こんにちは。保育士の中田馨です。生後5~6カ月ごろになるとそろそろスタートするのが離乳食。私の保育園では生後43日目のお子さんから入園できますので、保育園に入園してから離乳食がスタートするお子さんもいれば、ご家庭である程度離乳食が進んだ状態で入園するお子さんもいます。
どちらにせよ、離乳食期は特に、食べられる食材の種類などが時期によって変化しますので、ご家庭と保育園のコミュニケーションを密にする必要があります。今回は、保育園とおうちごはんをテーマにお話しします。
離乳食をすべて保育園任せにする
保育園によって考え方や進め方が違うので必ずではないのですが、まずはご家庭で離乳食をスタートさせるというのを原則にしている保育園が多いのではないかと思います。保護者さんからは、「上の子の保育園では、最初からすべて保育園が進めてくれたのですが……」と言われることもあり、少々不満に感じられる方も過去にはいました。
まずご家庭で離乳食をスタートさせる理由は2つあります。
1つ目は、万が一、発疹などのアレルギー反応が起きたとき、すぐに対応できるという点です。2つ目は、初めての離乳食は赤ちゃんが安心できる環境でということ。
これまで、母乳や育児用ミルクしか口にしてこなかった赤ちゃんが、離乳食を口にするということは環境が大きく変わるということ。初めての味、触感、香りの物が口に入るというのは、不安に感じることもあるでしょう。だからこそ、赤ちゃんにとって一番安心できるご家庭でスタートするのがいいと考えられます。
食べたことのない食材を伝えない
離乳食期は特に、赤ちゃんの体の発達や内臓機能の発達に合わせて、食べられる食材の種類や食材の大きさ、固さなどが変わっていきます。保育園から、翌月の献立や食べられるようになった食材のチェックリストを提出すると思います。基本的に、家庭で食べていない食材は保育園で食べられませんので、まだ食べていない食材が次月の献立にあれば、その日が来るまでに3回程度食べておきましょう。
このときに、保育園と保護者のコミュニケーションが取れていないと、まだ食べていない食材を保育園で初めて食べるということが起きてしまいます。何もなければ「何もなくてよかったね」で済むことですが、何かあったときには大変です。
保育園では気づかないこともありますので、「今日の献立に鶏のささみがありますが、まだ食べてないので除去をお願いします!」といった感じで保護者から伝えてもらえると大変助かります。
きょうだいや大人のごはんをそのまま食べさせている
上にきょうだいがいらっしゃるご家庭に多いのが、「うちは、下の子用に離乳食を作っていません」という親御さん。もちろん取り分け離乳食というのであればいいのですが、そのまま食べさせている場合には、いくつか見直しをしましょう。
1つ目は味付け。赤ちゃんは内臓機能が未発達のため、味の濃い食べ物はNGです。大人と同じメニューから取り分ける際は、味付け前の物にするか、ほんの少しのしょう油や味噌で風味をつけるだけにしましょう。
これは調理方法にも言えることで、例えば大人用の揚げ物や炒め物などは、赤ちゃんの内臓機能に負担をかけます。油物は避け、汁物や煮物から取り分けるのが取り分け離乳食のコツです。
2つ目は、新しい食材は「1日・1種類・1さじ」ずつ。2~3日同じ食材を食べて、体に何も変化がなければ、また新たな食材にチャレンジするということです。赤ちゃんに合わせた食材選びをしながら、ご家族のメニューを組み立ててみてください。
お菓子ばかり食べさせる
離乳食が思ったほどうまく進まず、悩んでしまうこともあると思います。保育園でもあまり食べていないようなら、なおさら心配です。食べてくれないと「この子は大丈夫なんだろうか」と思ってしまいがちです。
何か食べてくれる物はないかと、藁にもすがる思いでベビー用のお菓子を与えてみると、思いのほか食べてくれた。「先生、ベビー用のお菓子なら食べてくれました!」とうれしそうに報告してくれるママを見ていると、こちらもうれしくなりますが、お菓子だけよく食べるようになるのも困ってしまいます。あくまでお菓子は「たまの楽しみ」と位置付けましょう。
離乳食初期は、離乳食のお試し期間と考えましょう。栄養は母乳や育児用ミルクが大半を占めています。離乳食中期になっても、栄養の約2/3は母乳や育児用ミルクです。お菓子を与えるのではなく、母乳や育児用ミルクをこれまでのように満足するまで与えるほうがよいでしょう。そのうえで保育園と相談しながら、離乳食の時間を楽しみ、離乳食に食べ慣れる環境づくりを整えていきましょうね。
さまざまなルールのある離乳食です。少し難しく感じることもあるかもしれませんが、保育園には栄養士や理師、保育士などの専門家がいますので、気軽に相談しながら進めていきましょう。また、今回お話ししたことは離乳食だけでなく幼児食にも言えることです。そして何より「楽しく食べる子に育てる」というのが、最大の目標です!