毎月少しずつ膨らんでいく請求を見かねて夫を問い詰めると、高級な腕時計を買ったと言います。「男は持ち物を見られている。数万円の安物なんかつけていられないんだ」と、主張しました。
昔はそんな言い方なんてしなかったのに……。なんだか夫は変わってしまいました。
義母は夫の味方!?
お金の件を口にして以来、夫の私への態度はさらに厳しいものとなりました。妊娠、出産に備えて節約してほしいとお願いすると「パートなんて責任感のない働き方をしている奴に言われたくない! 同じくらい働いてから言え!」と、私の働き方を一蹴しました。
また、夫に対して少しでも注意をすると、「口うるさい!」「ケチくさい」などと言ってはねつけます。そして気に食わないことがあると、何も言わずにふらっと飲みに出ていくようになりました。
心がすり減っていく感覚を、日に日に感じるようになりました。そこで私は、思い切って義母に相談してみることにしたのです。義母はとてもやさしい人で、いつも私のことを気にかけてくれました。きっと力になってくれると思ったのです。
しかし義母は「あなたにも悪いところがあるんじゃない?」「あの子も今仕事で疲れているから、広い気持ちで接してあげて」と夫をかばいました。
さらに、義母は私が話した内容を夫に伝えたようで、その日を境に夫の態度は一段と険しくなりました。問題を解決するどころか、敵を増やし、夫との溝を深める結果になったのです。
夫は「これ以上ややこしくするな! 関係がこじれるから連絡するのもやめておけ」と言います。気まずさもあり、私は夫の言う通り、しばらく義母と連絡を取らないでおこうと決めました。
嫁は仲間はずれ!?
そのしばらく後、義実家の親戚の集まりに夫だけが参加することになりました。義母が「今回はひとりで来て」と言っているとのことで、私は留守番するしかありません。
しかし集まりの前日、私は義母から連絡をもらいました。用件は先日の謝罪です。息子を悪く言われてついカッとなってしまったとのこと。私からの連絡がなくなったことを気にしていたそうで「大人気なかった……」と謝られました。
私は笑って義母を許し「今回は残念だけど、次回の集まりには参加したい」と伝えると、義母はきょとんとした様子。親戚の集まりなんて企画していないと言うから驚きました。
では、夫は一体どこへ行くのでしょう……。私は以前から目をつけておいた探偵事務所に相談することにしました。
夫の嘘
探偵事務所の調査によると、案の定夫は実家とは別の場所に向かっていました。着いた先は温泉宿で、ひと回り以上年下に見える女性と手をつないでチェックイン。送られてきた写真でしっかり確認しました。
そしてその夜、夫から「母さんが泊まっていけって言うから明日帰る」という連絡が。最初からそのつもりだったのでしょう。
しかし私は今、義母と一緒にいます。義母は状況を理解すると「私から送ってもいい?」と確認し、私のスマホで「今あなたの家にいるけど? どこにいるの?」と夫へ返信しました。
続けて私から、義母がうちに遊びにきたと伝えると、夫は大慌て。「温泉はどう?」と送ると、それ以降夫からの連絡は一切なくなりました。
結婚生活の終わり
しばらくして届いたのは、謝罪と苦しい言い訳の嵐。もはや言い逃れができない状況なのに、私も義母も言葉を失いました。
もう、何をどう取り繕っても事実は変わりません。「もう、これ以上話しても変わらない気がします」と言うと、義母も静かにうなずきました。
私は夫と距離を置くことを決め、必要な手続きを淡々と進めることにしました。義母は「何かあれば言ってね」とだけ言い、過剰に立ち入らず見守ってくれたのです。
翌日、帰宅した夫は「……誤解だ。本気じゃなかった。ただの後輩で……」と言い訳しますが、本当に反省しているのなら、あの夜のうちに家に帰ろうとする姿勢があったはず——そう思わずにはいられませんでした。
私はゆっくりと首を振り「本気かどうかじゃなくて。私を大事にしていないことは、もう十分わかったよ」と告げました。積み重なった行動のすべては、私にとってもう揺るがない事実なのです。
そこから数日、私は必要な書類をそろえ、生活費の管理を見直し、ひとりで暮らす準備を始めました。気持ちは不思議なほど落ち着いています。
こうして、私たちの結婚生活は静かに幕を下ろしました。もう誰かに気をつかって過ごす必要はありません。これからは、自分の心に正直に生きていこうと思います。
◇ ◇ ◇
夫婦のすれ違いは、ささいな行動の積み重ねから大きな溝につながってしまうもの。違和感を抱えたまま過ごしてしまうと、気付いたときには取り返しがつかない距離が生まれてしまうかもしれません。
だからこそ、早い段階で気持ちや状況を話し合うことが大切。向き合う姿勢が持てなくなった相手に無理に合わせる必要はありませんが、違和感をごまかさず、自分の心のSOSに耳を傾けることは、自分自身を守る第一歩になるのではないでしょうか。
【取材時期:2025年11月】
※本記事は、実際の体験談をもとに作成しています。取材対象者の個人が特定されないよう固有名詞などに変更を加えながら構成しています。