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夫「退職金5千万円で彼女と生きていく!お前とは離婚だ」私「いいよ!」→豪遊計画をした夫たちの大誤算と哀れな末路…

夫の定年退職日。30年間支え続けた感謝を込めて、お祝いのケーキを買おうと電話した私。しかし、夫から返ってきたのは「離婚だ」という衝撃的な言葉でした。

電話の向こうからは若い女の嘲笑うような声が聞こえ、私の人生設計は一瞬にして崩れ去ります。ここから、30年分のけじめをつけるための、私の静かな戦いが始まったのです……。

 「今スーパーにいるんだけど、あとでケーキ買って帰るね。今日は大事な定年退職の日だから、ちょっと奮発しちゃおうと思って」


スマホの向こうの夫に明るく話しかけた私。しかし、返ってきたのは「……あー、その必要はないぞ。金と食い物が無駄になるから、やめておけ」という冷え冷えとした声でした。
 

「え? どういうこと? せっかく30年、頑張ってきた節目なのに……お祝いもしないなんて寂しいじゃない」と私が食い下がると、夫は衝撃的な一言を放ったのです。

 

「いやさ、その30年に区切りをつけるんだよ。俺は今日で自由になる。だから……お前とは離婚だ」
 

30年分の信頼が崩れ去った日

一瞬、何を言われたのか理解できませんでした。

 

「はぁ……? ちょ、ちょっと待って、何言ってるの!? こんな日に……いきなり『離婚』って」


夫は、私の動揺をおもしろがるかのように、声を弾ませました。

 

「まぁ、驚くのも仕方ないよな。でもな、俺はこれから『第二の人生』を生きたいんだ。30年間ありがとな。理由は……わかるだろ」


まさか、とは思いましたが、震える声で「……浮気してたの?」と尋ねました。

 

「……ああ。お前みたいに『倹約、節約』ばかり口にする女とは違ってさ。若くてかわいくて……俺を心から慕ってくれる素敵な彼女なんだよ」


30年間、夫が安心して仕事に打ち込めるように家計をやりくりし、家を守ってきたのに。そのすべてが、こんな形で否定されるなんて……。


突然、夫があわてたように小声で「おい、今はダメだ……」と誰かを制するように言いました。しかし、その直後に甲高い女の声が被さってきたのです。


「え〜〜〜! ちょっと、奥さんやめてよ〜! 愛される努力を怠った奥さんが悪いのに……彼を責めるのは間違ってると思うなあ〜」「でもまぁ、30年間必死に支えてきたのに、私が横取りしちゃってごめんね♡」

 

その声は、夫の浮気相手でした。信じられないことに、夫と浮気相手は今、一緒にいるようでした。


「これから彼と定年退職のお祝いをしてくるの。だから、あんたは1人で惨めに家でお留守番でもしてな。離婚届も彼と一緒に今リビングに置いてやったから、私たちがお祝いに出かける間に、書いておきなさいよ」

 

 

夫と浮気相手は、まさかのわが家にいるというのです。怒りを通り越し、不思議と頭が冷静になっていくのを感じました。

 

「専業主婦だったのに、こんな急に捨てられてかわいそ〜!」

 

浮気相手の嘲笑を聞きながら、私は静かに決意を固めました。

 

「……もういいわ。最後に夫に代わってもらえるかしら」と言うと、「別にいいけど、手短によろしくね〜」と不満そうにしながらも浮気相手は夫に代わってくれました。


「あなた、本当に……このまま離婚でいいのね? 30年の思い出も……何もかも、ここで捨てていいのね?」と最終確認した私。

 

「おう! 全部、捨ててやるよ! 俺は、ついに運命の相手と出会ったんだ! これからはこいつと旅行もしたいし、いい車にも乗りたい。そのために今まで必死に働いてきたんだよなぁ〜。俺も役員だからな、退職金はきっちり5,000万円は入るんだ」


そして続く言葉が決定打でした。

 

「俺は退職金5000万円で、これから第二の人生を彼女と生きる!お前とは離婚だ」

「専業主婦でゴロゴロしてたお前には1円も渡さないぞ!早く離婚届けサインしろよ!」

 

私はすかさず答えました。

 

「OK! すぐサインするね」

 

「あれ?……やけにあっさり話が進むんだな……」と驚く夫に、「もうあきれて、怒る気力もないの。30年分の信頼を、たった一言で捨てたあなたに、もう期待なんてしてないから。どうぞ離婚してあげるわ」と明るく返す私。


「ははは! そうこなくっちゃ! じゃあ今日は、このまま出かけてくるわ! お前は買い物から帰ったら、離婚届にサインして置いとけよ!」

 

高笑いと共に、電話は一方的に切られました。

頼りになる友人

私はすぐにとある人物に電話をかけました。

 

「……今、ちょっといい? 実は……私、さっき夫に離婚を言い渡されたの。定年退職の当日に。これから浮気相手と一緒にお祝いに行くんですって」

 

私が電話をかけた相手は、離婚歴のある友人でした。


「はぁ!? なにそれ! 信じらんない……! でも……やっぱり、こうなったかって気もするわね」

 

もちろん、夫から話を聞いたときには驚きました。しかし彼女の言う通り、私も「やっぱり」という気持ちのほうが大きかったのです。


スマホを肌身離さず持ち歩き、夜中に眺めてはニヤニヤしたり、共同預金から謎の引き出しが定期的にあったり……。ずっと怪しいとは思っていました。遊び程度なら目を瞑ろうかとも思いましたが、まさか本気で私を捨てるとは。


「それが、浮気相手も堂々と私に連絡してきたのよ。『奪ってごめんね』ですって」

 

「うわぁ……いろいろと最低だね。でも、浮気してたって2人そろって自白してくれて助かったじゃない。通帳なんかも、全部保存済みでしょ?」と尋ねてきた友人。彼女は夫の浮気の証拠がなく、さんざん揉めて離婚したのです。その話を聞いていたからこそ、私はなにかあったときのために全部揃えておいたのでした。

 

「完璧じゃん! それなら任せて! 私がお世話になった弁護士事務所にも連絡しておくから。とりあえず、荷物まとめてうちにおいで!」

 

頼れる友人の言葉に、涙が出そうになりました。

 

「ありがとう……! 慰謝料も財産分与もしっかりもらってやるわ!」と言うと、彼女も「そうよ! しっかり払わせてやろうね!」と息巻くのでした。

 

 

夫の盛大な勘違い

1週間後――。

 

私はあえて弁護士を介さず、元夫に直接電話をかけました。

 

「そろそろ慰謝料の話を始めましょうか」

 

「ははっ! なーんだ、結局金か? どうせ金に困って連絡してきたんだろ? 30年間、専業主婦だったもんな! 必死すぎて笑えるわ」と元夫は鼻で笑いました。

 

「……どうとでも言ってちょうだい。あなたは私を裏切った。慰謝料を支払うのは当然のことだし、財産分与もしてもらいます」と淡々と述べる私に、「はいはい。でもまぁ……合わせて30万ぐらいで十分だよな? お前は家でごろごろしてただけ。俺の稼ぎで食わせてもらってただけだろ?」とどこまでも横柄な態度を取り続ける元夫。


たったの30万……? 30年の貢献を、その程度の金額で……?

 

「……30年よ。あなたが仕事に打ち込めるように、私は家のことを全部、引き受けてきたの。私が風邪で倒れても、『主婦のくせに休むな』って叩き起こしてきたわよね。それを30万ごときで済ませるなんてありえない!」と思わず声を荒らげてしまった私。

 

まさか私が強く出るとは思っていなかったのか、「う、うるせぇな! 終わったことはどうでもいいんだよ! 黙って30万抱えて、俺の前から消えろ!」と焦りをにじませた声で怒鳴り返してきた元夫。


「はぁ……話にならないわね。『不貞』という裏切りもあるし、定年退職日に必要以上に私を傷つけた。慰謝料は相場以上を請求できるケースよ。弁護士にもすでに相談済みなんだからね!」

 

「なんだって!? お前に弁護士に頼む金なんてあるわけないだろ……!」と言った元夫でしたが、その声は明らかに動揺していました。私だって、内職やパートで貯めたお金くらいあります。着手金ぐらいなら十分に払えますし、残りは成功報酬で後払いだってできます。

 

そのことを伝えると、元夫が息をのむのがわかりました。それでもまだ、強気な態度を崩しません。

 

「けっ、好きにしろ! どうせ俺には退職金があるからな! お前なんかに慰謝料を払ってもビクともしねぇよ! 俺の30年の努力の結晶は、これから豪遊するために使うんだ! ざまぁみろ!」

 

「まだ気づいてないの? その退職金も、財産分与の対象になるのよ?」と私は、わざと明るい声を出しました。

 

 


「……えっ!?」と驚く元夫。どうやら本当に知らなかったようです。

 

もちろん退職金が全額財産分与の対象になるわけではありません。しかし、私たち夫婦が一緒にいた30年間に相当する分は、婚姻中に得た財産――つまり、夫婦で築いた財産という扱いになるのです。

 

「ば、馬鹿な! 退職金は俺が毎日働いて得た汗と涙の結晶だぞ!? お前は家でゴロゴロしてただけだろうが!」


ゴロゴロねぇ……? どの口が言うのでしょう。

 

「じゃあ聞くけど、あなたが熱を出したとき、病院に連れて行ったのは? あなたのご両親が倒れたとき、介護を担ったのは? あなたが夜遅くまで飲み歩いてても、家を整えて待ってたのは誰?」

 

「い、いや、だからそれは主婦として当たり前のことだろ」という元夫に、私は盛大にため息をつきました。

 

「『当たり前』を365日30年間欠かすことなくやってきたのよ。それがどれだけ大変なことか……社会で30年も働いてきたのに、わからないの?」「あなたの言い分は関係ないの。法律は『夫婦が築いた財産』として判断するんだから」


「そ、そんな、嘘だろ……。俺、そんなの聞いてないぞ!? 彼女だって、すごく期待してくれてるのに……」とつぶやく元夫に、私は「へぇ~、そうなの」と冷たく返しました。

 

 「でも、私には関係ないから。浮気相手には、すぐにでも謝ってきたら? 30年も社会人やってきて、こんな基本すら知らなくてごめんねって」


さらに私は畳みかけました。

 

「もう弁護士にすべての資料を渡してあるから、あなたに逃げ道はないわ。ちなみに、あなたがこれまで口座から勝手にお金を引き出してた履歴も、しっかり証拠として残ってるからね。おそらく……浮気相手への送金かしら?」「ありがたいことに、堂々と浮気の自白もしてくれてるし。慰謝料も退職金の分与も、きっちり請求させてもらうわ」

 

「嘘だろ……お前、気づいていたのか!?」「ま、待ってくれ、俺たち……30年も一緒に過ごしてきたんだぞ!? 情ってもんがあるだろ!? せめて少しくらい、金額は手加減してくれても……」

 

まだ寝ぼけたことを言っている元夫を、私は一喝しました。

 

「はぁ? 情に訴えかけるなんて、笑わせないで。最初に裏切って捨てたのは、あなたでしょうが!」「30年間のすべてを捨てた重み、徹底的に味わってもらいます。では後ほど、弁護士から連絡を入れますから」

 

金の切れ目が縁の切れ目!?

数日後――。

 

元夫から泣きそうな声で電話がありました。

 

「た、助けてくれ……! 彼女が……逃げたんだ! お前のせいだぞ!」

 

元夫は、「運命の相手」だったはずの浮気相手に逃げられたそうです。私の弁護士から「退職金の半分と貯金の半分、そして慰謝料をごっそり請求します」と言われた元夫は、そのことを浮気相手に伝えたそう。

 

すると、彼女は「話が違う!」と大騒ぎ。「5,000万円入るって言ってたのに!」「金のない定年ジジィなんて興味ない!」と置き手紙を残していなくなってしまったのだとか。

 

私からすれば、「ようやく本音が出たのね」という感じでした。元夫にお金以外のとりえがないことは、私が一番よくわかっていましたから。

 

「それで? 私にどうしろと?」と尋ねると、「た、頼む! 俺たち……やり直さないか!?」と元夫。

 

「30年も一緒にいたんだ! 俺にはお前しかいないんだよ! 彼女に捨てられた今、俺に残ってるのはお前だけなんだ!」「もう一度チャンスをくれ! このままじゃ、俺は1人で寂しい老後生活だぞ!?」


私は、30年間で学んだ最後の真実を、彼に突きつけました。

 

「あなたに尽くしても、何も残らないし簡単に捨てられるんだって、この30年で学んだの。そんな人にもう私は情はありません。お金も愛も信用も失って、最後に残るのは孤独。それが、あなたが選んだ道よ。……さようなら」

 

その後――。

 


夫は浮気相手に捨てられ、財産もごっそり失い、惨めな生活に落ちたようです。浮気相手は、慰謝料を支払うとあっという間に行方をくらませました。

 

定年退職日に突然「用済み」と切り捨てられたとき、30年間信じてきたすべてが足元から崩れ落ちるような絶望を感じました。しかし、夫と浮気相手のあまりの理不尽さと侮辱が、逆に私に「絶対にこのまま泣き寝入りしてはいけない」という最後のプライドと戦う勇気をくれました。

 

自らの30年間の尊厳を守るためにけじめをつけた今、私は例の友人とルームシェアをしています。バツイチ2人組の生活も意外と毎日おもしろいものです。誰にも縛られない穏やかな第二の人生も、なかなかいいものだなと感じています。

 

【取材時期:2025年9月】

※本記事は、ベビーカレンダーに寄せられた体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。

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    ライターベビーカレンダー編集部/ママトピ取材班

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