産後、変わってしまった夫
出産前は、夫も娘が生まれるのを楽しみにしていて、「俺も育児頑張るぞ！」と毎日張り切って仕事に向かっていました。
ただ、私には一つ懸念が……。近所に住む義母のお節介です。妊娠がわかって以来、過干渉に拍車がかかっており、産後すぐに押しかけられることを避けたかった私は、里帰り出産を選びました。
そして、無事に娘を出産し、3カ月ほどの里帰りを終えて自宅に戻ることに。しかし待っていたのは、想像していた生活ではありませんでした。
娘の誕生をあれほど楽しみにしていた夫は、いざ子育てが始まってみると、何も手伝わず、文句ばかり言うようになったのです。
私は毎日ワンオペで、慣れない育児と家事に追われてクタクタ。そんな中、義母は毎日のように孫の顔を見にやってきます。忙しい時間帯でもお構いなしに訪れる義母……。その対応に追われ、なかなか思うように家事を進められない日々にストレスを感じていました。
ある日のこと。夫は仕事から帰ってすぐに夕飯が出てこないことが不満だったようで、イライラしている様子。
私が「食事の支度をする間、娘にミルクをあげてほしい」と頼むと、「は？ なんで俺が？」と苛立った返事。ずっとブツブツ文句を言いながら、面倒くさそうに娘のお世話をしています。
そんな夫の態度を見て、私はますますストレスを感じるのでした。
「妻が家事を押し付けてくる！」
あるとき私は、娘を寝かしつけながら一緒に寝落ちしてしまいました。しかし、仕事から帰ってきた夫に叩き起こされたのです。
「俺が帰宅しても寝ているなんて、いい身分だな！」
「ごめん、疲れちゃって……」と私が答えると、「1日中家にいるくせに疲れるわけないだろ！」と信じられない言葉を放つ夫。
これ以上言い争うと娘が起きてしまうと思った私は、グッと我慢して夫の食事を作りにキッチンへ。疲れが取れずとても眠かったので、この日は夫に食事を出したあと、早めに就寝しました。
数時間後、ふと目を覚ますと、リビングから夫の声が聞こえてきました。どうやら誰かを家に呼んでいるようです。
こっそり様子をうかがうと、そこにいたのは義母でした。近所に住んでいる義母を、夫がわざわざ呼び出したようでした。
夫は「出産してから嫁がサボってて……育児も俺に押し付けるし。今日も食事だけ作って片付けもせずに寝たんだよ」と、私に対する愚痴を義母に話しているのです。
義母も「今は働いてないのに、家事も育児も中途半端なんて、どうしようもないわね」と同調しています。
そして夫は、「明日から泊まり込みで手伝ってほしい」と義母にお願いしていたのです。私はその言葉を聞いてゾッとしましたが、その場で反論する勇気もなく、寝室へ戻ったのでした。
まるで地獄！？義母に家事を指導されて…
翌朝早く、チャイムが鳴りました。玄関を開けると、そこには大きなスーツケースを持った義母が……。日中に来られるだけでも産後の身には負担だったのに、義母は泊まり込む気満々、いえ、もしかしたら同居する気でいるようでした。
こうして、地獄のような毎日が始まったのです。
「手伝いにきた」はずが、義母は指示出しと文句ばかりで自分では一切手を動かしません。「あら、まだ掃除してないの？」「赤ちゃんの服、そんな干し方じゃダメよ」など、朝から晩まで続きます。
私には私のペースがあるのに、義母のせいで生活リズムはぐちゃぐちゃです。それでも文句を言われたくない私は、寝る間も惜しんで家事と育児をこなしていました。
しかし、それももう限界でした。
「お願いだから、お義母さんに帰るように伝えてほしい」
夫に頼んでも、聞く耳を持ちません。
「家がきれいな状態で、時間通りに食事が出てくるのは母さんのおかげだろ」と言うのです。
「それなら、あなたが家事を手伝ってよ！」
そう伝えると、夫は「今は俺が養ってやってるんだから、家事くらいひとりでやれ！」と怒鳴りました。私は、心底あきれてしまいました。
我慢の限界を超えた私は、その日のうちに娘を連れて家を出ていくことにしました。
本音を全部ぶちまけた結果！
荷物をまとめ、娘を抱いて玄関に向かう私に、「何やってるんだ？」と夫が声をかけました。
「お義母さんに帰ってもらわないなら、私が出ていく！」
夫は慌てて引き留めようとしますが、私の決心は揺らぎません。
「育児も家事も手伝わないなんて、それでも父親！？ もう娘には会わせないから！ さようなら！」
私が本気だとわかった夫と義母は、血相を変えて必死で止めにかかります。あれだけひどい態度をとっていたのに、急に手のひらを返してきました。
おそらく、今まで私が何を言われても我慢していたから、調子に乗っていたのでしょう。 私が本気で家を出ていき、娘に会えなくなるだけでなく、離婚も辞さないという態度に、ようやく事の重大さに気づいたようでした。
私は「今しかない」と思い、冷静に、しかしはっきりと要求を突きつけました。
まず、私に無断で義母を勝手に家に招かないこと。 そして、家事育児は「手伝う」のではなく「分担」すること。 さらに、時期が来たら私は職場復帰するので「俺が養っている」という態度は改めること。
これまで納得できずにいたことすべてです。
夫は最初、「なんで俺がそんな……」と渋っていましたが、私が「それができないなら、もう一緒にいられません」と娘を抱き直し再び出ていこうとすると、義母が慌てて「あんたが謝りなさい！」と夫をいさめました。
そして私に向き直り、「私も、つい泊まり込みまでして口出ししすぎたわね。ごめんなさい」と頭を下げたのです。 義母も、息子夫婦が破綻し、かわいい孫に会えなくなるのだけは避けたかったのでしょう。
夫も考え直したのか、「俺ひとりが働いている状況にプレッシャーを感じてモヤモヤしていたんだ。でも、子育てだって大変だよな……。悪かった」と謝罪。最終的にはすべての条件を受け入れると言いました。 私たちは何とか、もう一度だけやり直すことにして、結婚生活を継続することにしたのです。
その後、夫と義母は心を入れ替えてくれたのか、あのときの約束はきちんと守られています。 夫は率先して家事や育児を分担してくれるようになり、「俺が養っている」といった態度もなくなりました。義母も、泊まり込みはもちろん、アポなしで訪問してくることもありません。
家事・育児は夫婦で支え合うもの。何も言わなくても思い合って分担できるのが理想ですが、私たちのように一度ぶつかってでもしっかり話し合うことが必要な場合もあるのだと痛感しました。
これからは、娘のためにも、夫と二人でしっかり支え合っていきたいと思います。そして、義母とも程よい距離感を保ちながら、いい関係を築いていきたいです。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。
