盛大な結婚式を挙げよう!
感染症がようやく落ち着き始めたころ、私は実母から電話を受けました。
「そろそろ結婚式、挙げてもいいんじゃない?」
「そうだね、だいぶ世間も落ち着いてきたしね」
すると、会社の社長をしている母は結婚式の資金を全部出すと提案します。
「一生に一度の大事なイベントなんだから、豪華な会場で式を挙げな!」
と、背中を押してくれます。
母は、実は昔バイクを乗り回してとてもヤンチャをしていたようで……。
今も昔の仲間の相談を受けているような、みんなのリーダー的存在なのでした。
そんな母も今では良き母親。結婚資金の全額負担を買って出てくれた母のためにも、絶対に良い結婚式にして、母を喜ばせようと意気込む私。
結婚式に向けて、慌ただしい日々がスタートしました。
悪ノリが過ぎる友人が…
結婚式の準備を始めて数週間後。夫から「友だちと飲みに行く」と連絡を受けます。
友だちという男性2人とはオンラインゲームで知り合ったようで、どこかガラが悪そうな雰囲気が気になっていました。
そんななか、酔った夫からの着信を受けると、なぜか友だちに電話を代わる夫。すると、私の写真を見たという友だちの男性から「みんなであなたのことを、どこかのゆるキャラみたいだね~と盛り上がっていたんですよ」と、失礼な発言を受けます。
しかも、夫もそんな友人を怒るどころか、仲間とバカ騒ぎしている様子。私は急いで夫を迎えに行き、強引に連れ帰った後に「あの2人とはもう関わってほしくない!」と言いました。
さらに、「まさか結婚式に2人を呼んでいないよね?」と確認すると、あからさまに動揺する夫の様子を見て、私は「あの2人を結婚式に参列させたら、あなたと離婚します!」と言ってのけるのでした。
野郎3人に下された鉄槌
そしていよいよ結婚式の当日。披露宴会場では、両親や親戚、友人たちの温かい拍手に包まれながら、ウエディングケーキ入刀のシーンに。
すると突然、派手なBGMが流れ始めたのと同時に、なんと夫の友人の2人が登場したのです。そして勢いよく私の元へ近寄ってきたと思ったら、なんと私の頭を2人でつかみ、そのままウエディングケーキに思いっきり顔を埋めたのです……!
「サプライズ大成功~」
「余興だよ、余興~」
悪ノリのまま、はしゃぐ2人と夫。一瞬、何が起こったか理解できない私でしたが、会場の空気が凍りついていることはわかります。
そんな最悪の状況で、母が私の元にやって来て、あることを耳打ちしてきました。すぐに参列者にお詫びをし、結婚式の中止を申し出る私。事の重大さを理解していない夫に、離婚を突きつけます。
乱入してきた2人が、「この女、冗談通じなくてつまんねぇ女! 離婚でよくね?」と、まくし立てていると……。
外からブンブンブーンッ!と、けたたましい爆音が聞こえてきました。
そして披露宴会場のドアが勢いよく開き、ヘルメットをかぶった2人の女性が入ってきました。
その女性がヘルメットを外すと……。
男2人は、「げっ……か、母ちゃん……」と口をそろえます。
2人の母に鬼の形相で外へ引きずられていった男性2人。実は、2人の男性は、母が昔つるんでいた仲間の息子だったのです。
会場に乱入してきた際、すぐに2人の母親に連絡を入れた母。人様に迷惑をかけている息子に制裁を下す機会を与えたのでした。
真っ青になった夫は、義両親に引っ張られて会場から去って行きました。
その後、夫と私は離婚。多額の慰謝料を用意することになった夫は、義両親からも縁を切られ、会社も自主退職。
一文無しになった夫は、今度は犯罪に加担するような仕事に手を出して逮捕され、その後職を転々とし、苦労しているそうです。
事の重大さに気づくも、時すでに遅し……。まさに「後悔先に立たず」ですね。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。