そんなある日、夫の机の上に置かれた封筒に目が留まりました。何気なく手に取ると、見覚えのある金融会社のロゴ。中には借用書。金額を見た瞬間、心臓がぎゅっと縮まるようでした。
借金の発覚と離婚の決意
以前にも、私に隠れて借金をしていたことがありました。「もう繰り返さない」そう誓ったのに、また裏切られたのです。多額の借金の原因は、キャバクラでの豪遊だと知り、これ以上、夫の問題に振り回されながら娘を育てていく自信がなくなりました。
私は静かに夫に離婚を告げました。夫は渋い顔をして黙り込みましたが、私の気持ちは決まっていました。
なぜか出ていかない元夫
離婚は無事に成立しました。けれど意外なことに、夫は近所にアパートを借りたあとも、当たり前のように家へ帰ってくるようになったのです。
「ただいま〜!」
玄関で靴を脱ごうとする彼に、私は思わず声を荒らげました。
「ここはもう、あなたの家じゃないのよ!」
それでも元夫は気にも留めず笑って上がり込もうとします。後から知ったことですが、元夫は借金の返済で生活が苦しく、少しでも光熱費や食費を浮かそうとうちに帰って来ていたようでした。
娘は無邪気に「パパの好きにさせておきなよ〜!」「またパパと一緒に住めるのかなぁ」などと言っていました。私は娘に対して、親の都合で離婚した申し訳なさもあり、夫に会うたび喜ぶ娘を見て、強く拒めずにいました。
娘が発見した物は…!?
そんなある日、娘が「ママ、この人だぁれ~? お友だち?」と一枚の写真を持ってきました。手にしていたのは、温泉旅館で知らない女性と並んで写る写真。笑顔の夫が、見知らぬ女性の肩を抱いていました。
そして写真の端には、『○○温泉 ○月○日』という訪問日入りスタンプ。
……その日は、元夫が「泊まりの出張」と言っていた日でした。
離婚後に知ったとはいえ、夫が浮気していたことはショックでした。
本当の意味での「さようなら」
その夜、また当然のようにわが家にかえって来た元夫にその写真を突きつけ「説明して。これ、誰?」と問い詰めました。
元夫は、表情を固めたまましばらく黙っていました。長い沈黙のあと、諦めたように息を吐き、言いました。
「……悪い。不倫してた」
その瞬間、娘の前で楽しそうに笑っていた彼の姿が頭をよぎり、胸が締めつけられました。私は元夫と浮気相手に慰謝料を請求すると伝え、「私たちを裏切ってたんだね。もう顔も見たくない。二度と家に来ないで」と言いました。
後日、弁護士を通じて手続きを進め、元夫と不倫相手の両方から慰謝料の支払いが認められました。すべてが終わったあと、娘が進学するタイミングで家を引っ越し、新しい生活を始めました。今では娘と二人、慌ただしくも幸せな生活を送っています。
裏切りの先にあったのは、思っていた以上にあたたかい時間でした。これからは娘と共に、小さな幸せを丁寧に積み重ねていこうと思います。
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。