまるで私が万引きしたかのようです。
警備室でバッグの中身を調べられて…
あっという間にたくさんの人に囲まれる私。
支配人や警備員がやって来て、渋々警備室に連れて行かれることになりました。
「わかりました。行きます。でも、目撃者であるあちらの方も一緒に行きましょう」
とんだぬれぎぬ！ 納得がいかない私は、無実の罪を晴らして謝ってもらおうと、先ほどの女性も同行するよう促します。
「万引きは犯罪だ！ 警察が来るまで待っていろよ！ たとえ子連れでも容赦しないからな！」
高圧的な支配人にムッとした私。
「万引きなんてしてません！ どうぞ、好きなだけ調べて！」
そう言ってバッグの中身をすべて出しました。
バッグに入っていた私の身分証を確認した支配人はギョッとします。
そこに書かれていたのは、『◯◯警備 警備長』の文字。
実は私は大手警備会社に勤める私服警備員であり、万引きGメンなのです。
あらぬ罪をなすりつけられた結果
社内でも検挙率ナンバーワンの私。
私にぬれぎぬを着せた女性こそ、怪しいということに薄々勘づいていました。
「ということで、あなたもバッグの中身を見せてもらえますか？」
女性は途端に青ざめていきます。
支配人や警備員も、私が万引きGメンだとわかった途端、手のひらを返したかのように、女性に詰め寄ります。
ついに観念した女性のバッグからは、化粧品や雑貨がわんさか出てきました。
「これ、買ったものじゃないですよね？ レシートありますか？」
女性は必死にバッグの中を探すフリをしますが、もちろんそんなものはありません。
「誰かを万引き犯に仕立て上げて、騒ぎになっている間に、お店の商品を自分のバッグに入れてたってワケね」
立場は逆転し、そのまま女性は警察に連行されて行ったのでした。
◇ ◇ ◇
人を罪人に仕立て上げた末の万引き、タチが悪いですね。とはいえ、あそこまで騒がれてしまうと、店側も見逃すことはできません。しかし、無罪だった場合、その本人はとても傷ついているはず。犯人が罪を償うことはもちろん、店側も誠心誠意謝罪する姿勢が求められますね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
